文芸研究Ⅱ 下原ゼミ通信No.134

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日本大学芸術学部文芸学科     2009年(平成21年)10月26日発行
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.134
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
後期9/28 10/19 10/26 11/10 11/16 11/24 11/30 12/7 12/14 1/18  
  
2009年、読書と創作の旅
10・26下原ゼミ
10月26日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ教室2
 1.出欠・ゼミ通信配布・後期に望んで・司会進行指名 
 
 2.ゼミ誌原稿提出&刊行に向けての編集作業について
 3. 課題発表・「〈振り込め詐欺被害者〉その深層心理を探る」
 4. テキスト『灰色の月』読み&名作紹介(詩篇訳・他)
      
観察から創作へ
新聞記事に挑戦
 10月19日ゼミは、新聞記事を土台にした創作作品を発表し合いました。「電車に轢かれた2歳児、奇跡的に助かる」(朝日)。この新聞記事を創作にどう転換するか。文学として、どう表現するか。提出された三作の合評・感想は、以下の通りでした。
■ 白川達矢作「ポカリ」 
  夫婦と娘の三人家族。妻の視点から自身の疎外感を描いている。「出来事」を巧みに織
  りませているところがいい。
  「透明感がある」「もう少し長くてもよかった」「家族のなかでの会話に登場は斬新」
■ 塩崎真佑作「窓」
  車窓から快い風が入ってくる。平和な車内。が、突然の急停車。 
  実況で語られる出来事。乗客たちの表情をよくとらえている。
  「正統派、(状況を)しっかり見ている」「歓声をあげるように声をだす、が気になった」
  「首から頭を出した、の表現も…」
■ 慈剛寺徳子作「死にかけた」
  語り口調の文体で作者がわかります。その特徴が発揮された小品となっている。
  でだしはのんびりしていますが、徐々に緊迫感が現れてきます。最後の、名前だけの
  締めに安堵感がでています。
三作品ともに、作者各人の特質が現れ生かされ、どれも佳品に出来上がっています。


文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.134 ―――――――― 2 ―――――――――――――
人から聞いた話を創作する
 テキスト『出来事』は、自分が体験したことを創作したものです。新聞記事では、おそらく見出し3段にもならない、ゴミ記事です。が、創作すれば立派な作品です。
 これとは反対にテキスト『正義派』は、車夫に聞いた話を創作したものです。
テキスト『正義派』とは何か
『出来事」とは明暗を分ける作品
 10月19日ゼミでは、テキスト『正義派』を読んだ。この作品は、他者から聞いた電車の人身事故を架空観察して作った物語です。人力車の車夫から聞いた話だといわれています。現代ならタクシーの運転手に聞いた話ということでしょうか。
 前々回の『出来事』は、九死に一生ということで明るい印象だったが、『正義派』は、防げなかった事故ということで暗く重苦しい。加えて、内部告発の問題も織り込まれているので、いっそう陰鬱な感は否めない。
『正義派」について
 この作品は、大正元年(1912)9月1日の雑誌に発表された。作品ができるまでの経緯を日記で追ってみると、以下の通りである。
□明治45年(1912)5月2日 夜、少し仕事をした。(「興奮」という題の)
□明治45年5月5日 「興奮」という題の小説を書きあげた。
 ※この「興奮」が「正義派」の原形と推察される。「興奮」ということばは、『正義派』を
 解くキーワード。
□明治45年5月17日 雀の声を聞きながら眠って翌日の12時半に起きた。
 「線路工夫」を少し書いてみた。
  「興奮」→ 「「線路工夫」に改題か?
