文芸研究Ⅱ 下原ゼミ通信No.137

公開日: 

日本大学芸術学部文芸学科     2009年(平成21年)11月30日発行
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.137
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
後期9/28 10/19 10/26 11/9 11/16 11/24 11/30 12/7 12/14 1/18  
  
2009年、読書と創作の旅
11・30下原ゼミ
11月30日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ教室2
 1.出欠・ゼミ通信配布・司会進行指名 
 
 2.ゼミ誌原稿提出&刊行に向けての編集作業についての報告
 3. 12・14合同発表についてと稽古(テキスト『范の犯罪』読み)心の観察
 4.課題読み&名作紹介(『狂人』告白作品)
      
後期の旅は、観察(表層観察と内面観察)から創作へ(&社会問題コラム)
ゼミ誌・原稿11月30日最終入稿
 ゼミ誌原稿の最終入稿日は本日30日です!
 前回11・16ゼミ会議において、ゼミ誌『下原先生と、ちょつと不愉快な仲間たち』の最終入稿日が本日30日までと決定した。また当会議で掲載原稿本数が報告された。それによると16日現在で判明している原稿数は以下のようでした。
 【掲載原稿予定】
・清水理絵さん → 3作2稿          新語は、いくつでもOKです!
・塩崎真佑さん → 2作2稿          
・永井志穂さん → 1作
・白川達矢さん → 1作    ・河西杏子さん → ? ・内田すみれさん→ ?
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企画12・14合同ゼミ出し物・下原ゼミ小劇場「教室を法廷に」
 テキスト『范の犯罪』は、志賀直哉作品ではめずらしく裁判を扱ったものです。それも、これまでは、主に外観の観察でしたが、この作品では外見をみながら心の動きに焦点をあてて客観的に判断するという、超難解の観察劇です。昨年は、下原ゼミ生のみが裁判員でしたが今年は、チームワークで演じて、裁断を観客に委ねてみます。はたしてどんな判決が。
裁判名「ナイフ投げ奇術師美人妻殺人疑惑事件」
本日仮稽古、12月7日最終稽古、14日本番公演、ということで本日役を決めましょう。(その前にテキスト読みします)
出演・・・美人妻 ナイフ投げ 裁判長 検察官 弁護士 (一人二役)  関連3面


文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.137 ―――――――― 2 ―――――――――――――
課題だった、米軍基地についてのコラムと新聞記事からの創作(SF)は以下の通りです。
課題1.発表     米軍基地について 時事評     
 
・清水理絵「折りたたみ傘」
 合評=「おつらい」は表現的にどうか。反面的
・塩崎真佑「米軍基地を笑うとき」      
 合評=アイロニーがきいている。
課題2.発表  新聞記事から創作SF440万年前の日誌「アルディ」
・清水理絵「私が森を捨てた日」
 合評=「彼女は、なぜ森をでたのか。場景がわかる」「言葉のリズムがいい」 
・塩崎真佑「アルディの森」
 合評=「アルディが住む森にリアリティがある」「」
 
【最古の人類・アルディとは何か】HP
 人類の起源の年代は約700~600万年前と見られていますが、このアルディピテクス・ラミダスも人類の起源の周縁に存在した種であることはほぼ確実で、人類の直接的な祖先かは合理的推測の域をでませんが、人間とチンパンジーの共通祖先である可能性はありそうです。
類人猿から分岐した人類の祖先は『森林の樹上生活』から『サバンナの陸上生活』に生活圏を移して、直立二足歩行と集団行動で外敵から身を守り、果実・木の実といった植物の採集や肉食動物の食べ残しの死肉の回収などで食料を確保していたのではないかと見られています。アルディも歯や顎の形状から、何でも食べる『雑食性』であったことが示唆されています。
ラミダス猿人よりも古い化石であるサヘラントロプス・チャデンシスやオロリン・ツゲネンシスは、部分的な化石しか残っていないことから直立二足歩行の可能性が検証できない状況ですが、人類の祖先である可能性と類人猿(真猿類)の一種に過ぎない可能性の双方があります。アルディの脳容量は300~350ccということでチンパンジー程度の容量しかありませんが、猿人の化石の研究から人類の進化のプロセスは『脳の巨大化→直立二足歩行→道具の製作→文化的生活』ではなく、『直立二足歩行→脳の巨大化→道具の製作→文化的生活』だったのではないかと推論されているようです。
『創造説』を説くプロテスタントの熱心な信者が多いアメリカでは、チャールズ・ダーウィン以降の進化論が余り信頼されていないという統計調査もありますが、化石資料や遺伝学(DNAの近似性)の根拠に基づく進化論に説得力を感じる人であれば、人類のルーツを探求する古人類学というのはかなりエキサイティングな分野だと思います。
没観察記録 進化して人間になったというのは、どうしても信じられません。なぜなら、大昔洞窟にいた人間は、絵も上手だし、天体も知っていた。知能は発達したのではなく、最初からいまの人間と同じようにあった、と思うわけです。と、すると、彼らは、いったいどこからきたのか。
――――――――――――――――― 3 ―――――――文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.137
2009年読書と創作の旅
11・30ゼミプログラム
1.「通信」配布、出欠、連絡事項
  ゼミ誌編集委員 → ゼミ誌刊行に向けての報告。
            
