文芸研究Ⅱ 下原ゼミ通信No194

公開日: 

日本大学芸術学部文芸学科     2012年(平成24年)6月18日発行
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.194
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              

編集発行人 下原敏彦

                              
4/16 4/23 5/7 5/14 5/21 5/28 6/4 6/11 6/18 6/25 7/2 7/23
  
2012年、読書と創作の旅
6・18下原ゼミ
6月18日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ2教室
1. 出欠・配布  → 前回ゼミ報告・班長報告・ 指名
2.  提出課題発表 → 自分の一日観察 車窓(社会)観察   
3.  読むこと → 『出来事』(車内観察)
4.  書くこと → 社会観察(オウム事件について) 
6・11ゼミ報告      梅雨の晴れ間、7名
世相は何か物々しい。17年の逃亡から姿をみせたオウム事件の犯人。またしても理不尽な通り魔。あれだけ騒いだのに原発再開。政治の混迷。うっとおしい季節が、よけいにうっとおしく感じる。が、梅雨の晴れ間か、この日の出席者は7名
・吉岡・石川・志村・古谷・梅津・鞆津・矢代の皆さん。(目下のところ山野さん、小妻さん、小野澤さんの消息を心配している。前期、終了が迫ってきている)
ゼミ雑誌&ゼミ合宿について
ゼミ雑誌については石川編集委員が、構成考慮中を報告。ゼミ合宿については梅津班長から予約申請の報告があった。希望地は軽井沢。希望申し込み日程は以下の通り。
☆第一希望8月1日(水)~2日(木)☆第二希望8月8日(水)~9日(木)
司会進行は、志村成美さんが賑やかに
この日、司会進行は志村成美さんに。課題読みとテキスト読みを配分よくこなした。ご苦労さまでした。
課題読み 10.「自分の」志村「夢は、」14.梅津「自宅」石川「寸借」「折り紙」吉岡「喧騒」12.「振込」古谷・鞆津・石川・吉岡課題石川舞花、吉岡未歩、根本留加、志村成美、鞆津正紀、古谷麻依 11.「『網走』感想」梅津、石川、古谷、吉岡


テキスト読み 『出来事』
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.194―――――――― 2 ―――――――――――――
   課題発表(掲載できたものから順次)
課題提出率は、よいと思います。社会にでるとマスメディア関係はむろんですが、どんな業種の会社でも、期限付きか、即、提出を求められます。書くことの習慣化は、必ず役に立ちます。課題をしっかりこなして身につけましょう。欠席者が気になります。
車内で見たこと感じたこと
課題14.「車内観察」
〈石川舞花〉     車内の一コマは、社会の一端
 学校帰りの夕刻、電車の中で大手中学受験のかばんを持った小学生を見かける。その昔、
私も持っていた懐かしのかばんだ。
 その女の子は、本を読む私の隣で熱心に社会のテキストを読んでいる。ラインマーカーや
書き込みがびっしりだ。真剣にそれを確認する姿は、大学受験生と同じようなすごみを感じ
る。私は、あんなふうではなかった。あの頃より競争が激化しているのか、私が不真面目だ
ったのか。「努力すれば報われる」という言葉に小学生で不信を抱かないよう、報われて欲
しい。電車の中の一コマで社会の一端がうかがえる。
□きっと遠くの学校に通っているのでしょうね。日本は安全な国。そんな事も伺い知れます。
〈吉岡未歩〉       この4人は、いつまでも
 制服を着た、私立に通っているらしい小学生4人が電車に駆けこんでくる。4人は私の前
の席にこしをおろし、ランドセルを膝の上に下ろす。4人のうち一人は男の子で、女の子た
ちは座るやいなやドリルか何かを取り出して、まるで女子高生たちが雑誌を見て盛り上がっ
ているかのように話しはじめる。
 男の子はというと、女の子たちを覗きこむようにして口を少し尖らせて話を聞いている。
口は開かない。終点まで少し羨ましそうに時折、足をバタバタしてつまらなそうにしていた。
 この子たちは、いつまで一緒に、こうして家路につくのだろうか。なんでもない光景が、
とても愛おしく感じた。
□よく見かける微笑ましいがなんでもない光景。しかし、人生のなかで黄金の日々です。
 
