文芸研究Ⅱ 下原ゼミ通信No.209

公開日: 

日本大学藝術学部文芸学科     2013年(平成25年)1月21日発行
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.209
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              

編集発行人 下原敏彦

                              
9/24 10/1 10/15 10/22 10/29 11/12 11/19 11/26 12/3 12/10 
1/7 1/21 1/28
  
2012年、読書と創作の旅
1・21下原ゼミ
1月7日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ2教室
1.  継子殺人未遂について
 2. 名作読み・社会観察を討論
   
2012年、読書と創作の旅、ゴール間近
 「2012年、読書と創作の旅」も、いよいよゴールが見えてきました。なにかあったような、なにもなかったような長かったような短かったような、そんな1年でした。
が、ふり返って、今の自分に成長は、あったでしょうか。
1・7ゼミ報告(冬休み観察・カルタ大会)
正月明けのゼミでしたが、出席者は4名でした。冬休みの過ごし方観察の報告は、1名帰省。3名バイトでした。
百人一首カルタ大会
やったことのある人とない人がいたので、拾いに差がでました。が、よい経験になったと思います。これから正月になったらやってみて下さい。
詠み・下原
石川舞花さん 38枚  (高校時代経験有り)
古谷麻依さん 28枚  (経験者有り)
鞆津正紀さん 28枚   (経験有り)
志村成美さん 6枚   (未経験)
対戦 詠み・志村