2.司会進行指名 (司会 → 授業進行、朗読者の指名など)
3.12・14合同ゼミについて&テキスト読みと、事件再現稽古(時間)
 今年は、裁判員制度がはじまった記念すべき年ということで、昨年につづき裁判劇を行います。昨年は、法廷内の裁判を演じましたが、今年は事件再現劇にします。
 役としては数名が必要か →  前口上の人  ・・・・・・・ 
                ナイフ投げ奇術師 ・・・・・
                その妻 ・・・・・・・・・・
                裁判長 ・・・・・・・・・・
                検察官 ・・・・・・・・・・
                弁護士 ・・・・・・・・・・
 概要を知るために簡単に演じてみてから、自薦してください。芝居の概略は以下の通りです。セリフは、時間と合わせます。(テキスト省略)
演題「ナイフ投げ奇術師美人妻殺害疑惑事件」、脚本概要(時間を知る)
口上・「サーサ。そこの人、よってらっしゃい、見てらっしゃい。見なきゃあ損だよ。本日の目玉は、ナイフ投げ名人、ハンが1千回達成の記念の演武。的は、当演芸場きっての中国美人(候補=上海理絵・北京真佑・南京お杏)。過去999回、一度もしくじりはございません。しかし、成功は保証されてはおりません。玉のやわ肌、かすれば無残、血潮とぶ。サーサ、よってらっしゃい、見てらっしゃい」
舞台・奇術師美人妻、ゆっくり立って中国式礼。
    奇術師登場、客席に向かい合い礼。
演武・二人向き合う。奇術師ハン、客席に向かってナイフ4本みせて、紙を切ってみせる。
奇術師妻、笑顔で立つ。太鼓かタンバリンの音。止む。奇術師、ナイフを投げるまね。
ナイフ奇術師妻の頭上に突き刺さる。擬音、
口上・拍手を要請。
演武・奇術師、再びナイフをかまえる。太鼓の擬音。奇術師、ためらって、深呼吸。再び構えて投げる。ナイフ奇術師妻の右肩上に刺さる。擬音と拍手。奇術師、礼と深呼吸。なんどかためらう。擬音、かまえる。投げる。ナイフ首に刺さる。女、ゆっくり倒れる。悲鳴。
検察・故意だ。殺人事件
弁護・過失である。無罪
裁判官・観客に「みなさんの判決は?」
 
 テキスト読み『范の犯罪』 課題は、役どころのセリフ集約。
大正12年(1913)10月に『白樺』第10号にて発表。
【創作余議】「…奇術で、もし一人が一人を殺した場合、過失か故意かわからなくなるだろうと考えたのが想いつきの一つ」
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.137 ――――――――4 ――――――――――――――――
4.課題の発表 新聞事件記事から
社会問題・河西杏子さんの振り込め詐欺「タカシ」は、未発表だったので前号と重複します。
社会問題・振り込め詐欺      タカシ
河西杏子
 肌寒くなった秋の夕暮れを、窓の紅葉から感じながらハツはため息をついた。秋の夜長は、孤独な一人暮らしの老人には忌々しい物でしかない。入れたばかりの煎茶は、もうもうと湯気を立てていた。こんな寂しい時を迎えると、ハツは「長生きなんてするもんじゃない」と思ってしまうのだ。
 じいさんは早々にお空に召されてしまったし、息子は働き盛り。孫なんて何年も顔を見ていない。テレビを付けてみたところで、ハツには意味の分からない言葉を話す喧しい人間達が、馬鹿笑いを繰り広げているだけで耳障りなのだ。
「つまらない」
 ハツの口癖はそうだった。
 RRRRR……RRRRRR……
 滅多に鳴らない電話が喧しく鳴り響いた。ハツは、どうせつまらない勧誘電話か何かだろうと、面倒になって食べ終わったミカンの皮を、少し離れたゴミ箱へ投げ入れた。ミカンの皮は、手前で落ちてハツはぶつぶつと文句を言いながらゴミ箱に捨て直す。
 RRRRR……
 電話はまだ鳴り響いていた。ハツは仕方なく、のっそり歩きながら電話台のそばまでやってきて、受話器を耳に当てた。
「はい、もしもし?」
 もう大分遠くなった耳を押しつけて相手の声を聞こうと思ったが、一向に相手は話し出そうとしない。
「もしもーし」
 もう一度聞いてもうんともすんとも言わない相手に、ハツは受話器を置こうとした。
『……ばあちゃん?』
 消え入るような若い男の声が、そう呟いた。ハツは、受話器を置くのをやめ、「タカシかい?」と聞き返した。
『うん』
 相手はそう返すと、『久しぶり』と少し照れくさそうに言った。その声に、ハツは心が温かくなるような気がした。ハツは急いで受話器をしっかり当て直すと、電話の相手に話しかける。
「何年ぶりだろうねえ、お母さんは元気かい」
『うん、ピンピンしてるよ。ばあちゃんは元気してる?』
「元気だともさ。百歳まで生きられるよ」
 ハツの軽口に、タカシがクスクス笑う様子が受話器越しに感じられる。人との会話がこんなに楽しいと思ったのは何年ぶりだろうか。すっかり寂しさに卑屈になった心が、タカシのおかげでほぐれていくような気がする。
「それにしても、どうしたんだい。いきなり電話してきて」
 ハツは、電話をこたつの上に置くとすこしぬるくなった煎茶を飲み干した。
『ああ……なんでもない』
―――――――――――――――――― 5 ――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.137
 急に声を落とすタカシに、ハツは何だか嫌な予感がして「なにがあったんだい」と聞き返した。
『うん、我が家で少しお金が必要になっちゃって。母さんとかは、ばあちゃんに知らせるなって言うんだけど』
「お金かい? どのくらい入り用なの」
『五十万ほどって言ってたかな』
 タカシはそう言って、その事は決して両親には言わないでくれと念を押してきた。孝行心から来るタカシの優しさに、ハツは益々聞き入ってしまう。
「残念ながら、今は手元にまとまったお金がなくてね。もう少しすれば年金が入るから、少しは渡せるんだけど……」
『そっか、急にばあちゃんに電話してごめんね。また、家の様子見て連絡するよ』
「そうかい? また、何かあったら電話をおくれよ」
 ハツは、タカシの役に立てない事に酷く悲しい気持ちになった。そんな気持ちと、タカシから来た久しぶりの電話を嬉しく思いながら、ハツは受話器を置いた。そうして、ゆっくりとまたコタツに潜り込むと、散らかしたままだった机の上の住所録を片付け始めた。面倒くさいと思っていた年賀状だが、ハツはタカシにだけは送ってやろうと思い、パラパラと頁をめくる。そうして見つけたタカシの名前に、ハツの指は止まり、同時に身震いをして住所録を放り投げた。
 住所録の項目には、「息子」と書かれた文字がやけに大きく載っていた。
□ オチがいいですね。
事件観察『罪と罰』 僕は、なぜアレをやってしまったか
 英国人女性の死体遺棄容疑で指名手配されていた容疑者が逮捕されて、1ヶ月近くなる。が、容疑者は口を閉ざしたままだという。食事も拒否していたが、最近、食べたという報道があった。容疑者の心を想像してみましょう。犯行の原因を推理してください。
 それにしても、変な話を聞きました。この容疑者のファンが若い女性のあいだで口コミで増えているというのです。ほんとうでしょうか。そういえば神戸の少年Aのとき、そんな現象がありましたが・・・・。
華麗なる復讐
清水理絵
 僕は、財産のある家に生まれ、厳格な父母に育てられ、エリートコースを走っていました。でも僕は、勉強しなかったから、大学に落ちました。
 白人? 嫌いですよ。大嫌いです。見ただけで虫ずが走る。あんな女ども、鉈でたたき切るのが一番ですよ。白人は、黒人を差別してきた。死ねばいいと思います。
 どうして僕を悪者にするかなあ。白人への正当な復讐ですよ。何、小さい頃、いいや、これは言わないでおこう。
 知っていますか? 白人の歴史は、黒人を踏みにじって成立したんですよ? だから、僕は白人を犯し、蹂躙し、切り裂くのです。いや、それだけじゃない。僕に対する罪も精算していない。あいつらは。
 あいつらが死ねばいいのと同時に、僕だって死ねばいい。生きているのが拷問のようです。幼い頃、僕の大事な部分をもてあそんだアイツ。だから時々、その部分を切り取りたくなる。白人はみんな、憎い。食欲を豚肉で満たすように、性欲だって豚で満たすのです。あいつらなんて、僕の肉奴隷で十分なのです。
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo・137―――――――― 6――――――――――――――――
 食べなければ死ねると思いました。もう、何も満たしたくはない。僕なんて、蔑まれて足蹴にされればいい。
 ああそうです。白人が全て悪いわけじゃないなんてこと、分かっています。けど、見れば見るほど、「アイツ」に見えて、犯したくて、殺したくて。
 意味分かります? 分かんないですよね。だから、言わない。どうしても聞きたかったら、そうですねえ。適当な白人女性連れてきて、緊縛して、好きなようにさせてくれれば、最後に食べたご飯のメニューぐらいなら教えますよ?
 沖縄に行きたかったのは、反吐が出るような白人がわんさかいるから。逃走経路はね、日本に点々とある、米軍基地めぐりをしていたよ。二人ほどレイプしたけど、何の音沙汰もないですね。
「アイツ」を殺そうと、ずっと思っていた。だけど、「アイツ」は勝手に死んだ。的を失った宙ぶらりんな僕は、何もしないで静かになんて、暮らせない。
□ 犯罪の原因は幼児体験にあるようですね。
告 白
塩崎 真佑
 