〈志村成美〉         盲導犬観察
 お昼過ぎの人が少ないホームで電車を待っていた。すると私の前に盲導犬を連れた女性が
やってきた。盲導犬は、主人の言うことを聞いてゆっくりそこに伏せた。少しすると電車が
やってきてホームに風が通る。盲導犬のすぐ横を電車が抜けていったが、微動だにしない。
「ああ、もう来たか ? 」と云うような目をして、すっと立ち上がり開いたドアをくぐった。
中に入るとまたそこに、伏せよりも、もっとリラックスした体勢でそこに居座った。私は2
つ行った駅で降り、彼らに小さく手を振った。お仕事お疲れさまです。
□この盲導犬も、たくさんの犬たちから選ばれ、多くの訓練と試練をかいくぐってきたので
しょうね。堂々とした姿が、それを物語っています。政治家は、選ばれても・・・。
―――――――――――――――――― 3 ――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.194
課題17. 「車内観察」
〈石川舞花〉        髪飾りに注目
 電車内は様々な人が車内という一つの空間に集まっている環境である。老若男女入り乱れ
(混じって)ているので社会の縮図のような光景が見てとれる。
 女性の髪形。とりわけ髪の長い人の飾りに注目してみた。小学生は、おさげや2つ結び
が多い。中高生になってくると、シュシュやバレッタなどで思い思いの髪型にしている。髪
の一部だけ結ぶなどの工夫も見られる。
 大学生、社会人では、シュシュやバレッタを使う点は同じだが、色合いや柄が少し地味に
なる。年齢や場所を考えた配慮の表れだろうか。最近、バレッタの使い方が違ってきた。こ
れまでバレッタといえば、頭の後ろの中央で髪を止めていた。ところが最近は、耳のあたり、
つまり顔の横にバレッタをつけている人が急増している。この傾向はドラマ「謎解きはディ
ナーの後で」の影響かと思われる。女優さんの真似をした髪型が流行っているというわけだ。
 この時のバレッタは楕円形で花模様であることが多いのだから益々面白い。流行というの
は、街や電車など人の集まる場所からどんどん波及していくのかもしれない。
髪飾り1つでもこのような変化がある。流行を追い求めていくと自分自身の外面の変化
に内面が追いついていかないような気さえする。
□車内で髪飾りから流行を知る。こんな観察も面白いですね。
〈吉岡未歩〉      夕方のけだるい車内
 5限目だけの授業のために電車に乗り込む。その時間だと帰路についている人も多いよう
で、私が乗り込んだ時、車内には、一日の疲れですでにねむりこんでいる人や、学校帰りの
大学生であろう人の姿が多く見受けられた。会社員らしき男性もちらほらいるようで、私の
一日が今からはじまることに、どことなくアウェー感を抱きながらも少し混雑した車内に立
つ。2駅ほど過ぎて席が少し空いたので腰をおろす。あと10頁ほどで読み終わる小説の続
きが気になって本を開く。
 しかし、夕方の気だるい雰囲気に負けて、いつの間にか眠りに落ちていたようだった。気
付いた時には、降りなければならない駅に到着していて、振り向いて窓から駅の看板を確認
し本を鞄にしまう間もなく電車から駆け降りる。
「あのまま、乗り過ごしてもよかったな・・・」
そんな考えを払拭して、軽くのびをしてバス停に向かった。
□その意志と頑張り、たとえ成果は得られなくてもいつかは報われます。
課題20. 「車内観察」
〈石川舞花〉
 夜11時過ぎの総武線快速電車。東京から千葉方面へ行く電車の中には会社帰りの人の姿
