号外!文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信2

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土壌館創作道場は文章修業の場です。決められた字数で自分の考えをどれだけ表せるか ― それも稽古のひとつです。
例・その3 テレビのニュースで見たことを 500字にまとめる
数年前になるが、夕食の後、娘がめずらしくNHKニュースを食い入るように見つめていた。コソボ紛争のニュースで、丘の家々が燃えていた。遠い国の不可解な戦争だが、彼女は何を感じたのか興味あった。つぎの日、娘は、見たときの気持ちを500字にまとめてみたといってもってきた。
投稿記事紹介

燃える家々に「戦争」を実感
                               下原モモ
 先日、テレビのニュースで、ユーゴ軍の攻撃を受けたコソボ自治州にある農村の姿が放映されていた。そこには、白いしっくいの壁に赤い屋根をした、おとぎ話に出てくるような愛らしい家々が、緑の中にたたずみ――そして、燃えていた。
 私は戦争というものを、歴史上の事実としてしか知らない。日本も半世紀ほど前、第二次世界大戦の戦火の中にあったと習っても、そして現在でも世界各地で戦争が進行中だと耳にしても、不審船が日本海に出没したと知っても、さほどの実感というものがわかなかった。
 しかし、あのテレビ映像はねあまりに悲しかった。受験勉強中に世界史を学び、第二次大戦のビデオも見た。しかし、どんな悲惨な記録や映像よりも、美しい農村の家々が燃やされている光景は、何より衝撃的だった。
 私は戦争の残酷さを、初めて実感として垣間見たような気がした。戦争を全く経験していない私たちの世代が、これからの日本と世界の未来を担っていく。
 私は今春から大学の文学部史学科一年生。大学では歴史としての戦争を学ぶだけでなく、本当の平和を手に入れるためには、どうすべきか、そして自分には何ができるのか、考えてみたいと思う。
(1999年4月3日 朝日新聞「声」欄)

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