□明治45年5月28日 夜「正義派」を書き終わった。感心すべきものではない。
□明治45年8月15日 ザンボアの原稿を引き受けた。「正義派」を書き直して出そうと思
 った。
□明治45年8月25日 あけ方、とうとう正義派を書き上げる。悪い小説とは思わない。
 
※ 【創作余談】車夫の話から材料を得て書いたもので、短編らしい短編として愛している」
合評 車夫たちの正義を素直に称えられない。母親が可哀そう過ぎる。
創作動機・モチーフ
 最初に子供が轢かれ死ぬ話だけに読後感のよい作品ではない。そのせいか朗読後の感想も、車夫たちの正義を疑問視するものが多かった。車夫たちは、職人らしい一本気な性格だ。鉄道会社のために多少の虚偽をといわれても、目撃した通りのことを証言しなければおさまらない。が、皆があまり興味をもってくれないので、事故は誇張されていく。(死亡事故なので、どんなに誇張されようが、仕方ないのだが…)作者は、どんな気持で、この作品を書いたのか。
【志賀直哉の動機】「正義派」は正義の強い支持者という誇りを自ら段々誇張させていって、しかもそれが報いられない所からくる淋しさを主題とした。昭和32年映画化されている。
 せっかく、良いことをしたのにだれもほめてくれない。そんなときの子供の気持は?複雑で、言い表しがたい心理心境である。が、小説の神様は、想像観察のなかから、それを描ききった。「そして又泥よけに突伏すと声を出して泣き出した」最後のこの文にそれをよく現している。
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2009年読書と創作の旅
10・26ゼミプログラム
1.「通信」配布、出欠、連絡事項
  ゼミ誌編集委員 → ゼミ誌作成についての報告&要望。
            新語「新作」新聞記事から創作する。
2.司会進行指名 (司会 → 授業進行、朗読者の指名など)
3. 私の愛読書紹介
  まだ発表していない人(内田さん、永井さん)
4.正義派について テキスト『正義派』は、社会のなかでの正義の通し方というものの難しさを考えさせられる作品でもある。工夫たちの行為は正義である。が、そこから発生する世俗的な事柄。事実の歪曲や尾ひれなどで、職をかけてのせっかくの正義に手垢がついてしまった。
5.観察から創作へ「課題発表」&体験・時代のテキスト読み
 『出来事』は、作者自身が実際に体験し観察した話。テキスト『正義派』は、目撃者の話を聞いて作った話。日本文学のなかで名作といわれる『灰色の月』は、観察のなかに時代を織り込ました作品です。
 テキスト・志賀直哉『灰色の月』の読み
6. 名作・詩篇、訳の違いと作品印象をみる。7ページ参照
 
7. 名作読み5.名作・ジュナール『にんじん』家族観察
 前回、紹介してもらった愛読書のなかに児童虐待の本がいくつかありました。児童虐待に関した本や物語に興味ある人が、結構、多いのかと思ったりします。観察の枠をひろげて家族観察の名作、児童虐待物語ともいわれる『にんじん』を読んで考えてみましょう。 
8.課題について
 課題1.ダム問題について「ダムは必要か否か」
 課題2.新聞記事から創作へ「女児誘拐事件」
 時間あれば、先週、序文で終わった『あしながおじさん』の初めのころの手紙を時間まで読みます。面白いと思ったら、秋の夜長、オススメします。
名作・書簡小説『あしながおじさん』ジーン・ウェブスター(1876-1916)
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.134 ――――――――4 ――――――――――――――――
課題1・政治問題 ニュースからダム建設の是非についてコメントしてください   
ダム建設問題
 民主党主体の新政権になって、大きな問題がいくつも噴出している。先日の、羽田空港ハブ化構想は、なにやらうやむやになりそうだが、八ツ場(やんば)ダムを巡る問題は、すぐには解決つきそうになさそうだ。中止か計画続行か。「50年間も、振り回されてきた」と地元住人は国の無責任さに憤慨している。
 建設賛成か反対か。市井の居酒屋でもこの問題は論争されている。はたしてダムは必要か、必要でないのか。賛成派、反対派、それぞれの言い分はある。ダムを造るにしろ、中止するにしろ、環境・水利・電力で影響してくるのは10年、20年、50年先である。そのときどうなるかは誰も予想つかない。成田空港でさえ、あんなに反対闘争があったのに、いまは要らないような雰囲気だ。
課題1 「ダム建設は、必要か必要でないか」 必要なら、その理由は
                        必要でないなら その理由は
推薦図書 昭和のはじめダム建設地に決まった村の悲劇を描いた名作
石川達三の『日陰の村』
 この作品は、東京都の水源として奥多摩の寒村がダムの水底に沈むまでの物語。人口増加の東京都の将来のため奥多摩の寒村に白羽の矢が立った。が、一向に進まぬ建設計画。受け入れるべきか、拒否するか。村人たちは、都の無責任の政策に振り回され、田も畑も荒れて人心も荒んでいく。モデルの昭和10年に着工した小河内ダムは、昭和32年に完成する。
                  
