文芸研究Ⅱ 下原ゼミ通信No.341
日本大学藝術学部文芸学科 2018年(平成30年)5月28日発行
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.341
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
編集発行人 下原敏彦
4/9 4/16 4/23 5/7 5/14 5/21 5/28 6/4 6/18 6/25 7/2 7/9 7/16
土壌館創作道場 2018年、読書と創作の旅
テキスト読み(志賀直哉作品・他) &熊谷元一研究(情報)
5・21ゼミ報告 志津木喜一さん参加
下原ゼミは、先週の21日ゼミから、志津木喜一さん加入で、賑やかになりました。写真撮影は、全員揃ったときに――。当日のゼミ授業は、以下の通りでした。
【ゼミ誌ガイダンス】5月15日(火)12時20分~所沢校舎、文芸棟教室1
出席は、西村美穂さん、村瀬琴さん。
編集長・西村美穂さん、副・村瀬琴さん、副・志津木喜一さん
・西村美穂さん報告 = レイアウト、雑誌形態 → 6月中に
テーマを決める? 自由、創作・エッセイ・感想、
ゼミ授業はじめに確認しながらすすめる。
入稿 → 7月13日(金)
刊行 → 12月7日(金)
※今年は、早目の提出とのこと。
・「ゼミ通信」編集室 = 少ない人数ですが、皆で協力してよい雑誌を創りましょう!!
原稿は、毎日、書く習慣を。
【社会観察】この一週間、注目を浴びた出来事。二つの事件について。
・日大アメフト部の
ラフプレー = 事件は5月6日に起きた。危険な反則タックルへの批判。
監督、コーチ、日大の初期対応のまずさから、問題は、枯野に放った火のように燃え広がった。ルールを侵してもの前監督の言動。「法律は軍事に優先する」との学祖・山田顕義の理念に、まさに乖離する。彼は日大人ではない。いつのまに棲みついた魑魅魍魎。一時も早い一掃を願いたい。
・新潟小学2年生女児殺害事件 = またしても起きた悲しくも残酷な事件。この犯罪を防ぐ手だてはあるのか。志賀直哉は、容疑者の心理を想像して小説とした。
【志賀直哉『兒を盗む話』を読む】対策として誘拐犯の心理を知る。
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5・28ゼミ 二つの出来事
【社会観察】 27日迄に大きなニュースが二つ、新聞の紙面を埋めた
一つは。25日(金)朝刊トップを飾った米朝首脳会談中止。
二つは、先々週から連日報じられている日大アメフト問題
・米朝首脳会談中止 = トランプ米大統領と北朝鮮の正恩氏は、6月12日、シンガポー
ルにおいて首脳会談を行う計画だったが、25日、トランプ氏は
突然、中止宣言。だが、事態はなお流動的。
・日大アメフト = 日大の初期対応の悪さ、危機管理能力の無さから問題は大きくなるば
かり。事件発生から20日以上たつのに未だ先が、見えない。日大関
係者として、見過ごせない出来事がつづいた。22日~27日迄の新
聞記事を追った。
反則選手が単独で記者会見。日大救われる。5・23 朝日新聞
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反則選手の会見は、多くの人の感動を呼んだ。が、翌日、前監督・コーチは反則指示を否定。事態は一挙にヒートアップ。日大の体質が問われるようになる。
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日大の反則プレーと日大の対応を社会は、どうみたか。
残念ながら日大の対応は芳しいものではなかった。テレビは連日、日大批判を展開する。新聞には、多くの感想が寄せられた。いくつかを紹介。2018・5・24 朝日新聞「声」
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マスメディアは、どう批評したか。朝日・読売の社説を紹介。
朝日新聞 2018・5・25
最大の責任は、事態を甘く見て不誠実、非常識な対応をくり返してきた日大にある。
日大アメフト部の異様さが目立つ。
学生にとって指導者の存在は大きい。これからの学生スポーツのあり方を考える。
コーチ・監督批判から、日大批判に。日本のスポーツについても。
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読売新聞 2018・5・25
実績を積んだ指導者ほど、驕りが生ずる。選手を追い詰めた責任は重い。