が多く見られる。皆一様に疲れ果てた顔だ。だがそんな中でも何かしている人が多い。新聞
や雑誌を読んだり、スマートホンをいじったり、音楽を聴いたり、ただ何もせずポーっとし
ている人や眠っている人よりも何かしている人が多いのだ。疲れているからこそ好きなこと
で気を紛らしたいのか。いずれにしても、何かしていたいという習性は日本人に多く見られ
るような気がする。
 することが何もない時、この人たちはどうするのだろう。夜の電車に疲れた身体をあずけ
ながらそんなことを考える私も「何かしていたい」人間の1人だ。
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.194―――――――― 4 ――――――――――――――
〈吉岡未歩〉          爆音少女
金曜日、普段は1・2限と授業があるが、その目は前々から2限が休講だと言われてい
たので、友達と学校帰りにそのまま遊びに行く計画を立てていた。たっぷり夜まで遊んだ
帰り、電車はダイヤが乱れているようで駅のホームはひどくごった返していた。くたくた
だったので座るために何本か電車を見送って、やっと電車に乗り込みちゃんと席も確保し
た。椅子の一番端に座ったが、隣に座ってきた女の子が妙にこちらに詰めて座るので窮屈
な体制になってしまった。
 その日はなるべく荷物を減らそうと、本は家に置いてきてしまっていたため暇つぶしも
できないので、帰りの電車では寝てしまおうかと考えていた。席は少々きついが、座って
しまって落ち着くと眠気はすぐにやってきた。
 しかし眠りに落ちるか落ちないかの瞬間、隣に座る女の子のヘッドホンから爆音が響きだした。ドラムの音が激しく聞こえる。真横なのでガンガンと音は響く。周りの人も少し怪訝な顔をしているが、肝心の女の子はというと、なんともない顔でスマホをいじっている。
 それにしても、ヘッドホンであそこまで音漏れするほどの音量で聴いて、果たして耳は
おかしくならないのだろうか。よく平然として聴いていられるし、周りの様子に気づかず
にいられるな……。私は隣に気づかれないように、この出来事を自分のスマホのメモに打
ち込む。
 寝るのは諦めて、ぼ一つとしたり、負けじと音楽を聴いたりしていると、左肩がずいっ
と重くなった。 目をやると隣の女の子が思いっきり寄りかかってきていた。眠ってしまっ
ているようだ。しかも、爆音漏れのイヤホンそのままに、だ。
 多少、肩を動かしてみる。女の子はフッと頭を起こす。だが残念なことに、またすぐに
戻ってきてしまう。無理に起こす気はないがたまに軽く肩を動かしてみる。そんな攻防を続けていると、いつのまにかあと少しで最寄駅だ。左肩が重くて痛いが、あと少しの辛抱だと
自分に言い聞かせる。
 私はイヤホンを外して、降りる準備をする。立ち上がれば、どうせ隣の人を起こしてし
まうことになるだろう。電車がホームに入ってゆく。私は電車が止まる少し前に立ち上が
る。隣の女の子はハッと頭を戻したと思ったら、ヘッドホンを勢いよく頭から外した。ど
うやら起きてあまりの音量に耐えられなかったようだ。耳から外れたヘッドホンからは先
はどより大きく音漏れが続いている。なんだかおもしろいな。横目でそんな光景を見つつ
電車を出た。
□音量漏れに眠っての寄りかかり、腹を立てるところだが、面白いな、と思う気持ち。書く
ことの習慣化に第一歩、習得です。書き手を目指すなら何があっても一に観察です。
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自分観察
 