 最近のダム問題関連記事を読む。10月20日 朝日新聞
6知事、八ツ場ダム中止撤回要請
 群馬県の八ツ場ダムを巡り、建設推進を求める東京都など6都県の知事は19日、建設予定地を視察し、建設中止を白紙撤回するよう前原国土交通省に求める共同声明を発表した。
知事たちの言い分
石原東京都知事「渇水だった96年に117日あった取水制限は、ダムがあれば17日で済んだ。
       ダムは絶対に必要」
森田健作千葉県知事「国はダム中止は棚上げにすべきだ」
上田埼玉県知事「下流の都民、県民のために自ら犠牲になられて、本当に長年、ご苦労された皆さん方に感謝を申し上げたい」埼玉県は、現在160万人分の水利権が不安定。
 ※ 6都県は、飲み水と洪水時の安全の見返りに、42年前から2200億円を投資してきた。
課題2・新聞記事から創作 以下の新聞記事から被告の心理を描きながら事件を
                 創作してみてください。
2009年10月24日 土曜日 読売新聞(朝刊)
小6女児監禁 元講師実刑10年
 長崎市で3月、当時小学6年の女子児童(12)が塾に行く途中に連れ去られ2日日間監禁された事件で、逮捕監禁致傷罪などに問われた同市西山本町、元小中学校臨時講師中川太被告(35)の判決が23日長崎地裁であった。裁判長は「陰湿で非道な犯行」として懲役10年の実刑判決を言い渡した。(求刑・懲役15年)
※ 次回報告の後、テキスト『児を盗む話』を読みます。
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社会観察「人間の謎」・課題発表
振り込め詐欺「人はなぜ振り込むのか」
 目下、振り込め詐欺撲滅月間(10月15日~11月14日)である。毎年、この季節に実施される。防犯委員をやっている関係で、講習会に行くこともある。新聞などでみてはいるが、そこで聞く振り込め額の大きいのに、改めて驚かされる。何万円ではなく何十億円なのだ。
 こうしてキャンペーンをはっていて、街や駅には防止ポスターが溢れている。にもかかわらず被害は一向に減らない。スグ金くれ、という警察、保険会社、役所からの電話は要注意というが、なぜ、振り込んでしまうのか。なぞである。
 犯人たちは、どのような手口で擦り寄ってくるのか。
体験1、家に電話有り。父親がセクハラした、とのこと。娘の私が出たとたん相手は電話を切った。体験2、私の自宅に電話有り。以下そのやりとり。
午前11時頃、電話。ベル3回目あたりに受話器をとる。
「はい」「オレオレ、オレ」
この時点、私はてっきり息子からと思ってしまった。いつものくせで
「どこにいる」と、聞いた。昼間、電話があるときは会社ではなく、外に出ているときだったからだ。
「チバにいる」声の主は答えた。
 チバと聞いて、私は、はじめてなにか違うような気がした。これまで息子はチバに、行ったことはなかった。
「どうしてチバにいる?」「どうしてー」一瞬、相手は言いよどんだ。
 その瞬間、私は、はっとして怒鳴った。「おまえ、アレだろ!」
 とたん、ガチャンと電話が切れた。
 ニュース:山形県警村山署は19日、同県村山市の無職女性(51)が長男を装った男らから120回以上計約1200万円をだまし取られる振り込め詐欺被害に遭ったと発表した。 県警によると、女性は1日、長男を名乗る男から「借金97万円を返さなければ裁判を起こされる」との電話を受けた。
人間の謎「振り込め詐欺」・課題報告
登録
塩崎 真佑 
「まったくあんたは落ち着きがない」
一旦、堰が切られると電光石火のごとく口が回るのでお年寄りというのは厄介である。あれ、どうした、こうした、とひと昔前のことを間違えもせず永遠と繰り返し続けるので、侮れない。
今日も私から電話をすると瞬く間に言い返されてしまった。
「もういい、そのままでいい」
とだけ言うと、「いちいち面倒だからそのままにするよ」とお婆ちゃんは押し黙ってしまう。
「ボタンを押すだけだから、お願いします」
と私が言うと、
「今度こっちに来た時にやってちょうだい、もう何度言っても分からないから」
と頑として自分の意見を譲ろうとしないのだ。
何度、後悔したことだろう。私はお婆ちゃんに携帯電話を持たせたことが、今になっても
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo・134―――――――― 6――――――――――――――――
いいことなのかどうか分からない。たとえ着信が鳴ってもテレビの音だと勘違いをし、メールを送ろうと必死になっても空メールが私の元へやって来る。
「変えればいいってもんじゃないよ。美佳は昔っからあきっぽいんだから、たまには長く使ってみなさい」
とこうなるのが関の山である。