 リンゼイさんのことになると、市橋容疑者は途端に口をつむぐ。ぽつぽつと自分の生い立ちなどは話し始めたのだが、彼女のことについては誰の耳にも入っていないという。彼からしてみれば、リンゼイさんはある一つの鬼門としてあり続けるものかもしれない。といっても、薄眼を開けたまま決して誰とも目を合わせようとはしない、彼の様子から窺えるものは、極めて少ないように思われる。彼の口が割れぬ限り、このひどく世間を騒がせた逃亡劇に終止符を打ったことにはならないし、憶測だけで説明がつかない事柄が永遠に解き明かされることがなくなってしまうだろう。
 私が今日、取調べ室に入ると市橋は頷くように頭を下げ、言葉を口に出すことはなかったが勝手を知ったように手だけをテーブルに置いていた。
「今日は幾分か体調が良さそうだな」と私は彼に話しかけた。頬は痩せこけていたが数日前に、やっと口にしたものが血に回ったのか血色はいいような気がする。
「どうして食べなかったんだ」と私は言った。「なかなか味はいけただろ。ちゃんと食べなければついていけるものもついていけまい」
 私は、この言葉も返してはくれないだろうと思っていたが、市橋はぼっそりとしかしはっきりとした声を出した。
「食べたいと思わなくて」と彼は言った。「食べようというものもなかった」
「そうか。気分はどうだ?」
「大丈夫です」
「では、今日は少し話してくれるか?」
 ゆったりと椅子に私は腰を掛けたが、「はい」という返事はなく、しばくらくというもの彼の口は開かれなかった。仲間の捜査員が目配せするように合図を送ってきたが、私はどうするわけもなく少し間をいれるのも悪くないだろうと待ち続けていた。そして、もういいだろうという頃合いをみて私は聞いた。
「事件のことは覚えているか?」
「はい」と彼は言った。「しかし、途切れ途切れにしか思い出せません」
「リンゼイさんとは英語のレッスンをしていたようだが、何かこじれるような事でもあったのか?」
「いえ」彼はまた口を詰むんでしまうだろうと私はそこで感づいたので、また別の質問を付
加えようとした。「どうして逃げた。こうなることは予想がついただろう。それども捕まりたくなかったのか」
―――――――――――――――――― 7 ――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.137
 彼の唇はぶるぶると震えるようであった。ただそうは言っても、顔までを伏せることはなかったので、今日こそは話そうという意思があるように思えた。
「逃げようと思って、逃げたのではありません」彼は言った。「自分でももう駄目だと思い続けていました。けれど、そのいう反面、逃げる手立てを始終考えていたように思います。今となっては、逃げようと言う意思がはっきりとあったわけではなく、ただ思いつくままに行動していただけかもしれません。実際、捜査員と鉢合わせして逃げた時、私は裸足でした。そして、そのまま逃げ通せたのは何が理由と言うわけでもなく、まず考える前に身体が動きました。靴は庭先にでていたサンダルをかっぱらって、それからタクシーを拾いました。あとは、ご存じの通りだと思います。
 リンゼイさんには何度か英会話を教えてもらいました。それ以上の関係はなく私も好きでもなく嫌いでもなかったと思います。ただ、将来外国へ行きたい一心でした。とうに親の望みであった医者になることを諦め、刺激がなく一日を過ごしていました。そんな中でも英語だけは真面目に取り組もうとやりました。
『もう大丈夫』彼女は、髪に手を当ててよく私にいいました。『英語出来るのじゃない。外国にいくなら十分よ』
 こういうわけで、私の英語の上達はますますいいものとなりました。しかし、どうしても私はこのレッスンを振りはなすことができず、物寂しさから何度もかこつけの英会話を習いました。しかし、しだいに彼女が嫌々に請け負っていることを知り、私もそれを承知で頼み続けたので事態がますます悪くなってきました。
 ある日、私もさすがにこの状態が続くのはまずいと思い、最後のレッスンにするから後で話しだけは聞いてくれと頼みました。私はこれだけはというものを譲歩しました。結局のところ、私には話を聞いてくれる人が少なかったのです。
 私は、その日のレッスンを終えると彼女を自宅に招き入れました。何気なく話を始めるうちに、彼女が恵まれているのだなと感じました。私には確かに家族はいましたし、お金もあって身体にも不自由はしていません。しかし、確かに何かが足りないと訴え続け、私を羨む人は必ずと言っていいほどそれを持っていました。彼女にもそれがありました。この日本にいるのも海外で仕事をするためだと彼女は喜々として話しだしました。そして、連絡を取り合っている家族のこと、そして友人のこと楽しそうな表情で私に教えました。ねえ、刑事さん。私はリンゼイさんが嫌いじゃなかったですよ。むしろ、私に丁寧に英語を教えてくれた、明るい人でした。だから、どうして首をしめようとしたのか、なぜ殴ってまで口と鼻を押さえようとしたのか、その時、一気に血が上ったんです。あの人こそ、全ての原因だというばかりに思いこみ、そして簡単に彼女をこの手に落ちてしまいました。どうして、こんなにも私が苦しむ前に彼女が死んでしまったのか今でも呆気になります。彼女の悲鳴と私の悲鳴が消えた時、もう、私は何にも捕われることなく出て行かねばならないと思いました。これが私の話せるだけの真相です」
 私はこれまでじっと黙って聞いていたが、もうこれ以上、市橋は話すことがないと知ると、捜査とはおそらく無縁の質問をした。