自分という生き物をしっかり観察して書く。自分がわかれば、他の人もわかる。過去の日人間も未来人も見えてくる。
課題14.「自分の一日」
〈志村成美〉   
「アイス食べたい」と友人Fが宣った。気温はそんなに高くないんだが湿度があって蒸す。
―――――――――――――――― 5 ――――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.194
私は、明日遠出するので出費を控えたいと断った。友人FとIは大学のコンビニまで歩いていった。私は今、この課題を書いて待っている。「一言あげる」と言われたので、その一瞬のためにこの溜めてしまった憎たらしい課題を頑張ろうと思った。
□頑張ろうとする、心掛けはいいですよ。でも、溜めないでください。
課題17.「自分の1日」
〈吉岡未歩〉       幸せのおすそわけ
昼前に母と姉と出かける。3時過ぎまで買い物をして、だいぶ疲れてきたので喫茶店に入
り、二階の窓際の席に座る。外には中庭のようなところが覗けるが、しばらくするとそこ
からアナウンスが流れはじめる。気になって見ていると、扉からぞろぞろと正装した人た
ちが出てきた。どうやら結婚式が行われているらしかった。中庭は数本の木で覆われてい
て、本々の隙間からしか覗けないが、ウェディングドレスを来た花嫁さんと、白いスーツ
を着た花婿さんが出てきて、なんだか盛り上がっている。結婚式も終わりに近づいている
ようで、ブーケトスが行われようとしていた。
喫茶店にいるお客さんも外の様子に気づいたようで、数入窓際に集まってきていた。こ
ちらもなんだか和やかな雰囲気だ。
「次の幸せを手に入れたい女性の方はこちらにあつまってくださーい!」そんなアナウン
スが入った。ちょうど死角で見られなかったが、ブーケが誰かに受け止められた瞬間、わ
ーともきやーともいえない歓声があがっていた。休む暇もなく、なんと次に男性陣のブー
ケトスが始まった。この時代、男性にもブーケトスがあるのか……。男性陣の方からは少
し野太い歓声が上がっていた。
 私はまだ結婚式にお呼ばれしたことがないので、しばらくずっと結婚式の様子をうかが
っていた。顔も見られず声も聞こえないが、きっとあの人たちは今みんな笑顔だ。人生で
一番の良き日になるかもしれない今日という日に、遠くからこっそり参加させてもらった
感謝をこめて、心の中で末永くお幸せにと願った。
□そんな日がきっときますよ。楽しみに待っていてください。
課題20.「自分の1日」
〈吉岡未歩〉        バイト日和
 私はデパ地下の食料品レジでバイトをしている。デパートといっても高級な方ではなく、
地元にある駅近の親しみやすい方だ。そこでのバイトも大分慣れてきたので最近はお客さ
んの買い物観察をしている。簡単なものであればカゴの中身で今晩の食卓に並ぶ料理がわ
かってしまうのだ。
 白菜やしめじなどを買っていけばお鍋だし、じゃがいもと人参とカレー粉を買えばカレ
ー、カレー粉の代わりに糸こんにゃくがあれば肉じゃがだ。
 若い人の買い物はやはり簡易なものが多く、カレー・肉じゃがセットやインスタントラ
ーメン、パスタなんかが多い。会社帰りのスーツを着た男性はあたためるだけで食べられ
そうなものとお酒、おばあちゃんはおせんべいや菓子パンをよく買っていく。
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.194―――――――― 6 ――――――――――――――
 その日はカートを引いて若いお母さんがレジに来た。カートに座った男の子は両手でり
んごを握りしめている。レジを通す順番が回ってきても一向に離す様子はない。お母さん
がいいかげんにしなさいと叱りつけ、ようやくりんごを取り上げると、男の子はだだをこ
ねて泣きはじめてしまった。 レジを通してすぐにりんごを返してあげるがまだ泣き止まな
い。子供特有のその泣きじゃくり方が懐かしすぎて、子供をなだめ眉間にしわを寄せる母
親を横目に、自分の少し顔がほころんだのがわかった。
 閉店が近づいてくると野菜や果物に値引きシールが貼られ、いわゆる「おつとめ品」が
並ぶ。買い物上手の奥さんは、それらを狙って量の割にかなり安く買い物をしていく。
その時間はお寿司にも値引きシールが貼られるので、カゴいっぱいにお寿司のパックを詰
め込んでくるお客さんもいる。
 そしてやっと閉店しても、業務はまだ終わらない。そこからはレジ閉めをする。レジの
お金を数えて全て片付け、金庫にしまう。自分の担当したレジで過不足が出なかった時は
とても心地よく終わることができる。千円単位で過不足が出ると、色々と処理をしなけれ
ばならないのでそこからなかなか帰れない。
 でもたまに閉店後、地下内のお店で売れ残ったお総菜や、これは稀だがお刺身をもら
えたりする。残念ながら私はお刺身が苦手なので、戴いたお刺身はすべて家族の胃袋に収
められる。みんなが目を輝かせて喜んでいても、イマイチ素直に喜べないのが残念である。
 節電の影響でこの時期はもう蒸し暑い更衣室でさっさと着替えを済ませ、従業員通用口
