文芸研究Ⅱ 下原ゼミ通信No.176

公開日: 

日本大学芸術学部文芸学科     2011年(平成23年)10月17日発行
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.176
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                             編集発行人 下原敏彦
                              
9/26 10/3 10/17 10/24 10/31 11/7 11/14 11/21 11/28 12/5 
12/12 1/16 1/23
  
2011年、読書と創作の旅
10・17下原ゼミ
10月17日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。ゼミ2教室
1. 通信176配布 出欠 連絡事項「前回ゼミについて」 司会指名
2. ゼミ雑誌編集(原稿提出状況)報告 他
 
 3.  テキスト『兒を盗む話』読み  起訴状&私(犯人)の供述
4. 名作・家族観察『にんじん』読み、「もぐら」「ねこ」他
    
10・3ゼミ報告
何処も同じ秋の夕暮れ
 今年の紅葉は、台風の影響であまりよくない。潮風が、紅葉前の葉を枯らしてしまったのだ。公園の植木も街の街路樹も、南側の葉は黒ずんで枯れている。見渡せば花も紅葉もなかりけり、何処も同じ秋の夕暮れ、というわけである。この日のゼミ参加者3名。
ゼミ誌『旅路報告』の原稿締切日10月17日延期に
 ゼミ初日の9・26は、ゼミ誌『旅路報告』の原稿締切日だったが、提出者は4名だった。このため、最終締切日を10月17日までと決めた。
ゼミ誌『旅路報告』の表紙絵、春日さんの写真デザインに決定 !
 ゼミ雑誌の評価は、むろん中身であるが、表紙の第一印象というのも捨て置けない。創るからには、注目されるものを刊行したい。それには、まず表紙である。武田編集長は、早くからメールで公募をしていた。10月3日までに2典の応募があった。多数決で春日さん
テキスト『剃刀』読み・「家族観察」評 司会進行・春日菜花
 家族観察では『にんじん』の「失礼ながら」「尿瓶」「うさぎ」を読んだ。感想では、母親


