文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.70

公開日: 

日本大学芸術学部文芸学科     2006年(平成18年)11月 27日発行
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.70
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
2006後期9/25 10/2 10/16 10/23 10/30 11/13 11/20 11/27 
     12/4 12/11 1/15 1/22 
  
2006年、読書と創作の旅
11・27下原ゼミ
11月 27日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ1
  1.  ゼミ誌作成・編集委員に二校の提出
  2. 提出原稿読み「普通の一日を記憶する」
  3. 名作読み『にんじん』「もぐら」と『どんぐりと山猫』
  4.  回想法・復刻版『少年王者』山川惣治作・画を紙芝居で
     第一集おいたち編 → 全員で
2006年、読書と創作の旅「車窓」
 今週は、なぜか動物に関係するニュースが多かった。まず北海道知床半島の「ウトロの海岸に大量の秋刀魚」(22日朝日・読売)が打ち上げられた。数万匹はいるとみられた。時ならぬごちそうに人間はむろん熊もキツネも浜に出て拾っていたという。秋田では、町中に熊がでてきて川で休んでいるところを猟友会に駆除された。気の毒な熊がいればこちらは『新居決まり「ボス」安心』(21日読売)の見出しで雄猫の喜ばしい話題。これは、一昨年の中越地震で飼い主とはぐれてしまった雄猫(推定10歳)がようやく引きとり手が見つかったというもの。「前橋市市街地にイノシシ4時間」(22日読売)このイノシシは麻酔銃で撃たれて捕獲された、とのカラー記事。その後は山に帰されたのか、粗大ゴミとして焼却されたのか。気になるところだ。深刻な記事で「狂犬病また発症」がある。横浜の60歳の男性がフイリピンで飼い犬にかまれ帰国後発症した。重症とのこと。17日にも、京都の男性がフイリピンで犬にかまれ発症。こちらは死亡している。旅行中に野良犬にかまれたとのこと。フイリピンでは、年間250人前後が発症。世界保健機関(WHO)の推計では、狂犬病による死者は世界で年間約5万5000人に上がり、インド、中国などで特に多い。楽しい話題もあった。「エンリッチメント大賞2006」というのがあるそうだ。動物園の動物の生活を豊かにする試みに送られる賞とか。このたびこの賞がキリン用の「体かき棒」を工夫した京都動物園に送られた。(11・22朝日)。今週の動物関連ニュースで、一番大きかったのは、なんといっても四国徳島市で起きた、野良犬救出騒動だろう。「絶壁50㍍・・・救出成功」(各紙)市中心部の急斜面に土砂崩れ防止用コンクリート壁があり、その斜面地上50㍍のところに野良犬が迷い込んでおりられなくなった。17日の昼、近所の人が見つけ、警察に通報。犬は体長50㌢の柴色。首輪をしていないから野良犬か。あっというまに各テレビのワイドショー目玉となった。22日救出された犬は引きとり手が何人もあらわれたらしい。留めは、米国の自然写真コンテストに、長野の猿公園職員が撮った「雪ザルと赤ん坊」が06年のグランプリ獲得。悲喜交々。ともかく動物の話題が多かった。(編集室)
 