石川舞花さん 51枚 ――  49枚 鞆津正紀さん
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.209 ―――――――― 2 ―――――――――――――
復習 後期は、事件と裁判について考えてきました。最後の事件簿として、実際にあった下記の事件について考えてみましょう。確かな観察は逆転判決に結びつきます。19世紀ロシアの作家ドストエフスキーが控訴した裁判です。
6歳継子殺人未遂事件
1876年5月×日ロシアのペテルブルグでこんな事件が起きた
(実際の情報が少ないため、事件発生時と現場状況について多少の推理・憶測があります)
裁判員裁判の見本ともいえる裁判
日本には、現在1億3千万近い人間がいる。そのうち未成年者は2300万人というから選挙権の有権者は、1億人前後いることになる。自分が選ばれる確率は宝くじより低い、などと思ってはいけない。人間一生のうち67人に1人が裁判員となる割合だという。
 平成元年生まれの人たちが多いゼミの皆さんも例外ではない。というわけで、この事件を裁判員になったつもりで、評決してみましょう。(この事件は、1876年ロシアの裁判で陪審員制度で裁かれました。ある意味で裁判員の見本となる裁判です。)
「単純な、しかし、厄介な事件」(ドストエフスキー全集『作家の日記』上巻)
事件発端と推移
 1876年5月×日、午前7時頃(推定)ペテルブルグの警察分署に、一人の若い女が出頭した。若い女は、応対した警官に、「たったいま、継娘を4階の窓から放り投げて殺してきました」と、言った。つまり殺人を自首してきたのである。継娘は6歳、4階の高さは地上から十数メートルある。驚いた警察は、現場に駆けつけた。遺体を確認してこなかった、と言ったが、誰もが最悪を思い描いた。この季節にしてはめずらしく、雪が道路のそこここに残っていた。女が放り投げたという4階の窓下にも、いくらかの雪がはき積もっていた。警察は被害者を探した。6歳の女の子は、まったくの偶然に、その雪の中に落ちて気を失っていた。怪我一つなく、奇跡的に助かったのだ。警察は、女を継娘殺人未遂事件の犯人として逮捕した。はたして、この女の罪状は・・・・。現在、日本のあちこちで起こっている幼児虐待事件を思い出す。
犯人の身元
 犯人の若い女は何者か。名前、エカチェリーナ・コルニーロヴァ。年齢20歳。職業、農婦。1年ほど前、妻が病死した子連れ男と結婚した。連れ子は6歳の女の子で、この事件の被害者となった。この夫婦は結婚当初から夫婦喧嘩が絶えなかった。妊娠中。
殺意の動機
 自己中心的な夫への憎しみ。自分を親戚のところへ行かせず、親戚が来るのも嫌がった。喧嘩のたびに、死別した細君を引き合いに出しては、「死んだ妻の方がよかった」「あのころは、世帯向きがもっとうまくいっていた(米川訳)」など言葉の暴力を受けつづけた。
 このためいつしか愛情より憎しみが強くなり、復讐したいと思うようになった。復讐は、何がてきめんか。それは「亭主がいつも引き合いに出しては自分を非難した先妻の娘を、亡きものにすること」だった。夫に対する面当てから、なんの落ち度もない6歳の継娘を殺そうと計画し、実行した。
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前ページの事件について、裁判の行方を考察してください。
 ちなみに、これまででている検察の上告、弁護側の弁護は、以下のようでした。
【検察の起訴と求刑】
幼児虐待と殺人未遂により懲役三年。計画性が高く非常に意図的、また再犯も考えられる。また、理由が娘自身の問題でなく、夫と先妻からのことで、娘は何の落ち度もない一方的な被害者。有罪。
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求刑 → 
【弁護側の弁護】
夫がしばしば先妻について話すことで、娘への影響を考えなかったこと。また、容疑者に対しての態度も悪い。計画性は、あまり高くなく、衝動的。かつ自首してきていることから反省し、再犯は考えにくい。よって無罪。
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求刑 → 
【裁判員の立場から】
【裁判長としての判決】
実際の裁判結果
第一回の判決
第二回の判決・課題「なぜか?!」
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名作読み 紹介が遅れました。冬の夕暮れ、アポリネール(1880-1918)のこの詩を思い出す人も少なくありません。「ミラボー橋」は1913年の作品。これはセーヌ川にかかる鉄製の橋の名前です。(詳しくはネット「アポリネール」検索ください)
  Le pont Mirabeau            ミラボー橋
Sous le pont Mirabeau coule la Seine.  ミラボー橋の下をセーヌは流れる
Et nos amours              そして私たちの愛も
Faut-il qu’il m’en souvienne       思い出さねばならないのか?
La joie venait toujours apres la peine  悲しみの後に必ず喜びが来たことを
Vienne la nuit sonne l’heure       夜が来て、鐘が鳴り
Les jours s’en vont je demeure.     日々は去り、我は一人。
Les mains dans les mains         手に手を取り
restons face a face         顔に顔を合わせ
Tandis que sous le Pont         私たちの腕が作る橋の下を
de nos bras passe          永遠の微笑みが流れる間に
Des eternels regards l’onde si lasse   水は疲れていった
Vienne la nuit sonne l’heure       夜が来て、鐘が鳴り
Les jours s’en vont je demeure.     日々は去り、我は一人。
L’amour s’en va comme cette eau courante 愛は流れ行く水のように去っていく
L’amour s’en va comme la vie est lente  愛は人生は遅すぎるかのように
Et comme l’Esperance est violente    そして望みは無理であるかのように
                     去っていく
Vienne la nuit sonne l’heure       夜が来て、鐘が鳴り
Les jours s’en vont je demeure.     日々は去り、我は一人。
Passent les jours et passent les semaines日々が去り、週が去って行くのに
Ni temps passe              時は去らず
Ni les amours reviennent         愛は戻らない
Sous le pont Mirabeau coule la Seine   ミラボー橋の下をセーヌは流れる
Vienne la nuit sonne l’heure       夜が来て、鐘が鳴り
Les jours s’en vont je demeure.     日々は去り、我は一人。
 句読点を使わないという画期的な手法を使った作品集「アルコール」の特徴
がこの詩にも出ています。(検索)
 去っていった恋人、マリー・ローランサン。詩人は38歳の短い生涯。が、彼女への愛は永遠に終わらない。
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2012年、読書と創作の旅前・後期の記録
「書くこと」「読むこと」の習慣化を目指して
月曜日5時限目ゼミの記録 (文ゼミ2教室)
前期
□4月16日 参加8名、ゼミ説明 はじめての試みとして紙芝居風の紹介にした。が、DVDの取扱に戸惑ったりして反応はイマイチだった。伝わっただろうかの懸念。
 しかし、後日、13名の希望カード届く。(1名辞退)
□4月23日 12名、自己紹介、班長・ゼミ誌作成委員選出 テキスト読み
司会=梅津瑞樹
出席=梅津、後藤、鞆津、山野、小妻、小野澤、吉岡、矢代、根本、石川、志村、古谷
読み=テキスト『菜の花と小娘』、嘉納治五郎「精読と多読」、編集室「読書のススメ」
撮影=1年間無事の旅を祈願して全員で写真撮影。
読むことの習慣化 → 『菜の花と小娘』
書くこと=「課題1.愛読書」 → 根本、志村、石川、梅津、山野、古谷
課題2.自分について」 → 根本、志村、石川、梅津、山野、古谷
「課題3.憲法問題」 → 梅津、石川、山野、
     「課題4.『菜の花と小娘』感想」→ 梅津、石川、山野
      