の異常性が指摘されたが、常識的には、自分も使う食器に尿を入れるのは考えにくい。
 テキスト読み事件観察では、床屋が体調不備と精神衰弱から髭剃りの最中、客の喉に剃刀の刃を押し込んでしまう。過失致死か殺人かを考えてみたい。
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.176―――――――― 2 ―――――――――――――
家族観察テキスト感想
「失礼ながら」「尿瓶」「うさぎ」を読んで
「失礼ながら」は、おねしょをした罰として、母親は木のへらで、残滓をとり、スープといっしょに、にんじんに飲ませ、兄姉たちと笑おうとする、が、にんじんは応じない。
「尿瓶」は、母親が尿瓶を置くのを忘れたため、にんじんは暖炉のなかにおしっこをしてしまう。朝、一家は大騒ぎになる。通行人までみにくる。母親は、自分が忘れたことを隠す。
「うさぎ」は、メロンが嫌いと決めつけられてしまったにんじんだが、本当は好き。家族の食べ残しをうさぎ小屋に持っていって、うさぎにあげる前に汁をすする。このときが一番うまいということを知っている自分に満足する。
春日菜花
この話ではにんじんの粗相に対して夫人が仕置きとばかりにやっているように思えた。にんじんは礼儀のないことをくり返し常には怒られ慣れてしまったというのだろうか。
ルピック夫人の行動は厳しいが、にんじん自身にも問題があるのではないだろうか。けれどやはり、ルピック夫人の悪質ないじめであるかのようにしか見えないのだ。
にんじんの全てを夫人が決めているのかのようだ。うさぎへの行動はまるでルピック夫人のようにも思えた。
杉山知紗
どんなつらいことも日常化するとあっけない。人間慣れれば噴火口にでも住めるということか。しかしやはり自分の排泄物を飲ませられたというのに無関心であるにんじんは悲しくもあり恐ろしい。この小説の答えめいたものは3作目のうさぎで分かったような気がする。
これが血の繋がっている証明にはならないが大体そんなものだろう。考えすぎるぐらいに考えると、にんじんは血がつながっているのに容姿が違いすぎるから、変な憶測をされ、妙な目で見られたことを嫌がった母親がこんな調子になってしまったのではないだろうか。しかしそうだとしてこの話では母親が本当に嘘つきになっているのはどう見るべきか。
自ら動物にあげるような生ゴミを美味しいものとして進んで食べるにあたり、排泄物もなんてことないのか。そもそもちゃんとしたものが食べられているからいいのか。うさぎがペットであるというより、仲間じみていたのが恐ろしい。
武田結香子
「そんなことだと思っていたよ」というにんじんの諦めの言葉が、すごく重たく感じた。兄と姉は意地悪っ子にしか見えないのだが、母親は嫌々ながら(これも本当はおかしいのだが)面倒を見ているのに何故か母親らしいな、と思ってしまった。
―――――――――――――――――― 3 ――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.176
「失礼ながら」で母親が少しだけ良い人に見てたはずだったのに、やっぱり本性はこちらなのか、と思わせる行動ばかりだった。母親はにんじんを叱ることによって快感を得ているのだろうか。
自分の好き嫌いを勝手に決められてしまうことに、何故もっと抵抗しないのだろうか。危険な目にあわされるか、百も承知といっているが、にんじんの主張はあまりにも少ないと思った。母親はにんじんをどのように育てたいのか、全く見えてこないと思った。
何かへん 思う心が 母子救う  (編集室)
虐待は、一人では起きない。必ず虐待者がいる。連鎖するものである。
虐待者は、必ずSOSを発信している。 虐待される子は、必ず「自分は虐待されている」というサインをだしている。
 この三作の作品も、母親の異常、という感想が多かった。本当に母親は、異常性格者か。
客観的に、この家族をみたらどうだろう。近所の人たちにはどう映るのか。
 勤め人の父親。わんぱくな専業主婦の母親、勉強のできそうな中学生の兄と、おしゃべり好きなちょつときどった姉、そして、年の離れた末っ子。お手伝いのお婆さんが食事や掃除の手伝いをしている。どこにでもありそうな、平凡なやや中流上の家庭である。が、この家庭に虐待があるとすれば、どこにあるか、どこに感じるか話し合ってください。
問い.もし、あなたが近所の住人だったら、この家族どのように見えるか。
問い.もし虐待家族とすれば母親のSOSは何か。にんじんのサインは何か。
 
疑問点
「失礼ながら」に関して
問い.母親の行為(おしっこを混ぜて飲ませる)は、本当のことと思うか。
問い.兄や姉は、本当と思っているのか。ルピック氏もそうか。
「尿瓶」に関して
問い.母親は、わざと忘れたのか。
問い.母親は、なぜこっそり隠し持ってきたのか。
問い.
「うさぎ」に関して
問い.にんじんの心の中は、どうか。(みじめからの転換)
 