「なぜ、もっと前に外国に逃げなかったんだ」
市橋は、もうそれに答えようとはしなかった。
その後の取り調べ室の様子といえば、機械的な質問と受け応えが交わされ、事件は滞りなく解決の道へ進みつつある。多項目にわたる調書は間もなく出来上がるころだろう。市橋とは、あれから話を交わすことはなかった。
私はこの事件を単純明快なものだと思っている。しかし、市橋の心中はいつまでも憶測の域から離れることはないだろうし、それは他の事件を例に挙げても言えることだった。そして、その点に関して言えば、彼は一生それを解き放つことが出来ないのであろうかと私はぼんやりと思った。
□ 取調官という視点がいいですね。動機も意外なものです。
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo・137―――――――― 8――――――――――――――――
新聞記事・SF創作 最古の人類、アルディの一日
始まりと終わりのとき
 清水理絵
 寒い。それは、死者が起きるから。昨日、僕のお母さんが死んだ。起きてこないように、体を折り曲げて埋めたのに、起きてしまったらしい。
 死体は怖い。今まで動いていたもの、全て止まって、腐って。村の長老は、誰もがみな、そうなると教える。僕には、信じられない。僕のこの、隆々とした筋肉が、堅い意志が、止まって腐って埋められるなんて、信じられない。
 長老は、では、始まりがあって、終わりがないものがあるか、と言った。そなたも、誕生の瞬間を私が見ている、と。
 終わりがないもの。この世でしょうか。
 そう言ったら、長老はカラカラと笑った。
 あるいは、私たちが終わらせるのかもしれない。
 長老は急に真顔になって、目をつぶった。
□ 死と生は、いまも謎です。
あの先にある地
塩崎 真佑
 ごわごわの毛むくじゃら、ラミダス猿人達は考えた。
 あの先には何があるのだろうと首をかしげれば、胡坐をかき指でトントンと膝の上を叩きだす。
「あっちには食べ物があるにちがいない」
 そういって、張り切って今にも飛び出しそうな若者も出てくるが、ふいっと年長者らしい一人がのっそりと立ち上がり、その澄んだ目でその若者を見上げれば事済んでしまう。
「なあに、慌てることないさ。まだ暗くなるまでは時間がある」
 アルディはその言葉に耳を傾けて聞いていたが、本当はどうだろうかと思っていた。ここの所、この森林には取り合うほどの食べ物がなく、じっとするのにも我慢が足りなくなってきているのである。一番の長老は、差し止めるのだけど木に登って見える平地はここよりも生茂った草があり水辺がある。そして、何より本能がそちらを指し示すようなのである。
「でも、私はお腹がすきました」とアルディは言った。
「アルディ、知っていないわけではないだろう。あの先には身を隠すものが何もないし、今までも帰ってこないものが多くいる」と長老は言う。「皆もそうだろう」
「そうとも。何より寝床を守るのが一番だ」
「空も陰を作って、近頃は喉が渇くことも少なくなった」
 口々に「そうだ」「そうだ」というのは身体が思うように動かなくなったものばかりで
少しでも余裕があるものは、考え込むように下を向く。
「けれど、動物達を見かけるのも少なくなりました。それはあちらに行ったからです。この森には私達の寝床とそして飢えることのない食べ物がありますが、あちらにはもっと満足するようなものがあるのではないでしょうか」
 そう言って、アルディがシュロの外縁をじっと見つめると、何人かもその先にある平地
を夢見るように目をやった。
「ならん、ならん」
「そうだ、ならん、ならん。私達を置いていくか、それもいいだろう。しかし、もし何もなかったらどうする。途中で足がもつれ、木がなかったら天敵から逃れることもできないぞ」
―――――――――――――――――― 9 ――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.137
 長老たちはそのように言うのだが、アルディは言い返すように言った。「いえ、途中で引
き返せば何も起こりようがありません。それに試しに行くだけで、寝床まで変えようとは、
思っていませんよ」
「ほら、星が出た」
「お開きだ、お開きだ。また明日にしよう」と長老たちは言った。
 アルディはひと口だけトチネズミの肉を身体にいれると、食べずに我慢をしている男達
にそれを返して渡した。また、目を瞑れば陽が上り、すぐにお開きだ、終わりだといって一日が終わる。このまま、お喋りと昼寝は続くのだと思うとアルディはのんびりとした気持ちになった。しかし、日に日に少なくなっている食べ物を目にすると、途端に心配になってくる。長老たちは明日にはよくなるというのだけれど、また明日には同じことを言うに違いないのである。
 そして、アルディは今日のことを想って目を瞑った。
 シュロの木の先には、あらゆるものが待ちかまえていてこの世の先がある。しかし、アルディはそのことを知らずに明日を迎えることになる。そして、あれだこれだと文句を言いながら穏やかな一日を終えるのである。
□ 創作の原点は無からつくりだすこと。それがよくできています。
土壌館日誌
 11月23日(祝日・月)に全作品を読む会・読書会は、予定通り「紅葉の高尾山ハイキング」を実施した。最近は、寒かったり、暑かったりと気温の変動が激しかった。が、連休最後のこの日は、前日の氷雨が嘘のように暖かく快晴。まさに絶好の紅葉日和となった。