□5月7日 5名、届2名 ゼミ合宿の件 課題発表 テキスト読み
司会=吉岡未歩
出席=吉岡、根本、石川、志村、古谷 届出=矢代、鞆津
討議=ゼミ合宿の有無決め。次ゼミ5・14に持ち越し
発表=ゼミ通信188号掲載分
読むことの習慣化 → 『ある朝』
書くことの日常化 → 『ある朝』感想 課題9~10
□5月14日 8名 ゼミ合宿採決 課題発表 テキスト読み
司会=古谷麻依
出席=梅津、鞆津、吉岡、矢代、根本、志村、石川、古谷
発表=「ゼミ通信189」掲載分
読むことの習慣化=テキスト『夫婦』『網走まで』
書くことの習慣化=配布→テキスト感想・創作 「車窓観察」、「車内・一日観察」
□5月21日 5名 1名病欠 課題発表 人生相談、
司会進行=鞆津正紀
出席=鞆津、吉岡、志村、石川、古谷
読むことの習慣化=提出課題読み
客観性を育てる=人生相談「元気をだせるには」
書くことの習慣化=課題15~17配布
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.209 ―――――――― 6 ―――――――――――――
□5月28日 6名 ゼミ雑誌ガイダンス報告、ゼミ合宿について、解釈・国語問題
ゼミ誌ガイダンス報告=石川舞花 構成企画案=後藤啓介
出席=梅津、鞆津、後藤、志村、石川、古谷
課題配布=18・19・20
□6月4日 4名 課題の読みと感想。テキスト関連作品の読み
司会進行=石川舞花
出席=吉岡、根本、石川、古谷
読むことの習慣化=テキスト関連で、夏目漱石『三四郎』の車内観察の部分。
課題配布=21・22・23
□6月11日 7名 ゼミ誌・ゼミ合宿報告、課題報告、テキスト読み
司会進行=志村成美
出席=梅津、鞆津、後藤、志村、石川、古谷、矢代
ゼミ合宿(梅津)=第一(8/1~8/2)、第二(8/8~8/9)希望を申請
ゼミ誌編集報告=構想中、後半にタイトル、版などを決めていく
課題報告=読みと評・感想
テキスト読み=『出来事』百年前の車内観察。当時の日本語を知る。
課題配布=24・25・26
□6月18日 6名 ゼミ合宿報告、8月1日~2日決定、軽井沢。課題報告
 ゼミ人数11名と確認、12名だったたが、この日1名離脱判明。
司会進行=吉岡未歩
出席=後藤、鞆津、吉岡、志村、古谷、石川
課題報告=観察作品、「振り込め詐欺」「隣人トラブル」についての感想
課題配布=27・28・29
□6月25日 3名 ゼミ合宿について(梅津班長)ゼミ誌会議は先送り
司会進行=全員(参加者が少なかった為)
出席=梅津、鞆津、石川
課題報告=なし(ゼミ合宿、ゼミ誌の話合い)
書くことの習慣化=課題30・31・32
読む事の習慣化=『空中ブランコに乗った大胆な青年』サローヤン
□7月2日 
司会進行=石川舞花 ゼミ雑誌作成会議・議長として進める
出席者=梅津、鞆津、志村、古谷、石川
ゼミ合宿について=梅津班長各人にメール連絡。2名不参加を即答。
「2012年、読書と創作の旅」前半は、本日23日で終了の運びとなった。「読むこと」、「書くこと」の習慣化を目指しての旅だったが、少しは身についただろうか。
□7月23日予定 ゼミ雑誌作成について・ゼミ合宿集合場所時間について。
最後の観察、自分観察テキスト「濠端の住まい」、私の夏休み計画。読書のススメ
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☆ 8月1日(水)~ 2日(木)
  ゼミ合宿(軽井沢)ドストエフスキー作『貧しき人々』マラソン朗読会
参加者 梅津瑞樹  志村成美  古谷麻依  鞆津正紀  全員完走
後期ゼミ ゼミ誌作成 & 家族観察・模擬裁判を目指しした
 9月24日 出席者 = 石川舞花、古谷麻依、志村成美、根本留加、山野詩門、
後藤啓介、梅津瑞樹 4月以来の8名でした。
            ゼミ誌原稿提出。100%近く、創作・車内観察
            課題1.「誘拐事件容疑者調書」
10月 1日 出席者 = 石川舞花、古谷麻依、志村成美、鞆津正紀、梅津瑞樹 5名
            ゼミ誌作成会議、番組表、レイアウトなど
            サバイバルゲーム「遭難、私ならどうする」個人と集団の場合
            発表と説明。内容は次号。
            課題1.提出→石川さん
10月15日 出席者 = 石川舞花、古谷麻依、志村成美、鞆津正紀、梅津瑞樹
