文芸研究Ⅲ 下原ゼミ通信No.7

公開日: 

日本大学藝術学部文芸学科     2019年(令和元年)5月28日発行

文芸研究Ⅲ下原ゼミ通信No.7

BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
4/9 4/16 4/23 5/7 5/14 5/21 5/28 6/4 6/11 6/18 6/25 7/2 7/9 7/16 7/23 
観察から創作へ

2019年ゼミⅢ読書と創作の旅

5・28下原ゼミ

5・21ゼミ観察 2019年度の旅、5・21ゼミは、参加5名
       
 この日の参加者は、西村美穂、吉田飛鳥、中谷璃稀、山本美空、神尾颯5名

屋久島に大雨を降らせた低気圧北上で、関東地方朝から荒れ模様。昼ごろ雨激しくなる。

ゼミ誌、構想案まとまる「架空の町」

ゼミ誌ガイダンス報告&編集会議 報告とゼミ誌テーマ決め

 ゼミ誌構想案がまとまった。テーマとして「ムーミン」「誰も死なない」などあがったが、最終的に「架空の町」に決まった。どんな町になるかは、9名の旅人による原稿内容で。

【編集会議の内容】

締め切り → 夏休み明け 12月初旬発行を目標に編集と校正
内容 → 創作、エッセイ、写真・絵画、自由

・ドストエフスキー講座 → 視点(朝日)のコピー、「団塊とドスト」配布
              「ドストとギャンブル」読み
・世界名作紹介 → A・ランボー「谷間に眠る者」

・提出課題の読み → 西村、中谷 (「剃刀職人兵士殺害疑惑事件裁判」主文)

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5・14ミニ劇場  5・21、ゼミ3法廷で行われた最終模擬裁判は以下の通り

剃刀職人兵士殺害疑惑事件の裁判

テキスト・志賀直哉「剃刀」 → 脚本・編集室「剃刀職人兵士殺害事件の裁判」

〈配役〉
ナレーション … 西村美穂         証人 被害者家族 … 蓑野悦子
裁判長 … 中谷璃稀            証人 お梅   …  蓑悦子
被告人 … 吉田飛鳥            証人 錦公   …  蓑野悦子    
弁護士 … 西村美穂            証人 女中   …  蓑野悦子
検 察 … 西村美穂              

☆提出課題 → 「裁判員としての判断(量刑・理由」、「主文(裁判長の判決)」
※裁判長、被告ほかは、兼務

ミニ劇場・模擬裁判の結果と報告 裁判員裁判制度10年目ということで裁判した。

【事件概要】(志賀直哉『剃刀』から)
1909年10月13日、午後10時24分頃、麻布十番四角交番に近くの「辰床」の店主、芳三郎(28)が客を殺したと自首してきた。勤番の山田巡査が「辰床」へ駆けつけると、客用イスに市ヶ谷連隊兵士・所航太(23)が首から大量の血を流して死んでいた。死因は出血死。凶器は「辰床」の商売用の剃刀。遺恨なし。業務上過失致死と無差別殺人の嫌疑で逮捕。1910年5月14日、第一回裁判。本人、殺害認めるも状況は曖昧。動機なし。被害者の母親は、重い刑を希望。

■検察は、故意殺人とみて有罪、無期懲役を求刑。弁護側は、心神耗弱で無罪を主張。

【最終判決5・21】(5・14提出分から)

〈山本美空〉この日、初参加、事件概要、配布で知る

〈神尾 颯〉 法廷閉廷後之参加で事件内容配布

〈中谷璃稀〉 有罪、だが無期は重すぎる。
 
〈西村美穂〉有罪、過失ではなく殺人としての刑を望む

〈蓑野悦子〉精神や体調管理の甘さが招いた。突発的に同情も  

〈吉田飛鳥〉なんの落ち度もなく死んだ若者の無念、有罪

☆5月21日 最終判決

自分の体調管理不備と、自分の完璧主義の性格から前途ある若者の命を奪った罪は、過失致死として見逃すことはできない。よって被告人を懲役10年に処す。
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5・28ゼミ予定 ゼミ誌編集会議、 ドスト講座  模擬裁判 