車窓雑記
 
海外ニュース・「ある毒殺事件」観察
 23日、ロンドンで一人の亡命ロシア人が死亡した。死因と身元について衝撃的なニュースが世界をめぐった。新聞各紙・BBCニュースなどによれば亡くなった人はアレクサンドル・リトビネンコ氏43歳。この人物の死が大きく報じられたのは、謎の死因と身元紹介である。身元は、旧ソ連邦諜報機関「国家保安委員会(KGB)の後継機関である露連邦保安局(FGB)の元中佐。早い話、元スパイ。そうロシア現大統領プーチン氏のかつての同僚である。死因は当初変死だったが、その後ポロニウム210と判明した。このポロニウムは放射性物質で高度の科学知識と設備ができなければ絶対にできない物質とのこと。(下記参照)この件で思いだされるのが、12年前になるが、あのオウムによる松本サリン事件である。大学生はじめ多くの人たちが亡くなった。(7人死亡、60人入院)いまも病床にいる人もいる。サリンもポロニウム同様、普通の人には、絶対につくれない毒薬であった。が、日本に存在しない物質ということで、当局に判断ミスがあった。その結果、解毒手当てが遅れたり、冤罪者をだした。今回のロンドンでは22日死亡で、23日には尿から死因の物質を検出している。日本の地方警察とロンドン警視庁の差か。いずれにしても迅速な捜査であった。対処も、また速かった。英政府は24日、ジョン・リード内相主催で国家緊急治安特別閣議を開催、事件への対応を協議した。同時に、英健康保険局(HPA)は、被害者故人の汗など分泌物に接した人は、同物質が体内に入り健康をそこねる恐れがあると判断し、病院の医師、看護婦など、十数人を対象に健康調査に乗り出した。日本の場合は、1994年6月28日の有毒ガス事件から翌年3月20日地下鉄サリン事件まで半年以上のブランクがあった。結果、死者12名、重軽傷者5500人超の犠牲者をだした。今回、死因が放射性物質ということから英政府は、すばやい対応をみせた。駐英ロシア大使を呼び「深刻な事件」であるとの認識を伝え、露政府が捜査に必要な情報を提供するよう要請した。もし、これが銃か青酸カリといった普通の手段だったら、単に元スパイ同士の謀略結果として報じられたかも。現に、何年か前、ロンドンでは傘の先に毒薬を仕掛けた暗殺事件が起きている。
 今回の事件で改めて知ったのは、世界ではまだ、こうしたスパイ合戦が行われているという驚きである。1989年のベルリンの壁撤去、1991年のソ連邦崩壊のとき囁かれたのは、これでスパイ小説は終わりだろう、ということだった。1945年に第二次世界大戦が終わり、1961年に東側の手によりベルリンの壁が構築されてからスパイ小説や映画は、花形だった。『寒い国から来たスパイ』やイアン・フレミング『007シリーズ』など、沢山のスパイ小説や映画が流行った。『月と六ペンス』や『人間の絆』で知られるS・モームも一時期英国の間諜だったらしい。とにかく東西冷戦時代は、スパイ小説全盛期だった。
 ところが、ソ連邦解体により東西冷戦は終わった。それにより国家間のスパイ合戦も終わり、スパイ小説家の命運も尽きたとみられたのだ。今回の暗殺の背景は、この秋、10月モスクワで一人の女性ジャーナリストが自宅エレベーターで射殺された。彼女はチェチェン紛争とマフィア問題を扱っていた。毒殺された元スパイ氏は、この射殺事件の真相を追っていたという。彼は、これまでに国家保安委員(FSB)や当時長官だったプーチン大統領の陰謀や犯罪などとを告白していて、自身も命を狙われる身だったらしい。やはり、これまでのスパイものとは違うようだ。
ポロニウム:1898年にキューリー夫妻が発見した元素(放射性物質)。自然界に7種類の同位元素がありポロニウム210は最初に見つかった。当時、帝政ロシアの支配下にあった夫人の故郷ポーランドにちなんで命名された。原子番号は84、ウランとともに産出するが含有量はごくわずか。人体への毒性が非常に強く、放射能もウランの300倍。ポロニウム210は人工的に作り出して、放射能源として使われる。
―――――――――――――――――― 3 ―――――――文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.69
11・27ゼミ
11月27日のゼミは次の要領で行います
1. ゼミ雑誌作成進行状況の報告(ゼミ誌編集委員)
2  提出原稿読み
3 テキスト『城の崎にて』&名作『にんじん』・『どんぐりと山猫』読み
4 紙芝居稽古 回想法・山川惣治作・画『少年王者』(紙芝居稽古) 時間まで
  1.おいたち編(間合いに注意、演技性をみがく、擬音の工夫)
1.ゼミ雑誌作成過程報告
 2校が着くのが遅れたようです。校正の少ない人は、すぐ直してください。