 登山口の「京王線・高尾山口」駅に到着する電車は、どれも満員。リック姿の老若男女さまざまである。ベビーカー、ペットの犬を抱いた人も目立つた。高尾山は、今年から外国人向けの観光ルートにあげられた。そのせいあってか3割がた外国人だった。
 集合時間10時をはさんで参加者、ちらほらみえはじめる。事前に出欠をとっていなかったので、はたして誰が来るのか予想がつかなかった。(用事で欠席は2名)
 トップは、埼玉県の市役所に勤めるAさん。すでに待っていた。早い時間にきたらしい。つづいて横浜からBさん。つづいて都職員のCさん。朝、お天気があまりによかったので参加することにしたとのこと。混雑する人混みの中から白髪のN子さん。N子さんは、書道の大家で歌人でもある。小学生のときにあの2・26事件を体験したというから、ご高齢だが、いつも参加される。夏の谷津干潟めぐりは10名だったが、この日は常連組が都合悪く、いつもの半数。10時15分、総勢5名出発。道沿いには色づいたもみじが。10時30分、高尾山登山口に到着。高尾山に詣でるにはロープウェイ、ケーブルカー、1号路参道、6号路、そしてハイキング道の稲荷山コースの6通りある。読書会一行は1号路を行くことにした。舗装された急な坂道がつづくが、道沿いに立ち並ぶ杉の大木は壮観である。霊感あらたか。と、よかったが、ここで大きな山なら遭難に至るハプニング。案内の下原が迷ってしまったのだ。ちょつと目を離したスキに一行を見失ったので、少し先に行って来るのを待っていた。ところが一行は、動かずにじっと待っていた。携帯は圏外、40分のロスをだした。
 出だしでつまずいたが、その後は順調。落伍者もなく1時間かけてロープウェイの「高尾山駅」に、はるかかなたまでひろがる東京の大パノラマ。たこ杉をみて高尾山薬王院を参り、標高599㍍の山頂到着は13時。3・8kmを歩ききった。山頂も人の波だが、たのしくお弁当を食べた。N子さんにおはぎをいただく。参加者を10名くらい予想して作ってこられたとのこと。帰路、乗車予定のケーブルカーは40分待ち。徒歩で下山。N子さんの体力気力に脱帽。90歳で心身ともに健康なのだ。4時、怪我も体調悪化もなく無事駅に。2階のイタリアンレストランで、ビールで乾杯。紅葉と観光客の見物。一石二鳥の楽しい読書会レクレーションでした。
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo・137―――――――― 10――――――――――――――――
11・16ゼミ報告
出席者=清水理絵、塩崎真佑、白川達矢、河西杏子(早退)
司会進行=白川達矢
1.ゼミ誌進行状況 掲載原稿2稿締切日11月30日 新語募集
2. テキスト読み『児を盗む話』前ゼミのつづき
3.課題発表・時事【米軍基地問題】、新聞記事創作【最古人類アルディの一日】
人間とは何か ハイネの詩
問い
     荒れた夜の海辺に
     若い一人の男が立っている
     胸は哀愁で 頭は疑惑でいっぱいだ
     暗いくちびるで 男は波にたずねて言う
「ああ 解いてくれ 人の命のこの謎を 太古から人を苦しめたこの謎を
いろんな頭があれこれと それについては考えた 象形文字の帽子をかぶった頭
頭巾や黒いふちなし帽をかぶった頭 その他さまざま 幾万幾千 哀れな人間の頭が
汗出して考えた 言ってくれ 人間とは何なのだ ?!
どこから来たのだ どこへ行くのだ ? 」
          波はぶつぶつ永遠のつぶやきをつぶやいて
          風邪は吹き 雲は飛ぶ
          星はひややかに 冷たくまたたいて
          一人の道化(バカ)が 答えを待っている。
ゼミ誌作成における進行状況
ゼミ誌関係についての連絡 → 河西編集長 kosai@msf.biglobe.ne.jp
11月30日  最終原稿締切り
12月初旬  印刷会社入稿
12月14日  刊行されたゼミ誌『下原先生と、ちょっと不愉快な仲間たち』
      を雑誌編集室に提出。
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モーパッサン短編集1~3』
 田舎・都会・恐怖・戦争・人生。人間の深層をこれほど面白く的確に描いた作品は、他にない。 短編の名手、モーパッサンの作品は、人間の心の闇を照射したものも多い。
『狂人』も、そのなかの逸品である。鋭い人間観察。
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 …私も小説を書き出しの頃はモウパッサンの影響を受けた。私の場合は話の筋は私自身のものであるが、短編構成の技法は色々教えられた。自分の力が充分でないと、兎に角、考えた話を短編の形式にはめ込むと、どうか、物になった。私は初めの頃、その形式を一番モウパッサンに学んだ。題名なども、うまく浮かんで来ない場合、アフター・ディナー・シリーズという一冊50銭の英訳モウパッサン選集を沢山持っていて、その目次を一つ一つ見ていくうちにふと、うまい考えがうかんだりしたこともある。… 志賀直哉
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―――――――――――――――――― 11 ――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.137 
土壌館・実践的投稿術 ⑤
 