から警備員さんに見送られ外に出ると、夜の生ぬるい風が通り抜ける。身体はクタクタだ
が、どこかすがすがしい気分で家路についた。
□イオン、ヨーカ堂、地元のスーパー、このどこかで買い物します。人間観察したら。面白いかもしれませんね。たしか、そんな映画もありました。
〈石川舞花〉        入り待ちの朝
いつも通りの時間に起きていつも通りの時間に家を出、いつも通り駅に行く。しかし、いつも通りの電車には乗らない。その日は、各駅ではなく快速の電車に乗る。学校に行くルートではない。その日は、土曜日、2限から授業がある。私は急いでいた。7:30には着かなければ。
7:20頃、目的地に到着。目的地とは劇場である。入り待ちをするためだ。7:40過ぎから入りは始まり、9;00には大体終わる。9:06に有楽町駅の電車に乗り、10:30には学校に到着。10:40からの2限に間に合うという寸法だ。
ぼちぼち出演者が楽屋に入る。デジタルカメラを構えた私は、あっちこっち走り回りながら写真を撮る。ファンクラブの人々から手紙をもらっている間に撮っていく。本命の人を撮っている時、事は起こった。若手で好きな人が反対側に来てしまっている。まずい、そう思いつつも本命さんを捨てることは出来ない。あたふたしているうちに若手の方は楽屋に入ってしまった。
こういうことは、よく起こる。お目当ての人を全員撮れることは珍しい。その日は本命の人を撮れたので良しとしよう。自分に言い聞かせて学校に向かう。朝の一大イベントを終えて学校へ向かう私の気持ちは複雑だ。また、明日、明日こそ、あの人を。そう思い、私は足しげく劇場に通うのである。
□大変でも趣味は楽しいですね。時間から入っていく流れも、興味を引きます。
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課題23.「自分の1日の記録」
〈吉岡未歩〉       船を漕ぐ
何度目かのアラーム音でやっと目を開ける。寝不足で瞼が重い。前日の夜バイトから帰
ってきて、だらだらと深夜まで起きていたからだ。
 今日は二限までの授業を終えた後、夕方にまたバイトがある。その日一日、睡眠不足で
体が持つ気がしなかった。授業をほっぽりだしてバイトの時間まで眠っていたいと、家を
出るまでに何度も思った。だが起きたからには行かなければ。 目を覚ますために刺激の強
い目薬を差す。 目は真っ赤で充血している。今日は金曜日だ。あと一日、がんばらなけれ
ば。
 学校に行くまでの電車もバスも爆睡。一限は一人で授業を受けているが、先生はいつも
15分くらい遅れてくるから、それまでのわずかな時間も睡眠に充てる。残念なことに、授
業が始まると眠気はさらに強くなり、結局その時間中ずっと船を漕いでいた。
 二限の授業は、さっきまでの眠気はいくらか吹き飛んで、なんとか目を覚ましていた。
ノートもしっかり取っている。 しかしハツと気づくと目前に机が迫る。何度となく姿勢を
正すが、いつのまにか前のめりになっている。今日は寝不足とはいえやけに眠い。こんな
日に、この後まだバイトかおるなんて……。
 二限が終わり、帰路に就く。バイトまでは時聞かあるので、一度帰宅する。お昼を食べ
て、少し休んで、二時間くらいで再び家を出る。とりあえず帰って空腹を満たそう。
 家に帰ると、仕事に行ったと思っていた母がまだ居た。夕方からの出勤になったらしい。
お昼を食べてお腹を満たすと、急激に眠気が襲ってきた。気づくと少しの間リビングの机
の上で突っ伏していたようだ。母に少し横になればと促され、しかしそんなに時間もない
が、睡魔に負けて15分だけ横になった。次の瞬間には起こされ、全くすっきりしない身体
を起こし、バイトに行く準備をする。せっかく真横に寝床があるのに、また家から出なけ
ればならないことがひどく億劫だ。寝不足で顔は腫れぼったく、微妙な睡眠のせいで逆に
身体はだるくなってしまった。
 バイトに行ってしまえば、この気だるさが消えるのは知っている。気を取り直して、重
たい身体を引きずり、玄関を出る。
 外はまだ明るい。
□もう50年近くも前の大昔ですが、学生時代のバイトを懐かしく思い出しました。東京にでてきて一番最初にやったバイトは、ガソリンスタンドの住み込み店員でした。遅番の社員が7時に帰った後、社員のロッカー室で泥棒番しながらお得意さんの車にガソリンを入れる仕事でした。1965年当時、普通ガソリンは確か43円、ハイオクが58円くらいだった。タイヤのパンク修理は500円、オロナミンCドリンクが、120円こちらはいまとたいして違わないようだ。はじめは、お得意さんも来ず、のんびりでしたが夜中でも人がいるとわかると、どんどん客がくるようになって大変だった。朝7時、社員が出社してくると、入れ替わりに学校に行った。一人では大変だったので、隣の席にいた学生に話すと、ちょうど下宿を探していた学生で、一緒にやってもいいと言った。二人でやると、面白くなり、結局、下馬校舎に移るまで一年間つづけた。一緒にやった学生とは、同じ釜の飯を食べた仲で、いまでも友人関係である。
     