私はお婆ちゃんのためにわざわざ自作のメモを用意していた。そこには私の新しい携帯番号が書きとめてあり、敢えてメールという手段は使わなかった。それだけのために時間を見計らい、夕食の終わった七時半頃を目安に電話をかけた。
「じゃあ、番号だけ書きとめておいて。私に電話をかける時はくれぐれも間違えないように。あと、私からかけた時も名前は出なくなるけどよろしくお願いします」
と私がその番号を一区切りずつ伝えていくと、お婆ちゃんはしぶしぶとそれを反復し始めた。そして、まるで今思いついたようにふと言葉をもらした。
「今日はずいぶんあっさりしてるじゃない」
「え?」
と私が問い返すと答えはなく、きっと受話器の向こう側でお婆ちゃんはむっつりしているのだろうなと思った。
「結局、いつも私が登録するじゃない。また近いうちにそっちに行くから」
と私はそのまま電話を切ってしまおうとした。
すると、「先週はあんなに一から順に教えようとしたのに」とぼそっとそれだけを言うと、「くたびれたよ」とそれだけを強調するように息を吐きだした。
一瞬、私は何を言っているのか分からなかった。お婆ちゃんが惚けてしまったのだろうかと思った。またその場合、惚けてしまったことを相手に悟らせまいと私の頭は躍起になった。
「いつ私、お婆ちゃんに電話かけた?」
と私が尋ねると、
「いやぁ、若年性アルツハイマーかい。しっかりしなさいな」と嬉しそうに言い、「金曜だったかな」
とはっきりと答えた。
 私はどうもおかしいぞと思いながら、家の電話の子機を見やりそして今日はお婆ちゃんの携帯ではなく家の方へ電話をかけたのだと思い出した。
「ああ、金曜は非通知でかけたんだった」
と私がとぼけたように言うと、
「そうだよ、出ようか出まいか迷ったんだから」
と再びふてぶてしい低い声になり、お婆ちゃんは怒りだした。
 けれど、私の耳にはその小言の半分さえ届いてはいなかった。相槌を打つところは合わせ、素直に聞いているふりをした。
 きっとアポ電だったのだ。
 もう一人の私が番号を変えたとお婆ちゃんに電話をし、何も知らない本当の私は番号を変えたと言うと、手玉にとられたようにお婆ちゃんの説教を聞かなければならなくなった。何と、怪しからん事もあるものだ。今、この事をお婆ちゃんに話しても理解はしてくれまい。ここぞとばかりに踏ん反り返って、その口という大きな武器を持って私を完封させてしまうだろう。
 私は早々と電話を切り、出かける準備をした。
 そして大急ぎで片道三十分の道のりを車で走らせ、お婆ちゃんの家へ向かった。
その居間にはキャッキャッと手をたたき、プロレスを見ているお婆ちゃんがいた。
*アポ電・・・・・・身内を装って電話をかけ「電話番号が変わった」などの嘘を言って番号登録させた上で,後日同じ電話番号から電話をかけて金を騙し取る詐欺手法。(goo辞書から)
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3.世界名作読み・詩編 秋の詩 違う訳者、印象は・・・
 ヴェルレーヌの作品から「沈む日」と「秋の歌」を読みます。二人の訳者のものです。訳者によって名作の印象は、違うか、違わないか。そのへんを気にとめて吟唱してください。
※ポール・ヴェルレーヌ(1844-1896 1月7日~8日夜デカルト街39番地の陋屋にて死ぬ)
訳者・堀口大学『土星の子の歌』から     訳者・橋本一明『土星びとの歌』から
   沈 む 日               沈む日
たよりないうす明り             弱まった あけぼのが
沈む日の                  沈む日の
メランコリヤを               メランコリーを
野にそそぐ。                野にそそぐ
メランコリヤの               そのメランコリーが
歌ゆるく                  やさしい歌で
沈む日に                  沈む日に
われを忘れる                とろけこむ 心をゆする
わがこころ                 砂浜に 沈みゆく
うちゆする。                夕日さながら
砂浜に                   たえまなく 消えていく
沈む日もさながらの             奇妙なる さまざまの夢            
不可思議の夢                あけいろの亡霊か
紅の幽霊となり               たえまなく 消えていく
絶えまなくうちつづく            砂浜に 沈みゆく
大いなる沈む日に似て            夕日さながら
砂浜に。
  秋 の 歌               秋の歌
秋風の                    忍び泣き
ヴィオロンの                 ながくひく
 節ながきすすり泣き             秋の ヴィオロン
もの憂きかなしみに              ものうくも
わがこころ                  単調に
 傷くる。                  ぼくの心を いたませる