◎ ゼミ誌発行までの予定です。以下の手順で進めてください。
1.  11月27日現在、2校校正を提出する。
2.  編集委員は、皆と協力して題字、表紙、帯を決める。印刷会社と、希望の
   装丁やレイアウトを相談しながら編集作業をすすめる。
3.  11月30日二稿の校正を手渡すことになっている。
4. 12月15日(月)はゼミ誌納品期限です。厳守!!
5. 見本誌を出版編集室に提出してください
6.  12月下旬までに印刷会社からの【請求書】を出版編集室に提出してください。
注意事項!!
以下の点に注意してください。
◎ ①【ゼミ誌発行申請書】、②【見積書】、③【請求書】以上3種類の書類が提出されない
  場合はゼミ誌の発行はできません。補助金の支払いも認められません。
  11・20日現在は、見積書提出・初稿郵送済みです。
2 提出原稿読み
寒空の下、チラシ配りの少女
中川めぐみ
 なんとバイト先でチラシ配りをさせられることになった。驚いた。そして嫌だった。私の仕事は受付である。しかし、そんなことも言っていられないぐらいに、店は危うい状態である。持っていった単行本が一冊、読み終わってしまうくらいに。
 11月の寒空の下、ノルマ90枚の割引券チラシを抱えて某スーパー前に放り出された私は孤独だった。制服の上にはおったテカテカの上着と、運悪くはいてきたブーツのおかげで、魚屋のおじさんみたいないでたちだった。隣の蛤売りのおばさんは大変繁盛している。チラシは2枚、減った。
□ 冬、外でのバイトは嫌ですね。寒いし、人はなかなか受け取ってくれないし、トイレもいきたくなる。郷土人形のチラシを配った経験があります。こんなの配って買う人がいるんだろうか・・・そんな疑問でやっていました。が、後でその人形を配達するバイトもやりました。ということは、今思うと買う人はいたんですね。そのときは、何も考えずに配達してましたが。やっぱりチラシ配りは重要です。どんな人が受け取ってくれるか、受け取らないか。観察しながらやると面白いかもしれません。頑張ってください。
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.70 ―――――――― 4 ――――――――――――――――
3 『城の崎にて』&名作『にんじん』・『どんぐりと山猫』読み(場合によって次回)
○ 志賀直哉『城の崎にて』死に対する作者の気持を考えながら読む。
○ ルナール『にんじん』「もぐら」『犬」動物に対するにんじんの態度をみる。
○ 宮沢賢治『どんぐりと山猫』
 12月11日文芸研究実習生の報告に備えて読んでおきます。
4 紙芝居稽古 
回想法・山川惣治作・画『少年王者』(紙芝居稽古) 時間まで
  1.おいたち編(間合いに注意、演技性をみがく、擬音の工夫)
にんじんの謎
 前回の『失礼ながら』と『尿瓶』には、いくつかの謎がありました。時間の都合でよく議論できませんでした。作者の目から離れてみましょう。
『失礼ながら』について
にんじん一家の虐待話のなかで、おそらくこの小話が一番に不可解で謎に満ちた話といえる。なぜなら、躾のために子どもをたたいたり、用事をいいつけたり、怒鳴ったりする母親は、結構いたりする。しかし、この小話はそのレベルではない。尿を飲ませてしまうのだ。
もしこれが本当なら異常な話で終わってしまう。で、作者からはなれて読む。にんじんは、洗礼を受ける年になっているのに(10歳前後か?)おねしょがなおっていない。おねしょする子の親は、どうしたらおねしょをなおすことができるか、で頭を悩ます。このことは世界共通の悩みである。フランスでも日本でも同じである。私もなかなかなおらなかった。リスの黒こげ焼きを食べるとなおるといわれていて猟師の父が、よくリスをとってきて囲炉裏で焼いて食べたことを覚えている。しかし、ルピック家では、違うようだ。
その日、また、にんじんはおねしょしてしまった。
「ルピック夫人は、どなりつけたい気持をおさえている。彼女は後始末をしてやっている。黙って寛大に、母親らしく」このときのにんじんは、といえば、だだっ子のように、床も離れずに朝食をとる。きっと恥ずかしいからだろう。ここまではわかるが、後始末を終えたルピック夫人の行為には仰天する。信じがたい。夫人は、おねしょをしてしまったにんじんをいたわるように、ベッドまでスープを運んでくるが、そのスープには、「少しばかりあれを!ほんとに少しばかりだが、溶け込ましたものである」のだ。つまり、おねしょを少しばかり木のへらですくって入れたものだという。わが子に、少しとはいえ小便入りのスープを飲ます。そんなことができる母親がいるだろうか。しかし、作者は、平然とこう書いている。「彼女は、ゆっくりと、最後の一さじを取り上げ、にんじんの大きく開いた口の中へ、喉もとにふれんばかりにつっこむ。おしこみ、むりに飲ませる」そればかりか、こんなことも言う。「ああ!汚らしい。おまえは食べたんだよ。ほんとうに食べたんだよ。それも自分のやつをね。昨夜のやつさ」