   
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社会観察
課題12.「振り込め詐欺はなぜなくならないか」
〈志村成美〉      騙される側にも少なからず問題が
 騙す方に問題があるのは勿論だが、騙される側にも少なからず問題がある。「自分は引っかからないだろう」という根拠のない自信を持っている人の方が騙されることの方が多い。メディアに取り上げられメジャーになった(?)犯罪なのだから何かしら対策を練ることが大事だと思う。
 ちなみに私の母方、父方の両親は引っかかりませんでした。
□日本は単一民族で、歴史的にも、そんなに争い事がなかった。それで性善説がしみこんでいて、怪しいと疑う心が退化しているせいかも。残念ですが。
課題21.「こんなときどうするか」
「知人を訪ねたが、応答がない、心配なので部屋に入ってみたい」
〈古谷麻依〉
 カギが開いているならば、入ってもいいのかもしれない。が、念のため、警察への連絡も視野に入れておくべきだ。
〈石川舞花〉
その家がマンションないしアパートならば大家か管理人に一緒に入ってもらうことをすすめる。一戸建てなら数日様子をみて、それでも連絡がつかなければ警察に頼むことをすすめる。どちらにしても知り合いの人と自分だけで入るのは得策ではないと思う。何かか事件か事故が起きている可能性もあるからだ。
 心配する知り合いの話を聞き、落ち着かせる。そして何かが起こっているかもしれないこと。一般人二人では危険であることを説明し、しかるべき手順を踏む。
〈志村成美〉
 住まいがアパートかマンションであれば大家さんに事情を説明して鍵を借りれたら借りる。入って問題があれば警察に連絡する。
 ちなみに、私は一緒に入らない。
〈吉岡未歩〉
 私は、あなたの知人とは知り合いではないから一緒に部屋には入れないが、心配ならもう一度連絡をとってみて、それでも応答がなければ部屋を訪ねてみてはどうか。
□孤独死、介護放棄、児童虐待などが社会問題になっています。こうした場合、あなたが当事者ならどうするか、どんな行動をとるか討議してみてください。
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課題21.「隣の家の人と生活音などでトラブルになっている。相談に乗って欲しい。相手を注意して欲しい」と頼まれた。
〈古谷麻依〉
 赤の他人の私から言うより、実際に迷惑しているあなたが言った方が効果があるのでは。相談には乗ってあげられるが、注意はしづらい。
〈吉岡未歩〉
 私が直接被害を被っているわけではないので、いきなり注意することはできないけれど、もしあまりにもひどいようならば管理人さんに相談してみてはどうか。
〈志村成美〉
 相談には乗るが、相手を注意することはしない。第三者が介入して解決する問題ではないから。
〈石川舞花〉
 まず、その近所の人から詳しい事情を聞く。その後、その他の近所の人が同じような迷惑をこうむっているのかを聞いてみる。もしも、他にも被害者がいるのであれば、何人かが一緒にその人の所に行く。いなければ相談者と相談された人の2人だけで行ってもいいと思う。初めは、あまり事を荒立てずに困っていることを改めて告げて相談するようにする。あまりにも改善がみられなければ町内会などに訴えると言ってもいいかもしれない。
 相談者に協力していいと思う。アドバイスとしては「詳しい事情を整理して隣のひとにもはっきりと伝えること。感情的になるのではなく、あくまでもお願いするという姿勢をとること」かと思う。
□古今東西、意外と難しいのがご近所トラブルです。ゴミの出し方から境界線まで、争いの要因は多々あります。国同士なら戦争に、個人同士なら殺人事件に発展するケースが、結構あります。例えば中国との尖閣列島もんだいもそうです。
 お隣さん同士問題は、周囲は、あまり当てにできません。問題者が、他の人にはいい顔をしている事が間々あるからです。賃貸の場合、相談者が引っ越すことがほとんどです。一戸建てか分譲は、どちらかが刑事事件で逮捕という悲惨な結果に終わります。
 かなり危険な問題です。
討議 あなたが当事者だったらどうしますか。(実例)
幼稚園児と共稼ぎの夫婦の場合。念願かなって分譲マンションを購入した。10階。階下の9階は70前後の老夫婦。同時期に入居。上下同士のお隣さんということでお互い挨拶を交わす。老夫婦は物静かな性格。老後をのんびり過ごすとのこと。和やかな会話。
3か月を過ぎたある日、〒ポストに無記名の封筒が入っていた。開けてみると、差出人は階下の老夫婦。奥さんが書いた筆跡。便せん2枚に、挨拶文が長々したためられていて、2枚目の最後に、音を少し静かにしてくれないか、といった内容が書かれていた。
夫婦には、心当たりがなかった。幼稚園児の女の子も、飛び回ったりはしていない。挨拶に行くとたいして気にしていない「生活音ならし方ない」と言う。しかし、1カ月後、ドアに「静かにしてください」の貼り紙。しばらくすると下から突く物音。管理人、マンション苦情係りに相談するが一向に問題解決には至らなかった。個人保護法が壁か。
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読むこと書くことの習慣化を目指して 
ゼミ日誌
月曜日5時限目の記録 (文ゼミ2教室)
□4月16日 参加8名、ゼミ説明 はじめての試みとして紙芝居風の紹介にした。が、DVDの取扱に戸惑ったりして反応はイマイチだった。伝わっただろうかの懸念。
 しかし、後日、13名の希望カード届く。(1名辞退)
□4月23日 12名、自己紹介、班長・ゼミ誌作成委員選出 テキスト読み
司会=梅津
出席=梅津、後藤、鞆津、山野、小妻、小野澤、吉岡、矢代、根本、石川、志村、古谷
読み=テキスト『菜の花と小娘』、嘉納治五郎「精読と多読」、編集室「読書のススメ」
撮影=1年間無事の旅を祈願して全員で写真撮影。
読むことの習慣化 → 『菜の花と小娘』
書くこと=「課題1.愛読書」 → 根本、志村、石川、梅津、山野、古谷
課題2.自分について」 → 根本、志村、石川、梅津、山野、古谷
「課題3.憲法問題」 → 梅津、石川、山野、
     「課題4.『菜の花と小娘』感想」→ 梅津、石川、山野
      