時の鐘                    時つげる
鳴りも出づれば                鐘の音に
 せつなくも胸せまり、            胸つまり あおざめて
思いぞ出づる                 過ぎた日を
来し方に                   思い出し
 涙は沸く                  ぼくは泣く
落ち葉ならぬ                 性悪の
身をばやる                  風に吹かれて
  われも                  ぼくは行く
かなたこなた                 ここ かしこ
吹きまくれ 逆風よ。             吹き散ろう  落葉さながら
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo・134―――――――― 8――――――――――――――――
10・19ゼミ報告
出席者=清水理絵、塩崎真佑、白川達矢、河西杏子
司会進行=河西杏子
1.ゼミ誌進行状況 10月9見積書提出(みつわ印刷)報告
2.愛読書紹介
 河西杏子=北村薫作品「覆面作家時代のもの」『円紫さん』シリーズなど
3. 課題発表
 白川達矢作「ポカリ」、塩崎真佑作「窓」、慈剛寺徳子「死にかけた」
4.テキスト読み&感想 テキスト『正義派』
5.名作読みウェブスター『あしながおじさん』
6.ゼミ誌編集会議
 大きさ → A5
 ページ → 260頁  減OK
 締切り → 10月30日  テーマ(種)・自由
 現在の原稿進行状況
 塩崎 → 10~30枚ぐらい
 清水 → 60~枚ぐらい
 白川 → 1~行
 河西 → 5~枚ぐらい
 新語 → 10月30日 新作「新聞記事から小説作品を作る」のようなもの?
企画 → 下原文学賞(提出原稿から選考)
 連絡 → 河西編集長 kosai@msfibiglobe.ne.jp
原稿最終締切りは、10月30日厳守 !!
今後のゼミ誌作成計画
10月 9日 印刷会社の見積書を出版局に提出   済み
10月30日 ゼミ誌掲載原稿最終受付日。
11月中旬  みつわ印刷会社に入稿。
12月14日 刊行されたゼミ誌『下原先生と、ちょっと不愉快な仲間たち』を雑誌編集室に
      提出。
12月14日は納品期限日です。
厳守!!
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土壌館・実践的投稿術 ③
 
 文章力修業として投稿も、その一つの手段といえます。投稿は、投稿者が多ければ多いほど採用される確率は低くなります。が、そのことは即ち投稿作品の質の向上にもなります。様々なものへ観察・興味を抱く要因ともなるので、投稿は一石三鳥ほどの価値があります。
 もっとも投稿といっても、小説・論文投稿から標語まで多種多様です。が、ここでオススメするのは新聞投稿です。新聞は、毎日投稿できます。政治・社会・生活観察・自分の意見と幅もあります。また、時流や出来事のタイミングも重要となり自然、書くことの日常化・習慣化が身につきます。文章力研磨にもってこい場ともいえます。
 土壌館では、文章力を磨く目的はむろんですが、社会への疑惑や自分の意見・感想を伝えるために新聞「声」欄に投稿をつづけています。なぜ「声」欄かというと、500字という字数は、人が飽きなく読む字数であるということと、文体を簡潔にできるからである。
 いま日本の社会は、かってないほど政治が注目されている。連日のように政治問題がニュースとして取り上げられ、政治家がテレビにでている。億とか兆といった金額をいとも容易く口に出している。この驚愕すべき大騒動の源。それは、すべて8月30日のあの日にある。あの日に何があったのか。私は、幸いなことに一部始終を目撃した。
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◆ 2009年9月2日水曜日 朝日新聞「声」欄 下原敏彦
立会人が見た活気ある投票所
 
 この歴史的出来事を投票立会人として、13時間余りウオッチすることができた。初めての経験だった。
 私たちを慌てさせたのは、先頭切って入ってきた若い親子連れ。慣例の投票箱確認中、初めての投票の記念に携帯で空箱を撮りたいと申し出たのだ。「30年この仕事をやってきて、こんなことは初めてです」。職員は苦笑した。
 珍事は終日つづいた。出口から入ってくる人、消しゴムを借りにくる人、書き方を聞きにくる人、裁判官審査の投票用紙を持っていってしまう人など、初めて投票所に来た、そんな人たちが目立った。
 これまでの投票風景は、私の知る限り閑散としていて、マンネリと諦めが漂っていたように思う。しかし、今回は生き生きとして活気に満ちていた。これが本当の国民による政治の始まりかと、希望がわいた。「いつもは、お手数をとらせないんですが」と、職員が申し訳なさそうに言った。