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【編集室・雑記】
ラフプレーにたいする怒り、大学の対応の鈍さ、社会の日大批判は、ことのほか大きかった。こんなにも日大を憎んでいた人がいたのかと驚くほどに、大勢のマスコミ人、タレントが罵りはじめた。日本一学生数が多い、メダリストが多い、教育の場ではないなど、どれもこれも批判の対象だった。地に落ちかけた日大を救ったのは、ほかならぬ反則を犯した加害選手だった。顔だしの単独謝罪会見は、多くのひとの感動を誘った。真摯な誠実な態度に日本中が泣いた。反則プレーの罪は重いが、許してあげたい。そんな気持ちが生まれもした。反則選手の態度は、「自主創造」を教育理念に掲げる日大の誇りともなった。
しかし、全てをオジャンにしたのは、監督・コーチの会見だった。加えて「日大ブランドは地に落ちますよ」の記者質問に「落ちません」と答え会場内で失笑をかった大学側の司会者。いまや、日大は完全に地に落ちてしまった。この忌むべき事態に現役学生は、むろん全国にいる日大OBたちは、ひたすら耐えるしかないのか。強い憤りと悲しみがある。
だがしかし、いまの事態をよしとする気持ちもある。そのことに希望を持っている。歴史に「もし」はないが、もし監督とコーチが日大が、初期対応を誤らずにうまくやっていたら、危機管理をぬかりなく発揮していたら、なにもなかったことになる。それを思うと、これでよかったのだと思う。時代錯誤の大学スポーツの世界、それに閉塞感のある大学経営。今回の反則行為は、図らずも大学の暗部を照らしだした。大学自らが世に知らしめた。
大学には、どうかこのチャンスを生かしてほしい。大学自らの手で大掃除してほしい。学問の府として立ち直ってと願う。まだ、遅くはない。
今回の騒動をみていて、なぜか50年前、日大闘争に向け日大出身の著名人たちが連名でだしたある声明文を思いだした。
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燃える怒りの火を消すな
・池田みち子 ・伊藤逸平 ・宇野重吉 ・佐古純一郎 沙羅双樹 ・当間嗣光
・中桐雅夫 ・埴谷雄高 ・後藤和子
34億円の使途不明金問題をかわきりに学園の民主化をめざして闘っている学生諸君、君らは今、日本大学の新しい歴史をきり刻んでいる。日本大学の民主化闘争は日本の最右翼の大学における反逆である。だからこそ、砲丸から日本刀まで持出した体育会系右翼の暴力と、機動隊の介入は決して偶然のものではありえない。しかし、10万人の日大生は、かいならされていなかった。その証明を、君らは闘いの中で展開している。日本大学のこれまでの恥辱の歴史に勇然とたちあがった怒りの炎を、君らの胸にもやしつづけろ。それは自由を暴圧する全てを包み、反逆のいかりをさらにもえあがらせる力となるだろう。私たち日本大学を巣立った有志は、君たちの闘いを支持し次の事柄を声明する。
一、34億円の使途不明金問題を出し、さらに右翼暴力団、体育会系学生を動員しての暴力事件に対して、理事会は責任の所在を明らかにし、だいがくを真の教育の場とする方針を具体化せよ。
一、大学は学問追究のばとして、学生の、表現・出版・衆会の自由を認めよ。
一、これまでに起こった暴力事件の責任を無学生に転嫁した退学・停学等の処分を撤回し、今後このような学生に対する不当処分をくりかえすな。
一、学園民主化のため、暴力と弾圧に屈せず闘っている学生諸君の勇気ある行動をたたえこれを支持する。
(『朝日ジャーナル』1968年6月30日号より転載)
いま、まさに不正に向かい立ち上がらんとしている日大アメフト部の選手たちに捧げる。
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熊谷元一研究 写真展情報
下左・20回大賞作品、下右・熊谷元一作品
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熊谷元一研究・「JCIIクラブ25」案内図
月 日 2018年5月29日(火)~6月3日(日)
会 場 JCIIフォトサロンクラブ25(東京・半蔵門)
ドストエフスキー情報
ドストエーフスキイ全作品を読む会・読書会
※詳細は下原まで
6月9日(土)午後2時~4:45 東京芸術劇場第7会議室
作品『未成年』 報告者 國枝幹夫さん 司会進行 小山創さん
【連絡】
下原敏彦 メールtoshihiko@shimohara.net
携帯090-2764-6052