信じられない母親の行為。しかし、それを兄と姉も知っていて愉快がっている。本当なら当然、父親も知ることになるだろう。が、そのことは書かれていない。真実なら、異常な虐待一家である。しかし、作品全般は、普通の家庭として描かれている。作者はどんな意図でこの作品を書いたのか、謎である。
『尿瓶』
この作品も、『失礼ながら』と似たような話である。尿瓶を用意し忘れたルピック夫人がそのことを隠してにんじんに恥をかかす話だ。こんな母親がいるだろうか。作者は、いったい何をいいたいのだろうか。謎である。暗澹たる気持になる。
 ―――――――――――――――――― 5 ――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.70
2006年、読書と創作の旅 11・27ゼミ報告・家族観察
 前回の『失礼ながら』『尿瓶」は、作者の被害妄想か、自分だけをイジメようとする母親への告発作品です。が、今日の作品『モグラ』は、他者への作者の行為を書いています。この作品をどう読み解くか。かんがえながら読んでみましょう。
もぐら
 にんじんは道ばたで一匹のもぐらを発見する。それは、煙突掃除のようにまっくろだ。散々玩具にして遊んでしまうと、こんどは殺してしまおうと決心する。かれは何回となく空中にほうり投げる。うまく石の上に落ちてくるよう念を入れて。
 最初は、万事ぐあいよく、順調にいく。
 早くももぐらの脚は折れ、頭は割れ、背は砕ける。あんがい簡単にくたばってしまうものらしい。
 ところが、にんじんはびっくりした。もぐらってやつは、どうやっても死なないんだ。ということに気づいた家の屋根をふくときのように高く、天までも投げてみても、ぜんぜんむだで、効果は少しもありはしない。
 ――あきれ果てたやつだな!くたばんねえや。
 まさしく、血痕のついた石の上に、もぐらはたたきつけられて、ぺったりとしている。脂肪でいっぱいの腹が、煮こごりのようにふるえている。そして、このふるえが、いかにも生きているといったように錯覚させる。
 ――あきれ果てたやつだな!奮然としたにんじんが叫ぶ。まだくたばんねえのか!
 かれはふたたび拾いあげ、罵りわめく、それから、やり方をかえる。
 真っ赤になり、目には涙を浮かべ、もぐらに唾を吐きつける。そして、力いっぱいに、石に向かって、微塵に砕けよとばかりに投げつける。
 しかし、ぶざまなその腹は、相も変わらず動いている。
 にんじんが、いきり立って叩きつければ叩きつけるほど、もぐらはますます死なないようにみえてくる。
 この小話をどう読むか。単純にみれば二つの見方があると思います。この残忍なまでの「もぐら」殺しは、一つは、少年期には、小動物や昆虫を平気で殺したりする、だれにでも経験があるという単なる成長過程の出来事。もう一つは、これまでの作品内容からの想像で、母親や家族から虐待されつづけている「にんじん」の鬱積した怒りの現われ、ととるかである。
 さて、どう読まれたでしょうか。にんじんの心理を分析してください。
 もぐらを殺す。都会のこどもにはショックなことかもしれないが、昔の田舎の子供にとって、それほど異常なことではなかった。私(編集室)も、カエルをよく殺した。夏のあいだ蜂の巣を探すのに、カエルは必要だった。カエルの肉を蜂に持たせ、それを追うのだ。肉には目印に白い綿を埋めてある。最初に殺すときは、ちょっぴりかわいそうになるが、5匹も殺せば、もう慣れたもの。どんな殺し方をするか考えて試すようになる。高く投げ上げたり、石にたたきつけたりした。死んだあと、足から皮をはいで口から魚の囲炉裏焼きのように串刺しにする。そのとき、カエルが両手両足を動かしたりすると、にんじんのように「まだ死なないのか」とあきれたりもした。(人間はどんなことにもなれる)
 普通の子供の行為ではなく家族からの虐待に、怒りを爆発させた。陰湿だがこれもまた、考えられる感想といえる。が、作品全体は、その方向ではない。
※ なかなか死にそうにない(本当は死んでいるのだが)もぐらに対して、目に涙を浮かべ、唾を吐きかける心理というのは、いったいどんな心理か。
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.70―――――――― 6 ――――――――――――――――
2006年、読書と創作の旅 読書の秋
  