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 実際の投稿は、個人的な感想や、もっと多くの人の様子を書いたので、長いものになってしまった。500字ということで、「声」欄編集者と相談しながら、上記の文に改稿した。
 紙面では掲載できなかったが、投票に来た人で、他には、こんな人たちもいた。はじめに、なんのことかわからなかったのは、投票したあと、私たちのところに来て「投票証明書をください」という人たち、たいていが若いひとたちだった。そんなものがあるのか?!私は、これまで何度も投票したが、「証明書」の存在など聞いたことも見たこともなかった。が、市の担当者に聞くと、一人か二人そんな人がいるという。ちゃんと印刷した紙きれがあった。いったい、何に使うのか。「会社に提出するんです」若者は、笑ってそう答えた。母親、父親に連れられて来た若者も多かった。息子や娘に連れられてきた、お年よりも多かった。私が立ち会った会場は、5000人余りの投票者がいた。率は60余%ということだった。
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo・134―――――――― 10――――――――――――――――
ゼミ日誌記録
2009年読書と創作の旅の記録
□4月20日 ゼミガイダンス(40分)、見学16名。「おんぼろ道場再建」ビデオ不調。
□4月27日 参加5名、司会・河西杏子 ゼミ誌編集委員決め、読み嘉納治五郎『青年
      訓「精読と多読」、世界名作サローヤン『空中ブランコ』、「憲法・前文と九条」
□5月11日 参加5名、司会・塩崎真佑、テキスト読み『菜の花と小娘』『網走まで』
       『菜の花』の解説、課題観察作品発表・清水理絵「黄金週間」途中まで。
□5月18日 参加4名、司会・白川達矢、テキスト読み『或る朝』、手本『放浪記』
       課題発表・清水理絵「黄金週間」、河西杏子「爽やかな憂鬱」、塩崎真佑「私
       の一日」、白川達矢「女王」、社会観察「政治家の世襲について途中」
□5月25日 参加3名、司会・清水理絵、試験解答、テキスト比較名作読み『三四郎』
      課題発表・白川達矢「覚える」、塩崎真佑「視線」
□6月 1日 参加4名、司会・河西杏子、ゼミ合宿の有無、ゼミ雑誌ガイダンス報告、
      「大学構内教授殺人事件」容疑者調書、第一審判決と量刑。河西「楽しい電車」
□6月 8日 参加5名、司会・内田すみれ、ゼミ誌テーマ決め「種」、名作詩編ヴェルレ
       ーヌ「雨が・・・」、課題発表=清水理絵「勝手に人生相談」、白樫知佳「水
       とバタ」、清水理絵「ちょとつ妄想」、塩崎真佑「新インフルエンザ」、表現
       稽古・紙芝居「少年王者」
□6月15日 参加5名、司会・長井志穂、ゼミ誌タイトル決め「下原先生とちょっと不愉
      快な仲間たち」、テキスト読み志賀直哉『夫婦』、課題発表=永井志穂「不快指
      数の充実」、清水理絵「呪われた木曜日」、塩崎真佑「マナーモード」、塩崎真
      佑「自分の一日」、白樫知佳「カウント」。土壌館『網走まで』解説・途中。
□6月22日 参加3名、司会・白川達矢。ゼミ合宿9月12、13日塩原に決定。テキスト
      読み『濠端の住まい』。課題発表=白川「コインランドリイと」、清水「弁当箱
      を探して」、塩崎「待合室」。名作読み・ヘミングウェイ。『殺し屋』
□6月29日 参加4名、司会・塩崎真佑。ゼミ誌表紙について。ゼミ合宿予備知識。ドス
      トエフスキーとは何か」(『ギャンブル』国文学別冊)読み。課題発表=河西「苦
      い水」、清水「面白くない」、白川「キキ」「ジョジュア」
□7月13日 参加5名 司会・清水理絵 ゼミ誌&ゼミ合宿について、タイ焼で祝う。
○9月12日 ゼミ合宿・那須塩腹、参加5名 『貧しき人々』朗読 司会=白川
□9月28日 参加5名、司会・白川、愛読書発表(清水・白川・塩崎)『出来事』読み
□10月19日 参加4名、司会・河西 課題発表、『正義派』読み、名作『あしなが』
□10月26日 
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読書の秋 秋の夜長、ぜひ読んでみてください。青春の糧になります。
北條民雄『いのちの初夜』
 
ある意味において、現存する日本文学のなかでこの作品に勝る作品はない。
 北條民雄は、作家川端康成がもっとも愛した弟子だった。この作品を読んだ川端康成は、北條民雄にこんな手紙を送っている。昭和10年
「只今、読了、立派なものです。批評は申し上げるまでもありません。また聞きたいとお思いになる必要もないでしょう。文壇の批評など聞く代わりに第一流の書(土ストエフスキー)を読みなさい。それが立派に批評となってあなたに働くでしょう・・・・・実に態度も立派で、凄い小説です。この心を成長させて行けば、第一流の文学になります」