1.ゼミ誌編集会議 5・21報告の追加情報 
2.ドストエフスキー講座 いま『罪と罰』を読むわけ
3.模擬裁判 土壌館ミニ劇場口演

テキスト志賀直哉『兒を盗む話』 脚本。「ゼミⅢ通信」編集室

争点、誘拐は、単に可愛さと寂しさからか、それとも猥褻目的か

ゼミ4法廷
尾道幼女誘拐事件模擬裁判

裁判長 =             被告人の父親 =
被告人 =             幼女の両親  =
検察側 =             裁判員    = 参加ゼミ生全員
弁護人 =  
証人(大家)  =                
被告人の関係者 =       

裁判長 開廷します。検察側は、事件の説明を行ってください。

検察・事件概要
 12月30日 誓文払い最後の晩、金剛寺下の按摩の妻は、五歳になる娘を連れて祭にでかけた。大売り出しの人混みで娘は、迷子になった。探したがわからず1時間後、近くの交番に届ける。2時間後、尾道署の巡査、地元警防団多数も加わり捜索するが、娘はようとして不明。31日両親、探偵を雇う。尾道署も事件・事故の両面で捜査本部を設置し捜索範囲を広げた。三日目、不明の女の子を連れた若者を見た、との目撃情報あり。警察、探偵、両親は若者が借りている家を訪ねる。娘は、若者の家にいて無事に保護。若者は当初、出刃包丁を持って抵抗しようとしたが、おとなしく逮捕された。以上、今事件の概要。