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.176―――――――― 4 ――――――――――――――
テキスト事件観察の模擬裁判を前に
後期テキストは、事件観察作品で、模擬裁判をすすめていきます。裁判制度については以下
参考資料
 2009年5月21日(平成20年)から裁判員制度が施行された。これにより同年7月以降から実際に一般市民が裁判に参加することになった。
 裁判員制度は、市民(衆議院議員選挙の有権者)から無作為に選ばれた裁判員が裁判官とともに裁判を行う制度で、国民の司法参加により市民が持つ日常感覚や常識といったものを裁判に反映するとともに、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上を図ることが目的とされている。裁判員制度が適用される事件は地方裁判所で行われる刑事裁判のうち、殺人罪、傷害致死罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪など、一定の重大な犯罪についての裁判である。例外として、「裁判員や親族に危害が加えられるおそれがあり、裁判員の関与が困難な事件」は裁判官のみで審理・裁判する(法3条)。被告人に拒否権はない。裁判は、原則として裁判員6名、裁判官3名の合議体で行われ、被告人が事実関係を争わない事件については、裁判員4名、裁判官1名で審理することが可能な制度となっている(法2条2項、3項)。裁判員は審理に参加して、裁判官とともに、証拠調べを行い、有罪か無罪かの判断と、有罪の場合の量刑の判断を行うが、法律の解釈についての判断や訴訟手続についての判断など、法律に関する専門知識が必要な事項については裁判官が担当する(法6条)。裁判員は、証人や被告人に質問することができる。有罪判決をするために必要な要件が満たされていると判断するには、合議体の過半数の賛成が必要で、裁判員と裁判官のそれぞれ1名は賛成しなければならない(一部立証責任が被告人に転換されている要件が満たされていると判断するためには、無罪判決をするために合議体の過半数の賛成が必要で、裁判員と裁判官のそれぞれ1名は賛成しなければならない)。以上の条件が満たされない場合は、評決が成立しない(有罪か無罪かの評決が成立しない場合には、被告人の利益に無罪判決をせざるを得ないと法務省は主張しているが、法令解釈権を持つ裁判所の裁判例、判例はまだ出ていない)。なお、連続殺人事件のように多数の事件があって、審理に長期間を要すると考えられる事件においては、複数の合議体を設けて、特定の事件について犯罪が成立するかどうか審理する合議体(複数の場合もあり)と、これらの合議体における結果および自らが担当した事件に対する犯罪の成否の結果に基づいて有罪と認められる場合には量刑を決定する合議体を設けて審理する方式も導入される予定である(部分判決制度)。裁判員制度導入によって、国民の量刑感覚が反映されるなどの効果が期待されるといわれている一方、国民に参加が強制される、国民の量刑感覚に従えば量刑がいわゆる量刑相場を超えて拡散する、公判前整理手続によって争点や証拠が予め絞られるため、現行の裁判官のみによる裁判と同様に徹底審理による真相解明や犯行の動機や経緯にまで立ち至った解明が難しくなるといった問題点が指摘されている。裁判員の負担を軽減するため、事実認定と量刑判断を分離すべきという意見もある。
 最高裁によると、全国の裁判員裁判対象事件は2004年の3791件から減少傾向にある。都道府県別で昨年、対象事件が最も多かったのは①大阪306件、②東京255件、③千葉214件の順。最も少なかったのは福井県の7件。罪名別では、①強盗致死傷695件、②殺人556件、現在建造物など放火286件、強姦致死傷218現在と続いた。(新聞8・5.2009)
選ばれる確率は4911人に1人(全国平均)
―――――――――――――――――― 5――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.176
ゼミ雑誌『旅路報告』作成について
ゼミ誌は、ゼミ一年間の成果の証です。全員で協力して完成させましょう。テーマは、日常です。掲載作品は、課題から「車内観察」「何でもない一日」、自由創作です。
ゼミ雑誌編集長 → 武田 結香子さん  
ゼミ誌副編集長 → 藤塚 玲奈さん  
     ゼミ誌編集委員 → 他ゼミ員全員
Ⅰ ゼミ雑誌作成進行状況
   5月25日 ゼミ誌ガイダンス 武田編集長
5月29日 武田編集長より提案。自由創作も視野に
6月 6日 モチーフ『日常』、内容=課題・自由創作 頁300(一人20枚)
      業者=藤原印刷 写真・図案は無し
6月13日 ゼミ誌内容欠席者にメール、5名返信、武田報告
6月20日 題、レイアウトについて 
6月27日 題公募
7月25日 題「旅路報告」に決定
9月26日 原稿集め 10月二週目に変更
   10月3日 表紙デザイン決定
Ⅱ. ゼミ誌原稿、最終締切日10月17日(月)自由創作提出
自由創作&課題作品(課題作品は自薦)
Ⅲ. ゼミ雑誌の納付日は、2011年12月12日です。厳守のこと。
  