 文章力修業として投稿も、その一つの手段といえます。投稿は、投稿者が多ければ多いほど採用される確率は低くなります。が、そのことは即ち投稿作品の質の向上にもなります。様々なものへ観察・興味を抱く要因ともなるので、投稿は一石三鳥ほどの価値があります。
 もっとも投稿といっても、小説・論文投稿から標語まで多種多様です。が、ここでオススメするのは新聞投稿です。新聞は、毎日投稿できます。政治・社会・生活観察・自分の意見と幅もあります。また、時流や出来事のタイミングも重要となり自然、書くことの日常化・習慣化が身につきます。文章力研磨にもってこい場ともいえます。
 土壌館では、文章力を磨く目的はむろんですが、社会への疑惑や自分の意見・感想を伝えるために新聞「声」欄に投稿をつづけています。なぜ「声」欄かというと、500字という字数は、人が飽きなく読む字数であるということと、文体を簡潔にできるからである。
 最近、文科省報告にこんな調査結果があった。日本人の学力が、世界のなかで年々下降気味にあるというのだ。理工系が、とくにひどいという。なぜ下がったのか、受験一辺倒の勉強方針に問題があるとみられるが、もっと根本的、土壌的なところに問題はありそうだ。
 十数年前、子供の体力が下がっているというニュースがあった。そのニュースを聞いて、次の意見というか考えを投稿した。
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◆ 1996年(平成8年)11月5日  朝日新聞「声」欄 下原敏彦
地域に必要な子供たちの場
 いま町道場で子供たちに柔道を教えている。半年前、高齢の道場主から都合で続けられなくなった、と相談された。築30年近く、根太は腐り、雨漏りはするオンボロ道場で、けいこにくる子供もわずかだった。が、私は息子が10年以上も通った道場だけに愛着があった。一人でも通う子どもがいる限り町道場の灯を消したくない。そんな思いもあって引き受けた。
 町道場をやってみてわかったことがある。柔道場に限らず子供たちが運動する場所が、地域にはあまりにも少ないということだ。最近の子供は体力が下がってきているという調査がある。が、子供たちはランドセルを置いてもどこにも行く場所がないのである。
 テニスコート、ゴルフ練習場、ダンス教室と、大人が運動する場所はたくさんある。それに比べ、子供が思い切り体を動かせる場所は皆無に等しい。スポーツ宣言都市などで、公共施設は立派なものが完備されている。が、地域においては空き地すらない。町道場も激減している。子供たちの体力づくりを真剣に考えるなら、地域施設の整備が先決だろう。
 柔道大会に向けて、子供たちは床の抜けそうな道場で一生懸命、けいこしている。
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 政治は、子供たちの体力低下問題を「ゆとり教育」で、是正しようとした。土曜日を休日にしてスポーツやレクレーションで体力づくりしようということである。かくて、公立学校は土曜休みとなった。はたして、ゆとり教育で体力低下の歯止めや回復はできたのだろうか。塾に行く子供とゲーム遊びする子供を増やしただけ。そんな見方もある。
 そもそも、体力・健康づくりは、立派な運動施設を作ったり休みを増やしただけでは解決しない。毎日、遊べる場が必要なのだ。この投書から十数年。昨今、新型インフルエンザ流行で、多くの小学校が学級閉鎖や学校閉鎖に追い込まれている。伝染性の強い病原菌だから多くの子供が感染するのだろう。が、たんにそれだけともいえない感じがする。子供の体力は、あのとき以上に落ちている。そんな気がしてならない。
 思うに昨今の学力低下は、体力低下が招いている。そんなふうに思えて仕方がない。体力低下→勉学意欲低下→運動意欲低下→体力低下→学力低下。デフレ状態なのだ。
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo・137―――――――― 12――――――――――――――――
テレビ観察
 