            後藤啓介 6名
            ゼミ誌提出原稿合評6名分 部数について
10月22日 出席者 = 石川舞花、古谷麻依、志村成美、梅津瑞樹(司会進行)4名
           ゼミ誌作成報告、広島女児誘拐事件について
           テキスト『兒を盗む話』読み
10月29日 出席者 = 石川舞花、古谷麻依、志村成美、鞆津正紀 4名
           ゼミ誌作成報告 入稿近し。新聞「人生案内」自分ならを議論
           関連でO・ヘンリーの作品を読む。
11月12日 出席者 = 古谷麻依、志村成美、鞆津正紀、梅津瑞樹 4名
            ゼミ誌原稿校正、紙芝居「少年王者」口演・梅津瑞樹
11月19日 出席者 = 石川舞花、鞆津正紀 2名 ゼミ誌編集・校正作業
11月26日 出席者 = 石川舞花 紙芝居の材料確認、欠席者待ちと連絡
12月 3日 出席者 = 梅津瑞樹、石川舞花、古谷麻依、志村成美、鞆津正紀、山野詩門
            3ゼミ合同発表会 『灰色の月』朗読、紙芝居口演
12月10日 出席者 = 鞆津正紀、志村成美、古谷麻依、山野詩門 石川舞花、小妻泰宗
            6名参加 テキスト『范の犯罪』読み、模擬裁判
 1月 7日 出席者 = 鞆津正紀、志村成美、古谷麻依、石川舞花 4名
            百人一首カルタ大会
 1月21日
 1月28日
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.209 ―――――――― 8 ―――――――――――――――
社会観察       スポーツ強化と暴力指導の是非
 大阪市立桜宮高校ピンタ指導による生徒自殺で、教育界は大きく揺れています。暴力指導がなければ強くならない、という識者や学校関係者もいれば、橋下大阪市長のように、勝ことや、スポーツ有名校になるより命を守ることが大切という意見もあります。
この問題は、このたびアルジェでの人質救出作戦にもいえます。まだ詳細は不明ですが、アルジェ政府の人命を守るより石油やガス施設のプラントを守るのが優先、とする考えとも似ています。地域、宗教、国益、思想、国別などによって、優先度は違うようですが・・・。あなたの考えは  ?
土壌館日誌
 柔道に限らず武道全般に、黒帯というものがある。付随して段というものもある。つまり上達した証拠として初段、二段とのぼっていくのである。将棋や囲碁の世界にもある。いずれも柔道の創始者・嘉納治五郎が、練習の励みになる目的で発案したといわれている。(それまで、武道では、師の免許皆伝だけだった。)柔道の場合、初段と共に黒帯をしめて良いことになっている。これは全世界同じである。
 柔道の腕前が、どれほど上達したか。この見極めとして昇段審査というものが年何回か世界中、どこかの会場で開かれている。先日、この地区で開かれた審査会に土壌館の練習生を受けさせることにした。午前中は、二人一組で柔道の形を行い、よく技ができているか、どうか審査し、午後は実力審査ということで、試合を行うのである。土壌館からは、これまで何人も受けていたが、これまでこのことで心配なことはなにもなかった。
しかし、今回は、不安と心配が先に立って仕方なかった。
つづく
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
掲示板
 2012年の文芸研究Ⅱ「下原ゼミ」も残すところ後2回となりました。自分なりに成長はあったでしょうか。頑張って最後のゼミを迎えましょう。
お知らせ ドストエーフスキイ全作品を読む会・読書会
月 日  2013年2月23日(土)
時 間  午後1時30分 ~ 4時45分  二次会有り
会 場  池袋・東京芸術劇場コミュニケーション7(小会議室7)
作 品  『スチェパンコヴ村とその住人』報告者・江原あき子
会 費  (日芸生無料)
・・・・・・・・・・・・・編集室便り・・・・・・・・・・・・・・
□住所〒274-0825 船橋市前原西6-1-12-816 下原方『下原ゼミ通信』編集室
  メール: TEL・FAX:047-475-1582  toshihiko@shimohara.net

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