☆ 憲法改正について (現行憲法を何度でも読んで考えてみましょう)
 安倍政権に代わって憲法改正問題がより現実的になっています。そこで、この問題を観察してゆきます。下記は、注目されている現行憲法です。
前文について
【現行憲法】
 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれら子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に在することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われわれはこれに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、じこくのことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
現憲法の第二章【戦争の放棄】
 
第九条 ① 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、武力によ
       る威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを
       放棄する。
     ② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国
       の交戦権は、これを認めない。
●政府(自民党)草案の第二章はこのようです
 第二章【安全保障】
 
 第九条(平和主義) (現憲法の一項と同じ)
 第九条の二(自衛軍) 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣
 総理大臣を最高指揮権者とする自衛軍を保持する。
2 自衛軍は、前項の規定による任務を遂行するための活動を行うにつき、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
3 自衛軍は、第一項の規定による任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全確保するために国際的に協調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
第二項に定められるもののほか、自衛軍の組織及び統制に関する事項は、法律で定める。           
―――――――――――――――――――― 7 ――――文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.70
読書・鑑賞の秋
観る
衛星第2 1980年イタリア・西ドイツ・フランス合作
ルキノ・ビスコンティ監督『ルートヴィヒ』を観る
 ビスコンテイ監督の映画が、先日連夜放映された。11月23日の長い夜、『ルードウィヒ、神々の黄昏』を観た。夜8時から零時まで4時間の大作である。この映画は、1972年公開当時、その長さのため1時間余りカットされたが、今回放映されたのは、監督死後にスタッフの手で復元した完全版もの。新聞には、こう紹介されていた。
 18歳でバイエルン国王として即位し、40歳で謎の死を遂げた「ババリアの狂王」ルードヴィヒ2世。その生涯を、いとこエリザベートへの実らぬ愛や、作曲家ワーグナーとの交流を通して描く。(読売)
 ビスコンティ監督の映画は、総じてドストエフスキー的であり、作中人物を彷彿させるものが多い。前々回の『夏の嵐』は、19世紀のベネチアを舞台に、オーストリア占領軍の青年将校と伯爵夫人の愛の顛末を描いた作品だが、観終わった印象は、まさにドストエフスキーである。しかし、前夜の『白夜』はドストエフスキーを想起しなかった。さすがのビスコンティも原作となると料理に苦心するらしい。『ルートヴィヒ』は、『白痴』や他作品を連想した。直接でない分、黒澤を超えるものがあると思った。(編集室)
新刊
 
 司馬遼太郎とドストエフスキーについて長年、その関係を考察・検証しつづけている高橋誠一郎氏が今回、新たに、本を出されました。司馬の時代小説のなかに何を読み解くか。いかに現代を見るか。のべる出版 コスモヒルズ発売 2006・12・1 1900+税
高橋誠一郎著『司馬遼太郎と時代小説』
乱世における「天下布武」と「テロリズム」の問題を考える
 忍者小説から『功名が辻』にいたる時代小説を「列伝」的な手法で読み、秦の始皇帝やナポレオンと比較しながら、日本の戦国時代の「英雄」を世界史的な広い視野で描いた司馬作品の魅力に迫る。さらに、単語の「二義性」に注目しながら読み解くことで、「英雄」による「鬼退治」という中世的な歴史認識への鋭い批判を秘めた「司馬史観」の現代性を明らかにする。
よしだまさし著 本の雑誌社 2006・2・25 1600円
『姿三四郎と富田常雄』
 