爆笑問題 VS 亀山郁夫(ロシア文学者・東京外語大)       
 11月17日(火)夜11時、NHK「爆問学問」で、漫才コンビの爆笑問題と亀山郁夫氏の対談番組があった。この番組は、お笑い漫才コンビ爆笑問題(太田と田中君)が、その道の識者・専門家を訪ねて議論する内容。まったくのド素人の大田が、放つトンチンカンな質問が受けてか、わりと人気がありつづいている。非凡人対凡人の対話が面白いらしい。
 今回は、長い、くどい、暗いのイメージで敬遠されがちなドストエフキーを広く世に知らしめ、かつその本をこの出版不況下にあって100万部という驚異の発売部数、金字塔をうちたてた亀山さんへの訪問となった。冒頭で、ロシアのメドベージェフ大統領にプーシキン賞を授与されたときの映像も流れた。
 会場となったのは、新宿にあるロシア料理店。美味しそうなロシア料理を食べウオッカを飲みながらの豪勢な対談だった。ドストエフスキーは場末が似合う。そんな固定観念的印象からか、ちょっと違和感があった。
 話のなかでしばしば昨年の秋葉原事件があげられた。犯人はなぜ、あんな異常な事件を起こしたのか。この問題に対し亀山さんは、犯人への処方箋は、ドストエフスキー文学にあると説いていた。なぜ、異常な犯人が増えているのか。その原因にも触れられていた。が、人を殺したいという考えは、異常な人間だけでなく、どんな人の心にもある。どんなにやさしい人のなかにも、どんなに立派な人のなかにも棲みついてる。イワンが指摘した、アリョーシャの闇。そのへんまではいかなかった。爆笑問題というコンビと亀山氏の対談だが、太田君が質問し、相棒の田中君に説明する、といった流れだった。ちなみに太田君は『カラマーゾフ』を読んできたふうだったが、田中君は、まだのようだった。
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哲学的な言葉だった
 哲学的な言葉だった。17日の「爆問学問」(NHK)は、ドストエフスキー研究の第一人者でロシア文学者の亀山郁夫先生。放送は遅い時間帯だが、この日はなんとしても見たかった。ドストエフスキーの作品は以前時間をかけて読んだが、難解で消化しきれず、ずっと心にしこりのように沈んでいた。亀山先生の言葉は「大地という観念は、自分の心を開く」などと哲学的で、そうした言葉を反芻(はんすう)しながらその夜は眠りについた
2009年11月25日、朝日新聞「はがき通信」欄(新潟市・植木テル・主婦・79歳)
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編集室便り
☆ 原稿、歓迎します。学校で直接手渡すか、下記の郵便住所かメール先に送ってください。
 「下原ゼミ通信」編集室宛
  住所〒274-0825 船橋市前原西6-1-12-816 下原方
  メール: TEL・FAX:047-475-1582  toshihiko@shimohara.net
□ゼミの評価基準は可(60~100)とします。評価方法は、次の通りです。
  課題の提出原稿数+出席日数+ゼミ誌原稿+α=評価(60~100)
ゼミ日誌記録
2009年読書と創作の旅、後期の記録
○9月12日 ゼミ合宿・那須塩腹、参加5名 『貧しき人々』朗読 司会=白川
□9月28日 参加5名、司会・白川、愛読書発表(清水・白川・塩崎)『出来事』読み
□10月19日 参加4名、司会・河西 課題発表、『正義派』読み、名作『あしなが』
□10月26日 参加3名、司会・塩崎 課題発表「登録」塩崎作品、『灰色の月』読み
□11月 9日 参加者4名、司会・清水、課題発表・社会問題「登録」塩崎、「つなわたり」
       塩崎、テキスト読み『子を盗む話』途中
□11月16日 参加3名、司会・白川 テキスト読み『児を盗む話』、課題発・表時事「折
       りたたみ傘」清水理絵、「米軍基地を笑うとき」塩崎真佑、社会問題・オレ
       オレ詐欺「詐欺電話」白川、記事創作SF「アルディの一日」清水、「アル
       ディの森」塩崎。
□11月30日 テキスト読み「ハンの犯罪」
       