【① ゼミ雑誌発行申請書】【②見積書】【③請求書】
1.【①ゼミ雑誌発行申請書】所沢/出版編集室に期限までに提出 完了
2. 6月6日ゼミ雑誌題・型・頁・業者・内容(案)決まる。  完了
3. 10月17日、ゼミ誌原稿締め切り。(原自由創作を提出してください)
4. 印刷会社を決める。藤原印刷に決まる。レイアウトや装丁は、相談しながらすすめる。
5.【②見積書】印刷会社から見積もり料金を算出してもらう。
6. 11月半ばまでに印刷会社に入稿。(芸祭があるので遅れないこと)
7. 雑誌が刊行されたら、出版編集室に見本を提出。
8. 印刷会社からの【③請求書】を、出版編集室に提出する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2011年読書と創作の旅(後期)の記録
□9月26日ゼミ 参加者7名、司会=杉山 提出=會澤『寒い日』、武田『私の夏休み』
         私の夏休み報告 ゼミ誌について 課題発表・春日「窓辺の光景」、
武田「2022年の車内観察」 名作読み『にんじん』4作品(提出7)
□10月3日ゼミ 参加者3名、司会=春日 提出=「にんじん」感想 ゼミ誌表題決め、
         「失礼ながら」「尿瓶」「うさぎ」テキスト『剃刀』読み
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo・176 ――――――― 6――――――――――――――――
土壌館創作道場   投書のススメ
 文章修業は、新聞投稿をおススメします。
―――――――――――――――――― 7 ――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.176
校正記号 覚えておくと編集作業のとき便利です。
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo・176―――――――― 8――――――――――――――――
掲示板
課題提出状況 2011・9・26現在 テキ=テキスト、一日=自分観察 
大野 純弥 →  4本 (テキスト2、一日2) □□□□
         
椎橋 萌美 →  4本(車内1、一日1、時事1、名作1) □□□□
         
會澤 佑果 →  4本(時事2、テキスト1、車内1)   □□□□
         
藤塚 玲奈 →  13本(一日5、時事3、テキ3、車内1) □□□□□□□□□□□
    
 春日 菜花 →  24本(車内3、一日8、時事4テキ6、創作2、) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
藤原 侑貴 →  2本(テキ1、夏休み1) □□
中村 俊介 →  2本(テキ1、時事1) □□
柳瀬 美里 →  9本(一日3、時事3、テキ3) □□□□□□□□□
杉山 知紗 →  20本(車内1、一日6、時事4、テキ7、創作1) □□□□□□□□□
□□□□□□□□□
三矢 日菜 →  5本(一日2、時事1、テキ2) □□□□□
武田結香子 →  24本(車内2、一日9、時事4、テキ6、創作1) □□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□
内田 悠介 →  6本(一日2、時事1、テキ2) □□□□□
花井 三記 →  
※ 出席日数、課題提出の少ない人は、後期ゼミ頑張ってください。遅れ取り戻せます。
お知らせ
■ 10月22日(土)ドストエーフスキイ全作品を読む会第246回読書会
作品『主婦』池袋西口・勤労福祉会館 第7会議室 (下原ゼミ生0円)
※ 詳細並びに興味ある人は「下原ゼミ通信」編集室まで
■10月8日(土)~23日(日)「写真・童画家熊谷元一回顧展」清瀬市郷土博物館
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
編集室便り
  住所〒274-0825 船橋市前原西6-1-12-816 下原方
  メール: TEL・FAX:047-475-1582  toshihiko@shimohara.net
提出原稿は、メール、FAXでも受け付けます。(送信でもらえると二度手間と間違い打ちがなくなるので助かります)
ゼミ評価は、以下を基本とします。
出席日数 + 課題提出(ゼミ誌原稿)+α = 100~60点(S,A,B,C)

シェアありがとうございます

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

コメントを残す

PAGE TOP ↑