―――――――――――――――――― 11 ――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.134   
新聞 文化審議会国語分科会の漢字小委員会は23日、「新常用漢字表(仮称)」
   に関する試案の修正案を承認した。
追加・除外で196字が候補、第2試案は11月、来春答申
削除の4字 = 聘(へい)、憚(タン・はばかる)、哨(ショウ)、諜(チョウ)
追加の9字 = 柿(かき)、哺(ホ)、楷(カイ)、睦(ボク)、釜(かま)、錮(コ)
        賂(ロ)、勾(コウ)、毀(キ)
※ カタカナは音読み、ひらがなは訓読み(太字は送りがな)
161字の常用漢字紹介(161+追加の9字-削除の4字=196字)
ア行 = 挨(アイ)、 曖(アイ)、宛(あてる)、嵐(あらし)、畏(イ/おそれる)
     萎(イ/なえる)、椅(イ)、彙(イ)、茨(いばら)、咽(イン)、
     淫(イン/みだら)、唄(うた)、鬱(ウツ)、怨(エン・オン)、
     媛(エン/ひめ)、艶(エン/つや)、旺(オウ)、岡(おか)、臆(オク)
     俺(おれ)
※ カ行以下、当通信紙面にて順次紹介していきます。
大デュマの『モンテクリスト伯』を彷彿するような事件記事
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10月22日 読売新聞夕刊
「娘殺された」父 27年後の復讐
 27年前に娘を殺されたとして、フランス人の実父が男性グループを使ってドイツ人容疑者をドイツからフランスに誘拐させロープで縛った状態で放置する事件が発生、仏ミュルーズの警察は20日夜、同容疑者の身元を確認、逮捕した。
 実父の行為が誘拐共謀罪なら最大で禁固10年の刑だという。
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推薦図書  瀬戸内海の小島で樽職人として生計をたてる夫婦は、10人の子だ
くさんだった。祖母もいてその日ぐらしの生活だったが、夫婦は二人の孤児も引きとって育てた。それで12人もの子供がいる大家族だった。それなのに、家運は下り坂で母親も病気で半身不随となった。しかし、家の中はにぎやかだった。五女は無口だが明るかった。いつも大勢の兄弟姉妹たちをじつと眺めながら、こんなことを考えていた。この家族のことを、すばらしい両親に育てられた12人のこどもたちのことを、いつか小説に書いてみたい、と。「24の瞳」という題名で。しかし、なかなか書けなかった。何年か後、小説は「その題名だけはそのままで、一つの家に育った12人の子供の話ではなく、一つの小さな村に生まれ育った12人の同じ年の子供の物語になった」 (編集室)
壷井 栄著『二十四の瞳』
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo・134―――――――― 12――――――――――――――――
後期ゼミ・テキスト予定
 テキスト読みする志賀直哉の作品は次の通りです。
『城の崎にて』・・・・自分の心情を、小動物に照らし合わせて心境小説として成功させた。
『子を盗む話』・・・・女児誘拐犯人の心境、動機。
『灰色の月』・・・・・自分の車内観察体験を名作にした。
□表現稽古として、途中だった紙芝居「少年王者 第一部」口演を完了する。
ドストエフスキー情報
■ドストエーフスキイの会・例会
 11月21日(土)午後6時から開催、原宿、千駄ヶ谷区民会館
■ドストエーフスキイ全作品を読む会・読書会 詳細は編集室
 12月12日(土)午後2時から開催、東京芸術劇場小会7『カラマーゾフの兄弟』4回目  
情報 2009年教材図書に!!下原敏彦著『伊那谷少年記』(鳥影社)
「コロスケのいた森」入試問題に
『2010年受験用 全国高校入試問題正解 国語(掲載)』旺文社
『2010年受験用 全国高校入試問題正解 英語・数学・国語(掲載)』旺文社
『大阪府 最新入試 過去問 徹底解説』(ベネッセコーポレーション)
社団法人 日本図書教材協会(教育出版社各22社)教材作品
新刊雑誌『江古田文学 71』林芙美子&尾崎翠特集
林芙美子の『北岸部隊』を読む
架空従軍手記「厩舎当番兵の手記」・・・・・下原敏彦  
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土壌館日誌
 ことしの春、知人にメダカの稚魚をもらった。以前、知人宅に遊びに行ったとき、知人が飼っているのを見て欲しくなったのである。メダカの子は5匹いた。小さかったので酸素なしで飼っていた。が、やはり酸素があった方がいいのではと、水槽と一緒に買った。広くなったので、近くの熱帯魚店でメダカを10匹、340円で買った。広い水槽で15匹のメダカは気持よさそうに泳いでいた。しかし、1週間たったあたりから、1匹、2匹と死んでいく。なぜか原因がわからない。最後の1匹になったとき、ようやく判明した。酸素のブクブクだった。メダカはいなくなって川エビだけになった。                  