後期提出作品内訳
「2009年読書と創作の旅」⑨ 新聞記事から創作
・白川達矢「ポカリ」(電車事故)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
・塩崎真佑「窓」(電車事故)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
・慈剛寺徳子「死にかけた」(電車事故)・・・・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
・塩崎真佑「登録」(社会問題)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
・清水理絵「私は中立」(ダム問題)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
・塩崎真佑「ダム問題は誰のもの」(ダム問題)・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
・清水理絵「好きになったんです」(新聞記事創作)・・・・・・・・・・・・・発表済み
・塩崎真佑「つなわたり」(新聞記事創作)・・・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
・清水理絵「沖縄米軍基地」(時事・コラム)・・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
・慈剛寺徳子「アルディの一日」(SF・新聞記事創作)・・・・・・・・・・・発表済み
・河西杏子「タカシ」(社会問題)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・塩崎真佑「米軍基地を笑うとき」(時事)・・・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
・塩崎真佑「アルディの森」(SF・新聞記事創作)・・・・・・・・・・・・・発表済み
・白川達矢「詐欺電話」(社会問題)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
・清水理絵「華麗なる復讐」(事件観察)・・・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・清水理絵「始まりと終わり」(新聞記事・SF創作)・・・・・・・・・・・・未発表
推薦図書 
戦争観察の傑作ルポ
石川達三『生きている兵隊』(中公文庫)571円+税
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 南京虐殺があったと言われる南京攻略を描いたルポタージュ文学の傑作。四分の一ほど伏字削除されて、昭和13年『中央公論』に発表されたが、即日発売禁止となる。・・・・
    (解説・半藤一利)
 日支事変については軍略その他未だ発表を許されてないものが多くある。従ってこの稿は実践の忠実な記録ではなく、作者はかなり自由な創作を試みたものである。部隊名、将兵の姓名もすべて仮想のものと承知されたい。(作者)
名作紹介 日本文学最高峰作品
       日本文学のなかで最高峰作品といえば太宰、三島、川端文学でもない。まし
     て村上春樹作品でもない。
佐藤春夫『田園の憂鬱』
新聞 文化審議会国語分科会の漢字小委員会は11月10日、「改定新常用漢字表」
   に関する試案を承認した。
 それによると1945字からなる現行の常用漢字表に「挨(あい)」など196字を加え、「銑(せん)」など5字を外す予定で、新漢字表は2136字になる。
来年秋に内閣が告示
 試案は今月末から一か月間、文化庁のホームページなどで公開し、一般から意見を募る。10年春に文部科学省へ答申、同年秋に内閣が新漢字表を告示する。
追加・除外で196字が候補、来春答申
削除の4字 = 聘(へい)、憚(タン・はばかる)、哨(ショウ)、諜(チョウ)
追加の9字 = 柿(かき)、哺(ホ)、楷(カイ)、睦(ボク)、釜(かま)、錮(コ)
        賂(ロ)、勾(コウ)、毀(キ)
※ カタカナは音読み、ひらがなは訓読み(太字は送りがな)
161字の常用漢字紹介(161+追加の9字-削除の4字=196字)
ア行 = 挨(アイ)、 曖(アイ)、宛(あてる)、嵐(あらし)、畏(イ/おそれる)
     萎(イ/なえる)、椅(イ)、彙(イ)、茨(いばら)、咽(イン)、
     淫(イン/みだら)、唄(うた)、鬱(ウツ)、怨(エン・オン)、
     媛(エン/ひめ)、艶(エン/つや)、旺(オウ)、岡(おか)、臆(オク)
     俺(おれ)
カ行 = 楷(カイ)、潰(つぶす・つぶれる)、諧(カイ)、崖(ガイ/がけ)、
     蓋(ガイ/ふた)、骸(ガイ)、柿(かき)、顎(ガク/あご)、葛(カツ/くず)
     釜(かま)、鎌(かま)、韓(カン)、玩(ガン)、
     伎(キ)、亀(キ/かめ)、毀(キ)、畿(キ)、臼(キュウ/うす)、
     嗅(キュウ/かぐ)、巾(キン)、僅(キン/わずか)、錦(キン/にしき)
     惧(グ)、串(くし)、窟(クツ)熊(くま)、詣(ケイ・もうでる)
     憬(ケイ)、稽(ケイ)、隙(ゲキ/すき)、桁(けた)、拳(ケン/こぶし)
     鍵(ケン/かぎ)、舷(ゲン)
     股(コ/また)、虎(コ/とら)、錮(こ)、勾(コウ)、梗(コウ)、
     喉(コウ/のど)、乞(こう)、傲(ゴウ)、駒(こま)、頃(ころ)、痕(コン/あと)
※ サ行以下、当通信紙面にて順次紹介していきます。
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前期提出作品内訳
「2009年読書と創作の旅」① 5・11発行
・清水理絵「黄金週間」(一日観察)・・・・・・・・・発表済み
・河西杏子「爽やかな憂鬱」(一日観察)・・・・・・・発表済み
・清水理絵「勝手に相談」(生物観察)・・・・・・・・発表済み
・清水理絵「政治献金について」(社会観察)・・・・・発表済み
「2009年読書と創作の旅」② 5・18発行
・永井志穂「不快指数の充実」(車内観察)・・・・・・発表済み
・白川達矢「覚える」(車内観察)・・・・・・・・・・発表済み
・塩崎真佑「視線」(車内観察)・・・・・・・・・・・発表済み
・河西杏子「楽しい電車」(車内観察)・・・・・・・・発表済み
・白川達矢「水とバタ」(店内観察)・・・・・・・・・発表済み
・白川達矢「女王」(一日観察)・・・・・・・・・・・発表済み
・清水理絵「ちょとつ妄想」(雨日観察)・・・・・・・発表済み
・塩崎真佑「新型インフルエンザ」(社会観察)・・・・発表済み
※ 塩崎真佑「自分の一日」(発表済み)は、『ゼミ通信124』に収録。
          「2009年読書と創作の旅」③   6・1発行
・清水理絵「呪われた木曜日」・・・・・・・・・・・・発表済み
・塩崎真佑「マナーモード」・・・・・・・・・・・・・発表済み
・塩崎真佑「自分の一日」・・・・・・・・・・・・・・発表済み
・白堅知佳「カウント」・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
「2009年読書と創作の旅」④ 6・8発行
【大学構内教授殺人事件】犯行の動機。実際の審議と平行してみていく。
〈容疑者の調書〉A、B、C、D・・・・・・・・発表済み
「2009年読書と創作の旅」⑤ 6・15発行
・白樫知佳「コインランドリと「女性」の雑誌と男」・・・・・・発表済み
・河西杏子「苦い水」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
・清水理絵「弁当箱を探して」・・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
・塩崎真佑「待合室」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・発表済み
「2009年読書と創作の旅」⑥ 6・22発行
・永井志穂「22歳の恥」⑥・・・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・河西杏子「小池騒動記」⑥・・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・塩崎真佑「夜の向こうへ」⑥・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・清水理絵「道化者」⑥・・・・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
    「2009年読書と創作の旅」⑦
・永井志穂「生焼けの朝」⑦・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・塩崎真佑「一日観察」⑦・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・清水理絵「あさりちゃん」⑦・・・・・・・・・・・・・・未発表
・塩崎真佑「車内観察」⑦・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・白樫知佳「自分観察」⑦・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・白樫知佳「車内観察」⑦・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
【中大殺人事件告訴】
・塩崎真佑「重罪を」⑦・・・・・・・・・・・・・・・・・未発表
・白樫知佳「無期」⑦・・・・・・・・・・・・・・・・・・未発表

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