裁判長 被告人の犯罪行為を検察側は、どのように捉えているか。簡潔に。
検察側  12月30日午後6時頃、金剛寺という寺の下に住む按摩の娘(当時5歳)がいなくなった、と警察に連絡が入った。誓文払いの祭りに母親ときたが、人ごみではぐれたとのことだったが、警察、消防団で探したが不明。三日間、周辺で聞き込みをしたところ、若い男性と歩いていた、との目撃情報をえた。そのとき娘は、嫌がっている様子はなかった、という。そのことから顔見知りと推察。捜査範囲をせばめた結果、最近、娘の父親が営む整体院に治療に来ていた若者が浮かぶ。彼が借りている家へ向かう。その家に、娘はいた。誘拐男は出刃包丁を持ったが、襲いかかってくる様子はなく、その場で緊急逮捕した。
     犯行は、計画性もみられるが、衝動的な行動のようでもある。金銭目的、猥褻目的といった、凶悪行為はなかった。一人暮らしの寂しさからが動機とみられるが、被害者の女の子にとっては、恐怖以外のなにものでもなかった。PTSDの可能性も。被害者の家族からすれば異常・変態犯罪。小児性愛者の疑いもあるので厳しい判決を求めたい。
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裁判長 事件発生時の様子を、もう少し詳細に陳述してください。
検察側 はい。その日は祭りで、商店街は大勢の人で混んでいた。母親は買い物に気を取られていた。気付いたら娘の姿がない。名前を呼んでもでてこない。母親は買い物を投げ出して商店街を探し回ったが、どこにもいなかった。それで、だんだん心配になり、交番にかけこんだ。ここから本格的に捜査がはじまった。
一方、被害者の娘は、こんな心根ではなかったのか。若者は、最近、父のところによく来る客ということを認識していた。それで特に不審に思うことなくついていった。しかし、いつまで経っても家に帰してもらえないことに気付いて、泣きだした。被告は困って菓子や玩具を与えていた。が、最終的にどうしょうと思ったのか。最悪の事態も考えられます。少女に怪我はありませんでしたが、精神的傷害を与えたのは言うまでもありません。
裁判長 取り調べ時の被告人の所見は
検察側 被告人は、精神衰弱はしているものの、健康に問題はなく、詰問にはしっかりと答えていた。ただ誘拐の動機は「寂しかったから」の一点張りで、誘拐という大事件を起こした罪悪感が欠如している。誘拐した子の前に、別の少女を狙っていたとも明かしている。そちらの子の方が可愛らしく本命だった。今回の犯行は、あくまでも偶然、出会った顔見知りの子を衝動的に連れ去った。迷子になった知りあいの子供を保護しただけ。このように弁解していて反省の色なし。
裁判長 それでは弁護人は陳述してください。
弁護人 祭りの中で偶然見つけた顔見知りの幼女。母親は、買い物に夢中になっているので、これでは迷子になってしまう。そんな心配から親切心で、声をかけたのです。自宅に連れ帰ったのも、幼女が疲れていて眠そうだったからです。被告人は良心から彼女を自宅に連れ帰ったのです。もし他に目的があったなら、なぜ少女は怪我一つなく、三日間無事で過せたのでしょう。被告は、幼女のために菓子や玩具も買いました。一緒に遊びもしました。
 被告は、知らない土地で話す人もいなかった。精神的に追い詰められていた。その心を唯一癒してくれたのは、芝居小屋で見た女の子だった。彼女に会いたいと思っていたところ、よく通っていた按摩の娘がいた。知りあいだし、声をかけたらついてきた。ただ、それだけだったのです。捜す側にとって、確かに三日間は長すぎます。が、無事に元気に帰ってきたことを考慮すべきです。
裁判長 次に被告人の訊問を行います。被告人は、氏名、住所、職業等を述べてください。
被告人 日芸太郎、現住所は、広島県尾道町尾道6―1―20、20歳 職業は無職。
裁判長 被告人は、いつからその住所に住んでいるのか。その前はどこにいたのか。
被告人 三か月前からです。その前は東京にある実家にいました。
裁判長 その東京の実家には、だれがいたのか。
被告人 祖母と両親と二人の妹です。
裁判長 この土地に来た理由は。ここに知り合いはいるのか。
被告人 この土地は、はじめてです。知り合いは誰もいません。来た理由は、一人になって暮らそうと思ったからです。
裁判長 なぜ一人になって暮らそうと思ったのか。
被告人 父との不和です。
裁判長 不和の原因は何か。
被告人 私が学校を卒業したのに、就職せず家にいるからです。
裁判長 なぜ働かないのか。どこか体に不具があるのか。
被告人 からだは健康です。疲れやすい体質ではありますが。
裁判長 ではなぜ?
被告人 仕事は家で、やっております。
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裁判長 どんな仕事ですか?
被告人 自分の仕事です。
裁判長 自分の仕事とは?詳しく述べてください。
被告人 小説を書いているのです。
裁判長 もの書きで生計をたてているのか。