 日本の架空のヒーローを明治からあげるとしたら誰だろう。鞍馬天狗、猿飛佐助、明智小五郎といるにはいるが、現在の日本人全員が知っているヒーローかというと怪しい。眠狂四郎といっても今は知らない人が大半とみる。では、現在日本人誰もが知っているヒーローといえば、夏目漱石の『坊ちゃん』、山田洋次監督の『男は辛いよ』の「寅さん」そして富田常雄の『姿三四郎』ぐらいだろう。姿三四郎といえば、柔道を知らなくてもたいていの日本人は知っている。姿三四郎とは何か、戦後初の直木賞作家富田常雄とはどんな作家であったのか。本書は、姿三四郎と作者富田常雄の関係を古本マニアの著者が徹底分析している。嘉納治五郎一番弟子を父親に持つこの作家だが、柔道に対する一面、戦後の流行作家の内情を知る痛快の書でもある。
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11・20ゼミ報告
11月20日のゼミは、7名全員参加でした。(順不動・敬称略)
 猿渡公一   鈴木秀和   高嶋 翔  中川めぐみ
 神田奈都子  大江彩乃   佐藤翔星
    
司会・大江彩乃さん
1.ゼミ誌について → 依頼状況の説明。2稿の配布の遅れについて。
2.社会観察・提議「いじめ」について
「いじめ」の体験を一人ひとりに話してもらいました。
 子供のころ人をイジメたことのある人 → 6名
 イジメを受けたことのある人     → 6名
 どんなイジメをしたか → 「オカマ」、「デブ」、無視など。
 どんなイジメを受けたか → 無視、先生から、あだ名など。
イジメについての感想
「気がつかないでやっている」「それほどの悪意はない」など
□ 全員が小学校の頃のこと。高校生時代は、イジメあうほどの友人関係がなかった。
 時間の関係で、イジメの深層心理に迫ることはなかった。表層意見では、辛い、後悔
 している、思い出したくないなどの強い記憶はなかった。大学でのことは話しにでな
 かった。
3. 回想法・紙芝居稽古 → 大江彩乃さんが1部を完読。太鼓など擬音があってもの
 提案があった。
掲示板
ドストエフスキー関連
■ドストエーフスキイ全作品を読む会第217回「読書会」
月 日 : 12月9日土曜日 午後2時00分~4時45分
会 場 : 東京芸術劇場小会議室7
報告者 : 近藤靖宏氏 作品『賭博者』
■ドストエーフスキイの会第177回例会
月 日 : 2007年1月13日土曜日 午後6時00分~9時00分
会 場 : 千駄ヶ谷区民会館
報告者 : 田中元彦氏
題 目 : ドストエフスキー作品の自殺について
                                 詳細は下原まで  
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
編集室便り
☆課題原稿、社会評、創作など歓迎します。下記の郵便住所かメール先に送ってください。
「下原ゼミ通信」編集室の住所〒274-0825 船橋市前原西6-1-12-816 下原方
  メール: TEL・FAX:047-475-1582  toshihiko@shimohara.net
☆本通信はHP「土壌館」に掲載されています。
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山下聖美著 三修社 定価1400円
『ニチゲー力』日大芸術学部とは何か
日本のサブ・カルチャーの発信地の魅力を余すところなく解説
わが青春の日芸(本書収録)
群ようこ(作家) 安西水丸(イラストレーター) 三遊亭白鳥(落語家)
篠井英介(役者) 串田和美(演出家・俳優)
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☆雑誌『江古田文学62』定価980+税
   特集・チェーホフの現在 座談会・ドストエフスキー派から見たチェーホフ
             清水 正 下原敏彦 下原康子 横尾和博
    創作・架空夜話「ある元娼婦の話」下原敏彦
1890年6月26日、アムール河口の町に着いたチェーホフは、日本人娼婦と一夜を共にする。その夜、青年医師であり新進作家でもあるチェーホフは遊女と何を語り、何を考えたのか。ドストエフスキーへの懐疑と尊敬。そして明治維新を成し遂げた日本への憧憬と興味。謎に満ちた若き文豪のサハリン行の謎がここに明かされる。
☆雑誌・別冊『國文学』特集号 10月20日発行 定価1575円
『ギャンブル』破滅と栄光の快楽
 下原敏彦「ドストエフスキーとギャンブル」
文豪を苦しめたルーレット賭博とは、何だったのか。突然の賭博熱解消の謎は。『カラマーゾフの兄弟』に秘められた文豪のメッセージとは。あの「ダヴィンチ・コード」をはるかに凌ぐ人類救済の謎解きがここからはじまる。
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.68――――――――16 ―――――――――――――――――

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