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編集室便り
☆ 原稿、歓迎します。学校で直接手渡すか、下記の郵便住所かメール先に送ってください。
 「下原ゼミ通信」編集室宛
  住所〒274-0825 船橋市前原西6-1-12-816 下原方
  メール: TEL・FAX:047-475-1582  toshihiko@shimohara.net
□ゼミの評価基準は可(60~100)とします。評価方法は、次の通りです。
  課題の提出原稿数+出席日数+ゼミ誌原稿+α=評価(60~100)
前期提出作品内訳
「2009年読書と創作の旅」① 5・11発行
・清水理絵「黄金週間」(一日観察)・・・・・・・・・発表済み
・河西杏子「爽やかな憂鬱」(一日観察)・・・・・・・発表済み
・清水理絵「勝手に相談」(生物観察)・・・・・・・・発表済み
・清水理絵「政治献金について」(社会観察)・・・・・発表済み
「2009年読書と創作の旅」② 5・18発行
・永井志穂「不快指数の充実」(車内観察)・・・・・・発表済み
・白川達矢「覚える」(車内観察)・・・・・・・・・・発表済み
・塩崎真佑「視線」(車内観察)・・・・・・・・・・・発表済み
・河西杏子「楽しい電車」(車内観察)・・・・・・・・発表済み
・白川達矢「水とバタ」(店内観察)・・・・・・・・・発表済み
・白川達矢「女王」(一日観察)・・・・・・・・・・・発表済み
・清水理絵「ちょとつ妄想」(雨日観察)・・・・・・・発表済み
・塩崎真佑「新型インフルエンザ」(社会観察)・・・・発表済み
※ 塩崎真佑「自分の一日」(発表済み)は、『ゼミ通信124』に収録。
          「2009年読書と創作の旅」③   6・1発行
・清水理絵「呪われた木曜日」・・・・・・・・・・・・発表済み
・塩崎真佑「マナーモード」・・・・・・・・・・・・・発表済み
・塩崎真佑「自分の一日」・・・・・・・・・・・・・・発表済み
・白堅知佳「カウント」・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
「2009年読書と創作の旅」④ 6・8発行
【大学構内教授殺人事件】犯行の動機。実際の審議と平行してみていく。
〈容疑者の調書〉A、B、C、D・・・・・・・・発表済み
「2009年読書と創作の旅」⑤ 6・15発行
・白樫知佳「コインランドリと「女性」の雑誌と男」・・・・・・発表済み
・河西杏子「苦い水」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
・清水理絵「弁当箱を探して」・・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
・塩崎真佑「待合室」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
「2009年読書と創作の旅」⑥ 6・22発行
・永井志穂「22歳の恥」⑥・・・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・河西杏子「小池騒動記」⑥・・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・塩崎真佑「夜の向こうへ」⑥・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・清水理絵「道化者」⑥・・・・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
    「2009年読書と創作の旅」⑦
・永井志穂「生焼けの朝」⑦・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・塩崎真佑「一日観察」⑦・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・清水理絵「あさりちゃん」⑦・・・・・・・・・・・・・・未発表
・塩崎真佑「車内観察」⑦・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・白樫知佳「自分観察」⑦・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・白樫知佳「車内観察」⑦・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
【中大殺人事件告訴】
・塩崎真佑「重罪を」⑦・・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・白樫知佳「無期」⑦・・・・・・・・・・・・・・・・・・未発表

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