被告人 いえ、一度もお金になったことはありません。それに、まだ書きあげていません。
裁判長 つまり趣味ということだな。
被告人 はい。
裁判長 文学に入れ込んで仕事をしない。それでお父さんは怒っているのだな。
被告人 はい、そのことでずっと不和がつづいていました。あの朝は、特に機嫌が悪く、いつもより激しく私をののしりました。
裁判長 どんなことを言われたのか。
被告人 「貴様は、いったいそんなことをしていて将来、どうするつもりだ」「貴様のようなヤクザな奴がこの家に生まれたのは何の罰かと思う」わたしが、家にいる限り小さい妹たちの教育にも差し支える。こんなことも言われました。
裁判長 それが理由で家出することにしたのか?
被告人 はい
裁判長 それでは事件について聞くぞ。答えたくなかったら答えなくてもよろしい。なぜあの女の子をさらおうと思ったのか。
被告人 さらおうと云う気持ちはありません。顔見知りでしたから。
裁判長 他人の自由、行動を奪えば、立派な誘拐、監禁だ。そうは思わぬか。
被告人 よくわかりません。たまたま、街で見かけたので・・・。本当に。
裁判長 猥褻目的ではなかったのか。 
被告人 ぜったいにそんな気持ちはありません。寂しい気持ちはありましたが。
裁判長 では、その点について検察側からの証言をお願いする。
近所の人一 被告は変わった人です。私は割と近いところに住んでいます。被告は一人静かに暮らしていますが、ときどきふらふらと出かけます。仕事はしてないようなのに、どこへ出かけるのか気になっていました。あるとき芝居小屋に通っていることがわかりました。好きな役者でもいるのかとも思ってました。が、違ったんです。私は、何度かその芝居を見に行ったことがあります。被告がいたとき、被告を観察しました。5人くらい横から見ていました。最初は、熱心に芝居を見ているだけだと思っていましたが、あるときわかったのです。被告は芝居なんて見てませんでした。近場に住む、常連の裕福そうな家庭のお嬢さんをじっと見つめていたんです。その子はそれはもう可愛らしい顔立ちをしていますから、見惚れても仕方ないでしょう。でも、そのときの被告の表情はそんなものではありませんでした。まるで、一人の女性に恋するような恍惚とした顔でした。そんなわけで、少し気味悪かったです。
裁判長 それでは被告人の父親の証言をお願いします。
被告人父親 やはり、ロクなことをしない奴だった。他の同胞はとてもいい子ばかりなのに、どうしてヤクザな人間に育ったのか、わかりません。
昔は、学力も優秀で将来を嘱望されていたのに。非常に残念です。
息子がまさかこんなことをするだなんて、思いもしませんでした。被害にあわれた娘さん、娘さんのご家族には、本当に申し訳ないことをしました。
被告人の母親 あの子がしている事を夫は認めませんでした。あの子が言い返して泣いたときに、気づいてあげればよかったのかもしれません。
いつも夫に怒られていて、かわいそうだとは何度も思いました。やさしい性格で、そんなこと大それたこと(誘拐)など、するはずがないと信じていました。が、本
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当なら裏切られた気持ちで悲しいです。今は、女の子並びにご両親にお詫びするしかありません。
被告人の妹 兄は真面目な人です。こんな事をしたなんて信じられません。
きっと悪い人にそそのかされたか、心が疲れきってたかに違いありません。父はああ言いますが本当は優しく頼りになる兄なんです。
被告の友人 彼は普通の青年だった。性格も穏やかでありあまり感情を全面に出さないような、そんな人間だった。ただ、ほんの少しだけ想像することが、他の人よりも強かっただけだと。かわった奴ではあったが、まさかそんなことをするとは想像もしなかった。惚れっぽい所もあったが、こんなことまでやるとは。この話を聞いたときは驚きました。・・・人間はわからないものだと思いました。
被告の知人 彼とは、彼が東京を出奔する前、仲たがいしました。
裁判長  前とは、いつごろか。また、どんなことで仲たがいしたのか。
被告の知人 二カ月ほど前です。仲たがいの理由は、忘れましが、たぶん、女のことだったかも知れません。
裁判長 女の?男女関係のもつれがあったのか。
被告の知人 いえ、彼が惚れっぽいので、忠告したのです。
裁判長 どんな忠告をしたのか。
被告の知人 次々と女性を好きになって、そのたびに断られ落胆しているので、気の毒に思い、惚れっぽいのもいい加減にせよ、と言ったのです。
裁判長 そのことと、今回の事件とは関係あると思うか。
被告の知人 わかりませんが・・・たぶん寂しかったからかも知れません。彼の、惚れっぽい性格も、いま思うと、それが事件の起因になったように思えるのです。
裁判長 わかりました。以上の証言で、被告の性格ならびに事件までの生活がわかってきたと思います。
それでは裁判員の皆さんには、私見を述べてください。有罪の場合は、その理由と量刑をお願いします。無罪の場合は、納得できる理由をお願いします。