□5月7日 5名、届2名 ゼミ合宿の件 課題発表 テキスト読み
司会=吉岡未歩
出席=吉岡、根本、石川、志村、古谷 届出=矢代、鞆津
討議=ゼミ合宿の有無決め。次ゼミ5・14に持ち越し
発表=ゼミ通信188号掲載分
読むことの習慣化 → 『ある朝』
書くことの日常化 → 『ある朝』感想 課題9~10
□5月14日 8名 ゼミ合宿採決 課題発表 テキスト読み
司会=古谷麻依
出席=梅津、鞆津、吉岡、矢代、根本、志村、石川、古谷
発表=「ゼミ通信189」掲載分
読むことの習慣化=テキスト『夫婦』『網走まで』
書くことの習慣化=配布→テキスト感想・創作 「車窓観察」、「車内・一日観察」
□5月21日 5名 1名病欠 課題発表 人生相談、
司会進行=鞆津正紀
出席=鞆津、吉岡、志村、石川、古谷
読むことの習慣化=提出課題読み
客観性を育てる=人生相談「元気をだせるには」
書くことの習慣化=課題15~17配布
―――――――――――――――――― 11 ――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.194
□5月28日 6名 ゼミ雑誌ガイダンス報告、ゼミ合宿について、解釈・国語問題
ゼミ誌ガイダンス報告=石川舞花 構成企画案=後藤啓介
出席=梅津、鞆津、後藤、志村、石川、古谷
課題配布=18・19・20
□6月4日 4名 課題の読みと感想。テキスト関連作品の読み
司会進行=石川舞花
出席=吉岡、根本、石川、古谷
読むことの習慣化=テキスト関連で、夏目漱石『三四郎』の車内観察の部分。
課題配布=21・22・23
□6月11日 7名 ゼミ誌・ゼミ合宿報告、課題報告、テキスト読み
司会進行=志村成美
出席=梅津、鞆津、後藤、志村、石川、古谷、矢代
ゼミ合宿(梅津)=第一(8/1~8/2)、第二(8/8~8/9)希望を申請
ゼミ誌編集報告=構想中、後半にタイトル、版などを決めていく
課題報告=読みと評・感想
テキスト読み=『出来事』百年前の車内観察。当時の日本語を知る。
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ゼミ雑誌作成計画について
①【ゼミ雑誌発行申請書】
上記申請書を期限までに所沢/学科事務室に提出してください。夏休み明けみまでに編集作業をすすめ、印刷会社を決め、そうていレイアウトを相談する。
②【見積書】印刷会社から見積もり料金を算出してもらい、期日までに学科事務室か出版編集室に提出する。編集作業をすすめ、11月半ばまでには印刷会社に入稿する。
ゼミ雑誌納品は12月7日(金)厳守 !
 
ゼミ雑誌ができあがったら、12月7日(金)までに提出。
③【請求書】印刷会社から請求書をもらい学科事務室に提出。以上で終了です。
現在までにあがってきている作成案
タイトル・・・・・(仮題)『車内観察』 
頁数・・・・・・・150 
版型・・・・・・・A6 ?
構成・・・・・・・未定 レイアウト
表紙デザイン・・・・・未定
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.194―――――――― 12 ――――――――――――――
掲示板
課題 → 課題27、課題28、課題29を配布
       課題27「車内観察」創作・エッセイ・紀行
       課題28「自分の一日の記録」
       課題29「社会観察」気になること。事件・政治・芸能など
土壌館日誌
 この歳になって何だが、最近、学んだことがある。「木を見て森を見ず」ということわざがある。が、いま思うと、まさにそれを体験した。あまり詳しくは話せないが地元の自治活動のことである。民生委員・児童委員を引き受けてしまったので、仕方なく、自治委員も外部協力することになった。が、これがまた戸惑うことばかりなのだ。自治活動で、関係者の言い分を聞いて、その方向に考えていると、まったく正反対だったりして、驚くことがたびたびである。人は、高齢になると人間完成に近づく、といわれるが、これは、どうも間違っている。高齢になるにつれ、益々、性格が固まり、執拗にもなってくるようだ。高齢者の入口にいる自分も気をつけなければと思うこのごろである。
編集室便り
○課題原稿、メールでも可 下記アドレス
□住所〒274-0825 船橋市前原西6-1-12-816 下原方『下原ゼミ通信』編集室
  メール: TEL・FAX:047-475-1582  toshihiko@shimohara.net
書くことの習慣化・日常化を目指して6・18
                     
名前
課題27.「車内観察」エッセイ・創作・ルポなど
              
                                
                              
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書くことの習慣化・日常化を目指して6・18
                     
名前
課題28.『自分の一日の記録』
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文芸研究Ⅱ下原ゼミ 提出随時 6・18配布
名前
課題29.「社会観察」事件・政治・芸能など
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