【話し合ってください】

裁判員が、だした結果  有罪

無罪

裁判長最・主文 → よって被告人に

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テキスト・志賀直哉『兒を盗む話』
1914年(大正3年)4月1日『白樺』第5巻第4号に発表。

【創作余談】尾の道生活の経験で、半分は事実、子を盗むところからは空想。しかしこの空
想を本気でしたことは事実。友達もない一人生活では空想ということが日々の生活で相当に
幅をきかせていた。それを実行するには、未だ遠いにしろ、そういう想像を頼りにする。今
なら、さういう想像をすることの方を書くかも知れないが、その時代は、想像をそのまま事
実にして書いてしまった。もっともこれは何れがいいとか悪いとかいうことをいっているの
ではない。『兒を盗む話』は今はもう愛着を持っていない。多少愛着を感じていたこの小説
中の描写は『暗夜行路』の全篇に使ってしまった。
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ドストエフスキー講座. ナポレオン生誕250周年に寄せて

ナポレオンになりたかった青年の物語(追記しながら連載)
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講座案内

https://www.nhk-cul.co.jp/information/school/3210/kashiwatab201907.pdf

講座のURL

https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1175931.html

なぜ、いま『罪と罰』を読むのか

 昨年の夏、私が運営する柔道の町道場開館30周年を記念して『オンボロ道場は残った』をだした。道場運営の苦労話と新聞投書、それに創作ルポを併せた本だった。この時代に町道場の話など古臭いと思ったが、なぜかこれが何かの発火点になりはしないか。そんな予感がした。そして、それは間接的には、当たったようだ。
 今年の春先だった。『オンボロ道場』の読者が、嘉納治五郎の話を聴きたいと地元の市民教室に申し出た。NHK大河ドラマ〈いだてん〉がはじまったばかり。嘉納治五郎登場で人気アップしていた。半年たった現在は、脚本の失敗か、すっかり鳴かず飛ばずの体たらくとなってしまったが、そのころは高視聴率だった。あちこちで「嘉納治五郎」講演花盛り。私が出る幕など、どこにもなかった。
「半年まえにわかっていればですねえ」面接した新センター長は、残念そうに微笑んだ。が、私は内心ほっとした。
大学でゼミⅡとゼミⅢのクラスを受け持つことが決まっていて、シラバスを作っている最中だった。「ドストエーフスキイ全作品を読む会」の「読書会通信」作成もある。それに道場の維持運営と、難病からくる両足のシビレ。とても引き受ける余裕はなかった。
カルチャーセンターの事務室は、講座がおわったのか、騒々しくなった。このへんでお暇をと腰をあげかけたとき。新センター長の彼女は、いきなり
「今年はナポレオン生誕250周年なんです。それでナポレオンを併せたものを企画してるんですが、なにかありませんか」と、たずねてきた。
「そうですか、ナポレオンの…」私は、上の空で答えた。
「ドストエフスキーの『罪と罰』は、どうです。ナポレオンですから」
「関係ありますねえ、英雄思想の本ですから」私は、ひらめいて言った。「ドストエフスキーはナポレオンに憧れていましたから」
「どんな物語ですか」彼女は、
私は、『罪と罰』のあらすじと私見を15分ばかり話した。あとで思うと、彼女は、私の理解度をみていたように思う。話の途中、突然
「やってください講座。部屋ありますから」と、笑みをみせた。
「えっ、」私は、返事に詰まった。
 私はドストエーフスキイ全作品を読む会「読書会」を40年近く開催していた。その自負からできないとは言いずらかった。それに、そのとき、私には、ドストエフスキーを愛読するものとして、是非に正さなければならないことがあった。矜持するものが…
「やりましょう。やらしてください」私は、決心して頭をさげた。「タイトルは、ナポレオンになりたかった青年の物語でいきます」
 かくて瓢箪から駒ならぬ『罪と罰』。これが吉と出るか凶とでるか、いまは分からぬ。
―――――――――――――――――  8 ――――― 文芸研究Ⅲ下原ゼミNo.7

2019年度下原ゼミⅢ

 5・21現在、下原ゼミⅢは9名の登録者+1聴講生、計10名の受講生があります。以下が参加の10人の皆さんです。全員揃ったら写真撮ります。

・志津木 喜一(しづき きいち)5/7

・神尾 颯(かみお そう)4/16 4/23 5/7 5/21

・松野 優作(まつの ゆうさく)5/7

・西村 美穂(にしむら みほ)4/9 4/16 4/23 5/7 5/14 5/21

・吉田 飛鳥(よしだ あすか)4/9 4/16 4/23 5/7 5/14 5/21

・中谷 璃稀(なかたに りき)4/9 4/16 4/23 5/7 5/14 5/21

・佐俣 光彩(さまた みさ)4/9 4/16 
 
・東風 杏奈(こち あんな)4/9 4/16 

・山本 美空(やまもと みく)4/9 4/16 4/23 5/21

・蓑野 悦子(みのの えつこ) 5/14

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一緒にドストエフスキーを読みませんか

読書会のお知らせ ドストエーフスキイ全作品を読む会「読書会」
どなたでも自由に参加できます。下原まで

月 日 : 2019年6月15日(土)
場 所 : 池袋・東京芸術劇場小会議室7(池袋西口徒歩3分)
 開 始  : 午後2時00分 ~ 4時45分
作 品  : 『カラマーゾフの兄弟』3回目
報告者 : 菅原純子さん

月 日 : 2019年8月10日(土)
場 所 : 池袋・東京芸術劇場小会議室7(池袋西口徒歩3分)
 開 始  : 午後2時00分 ~ 4時45分
作 品  : 『カラマーゾフの兄弟』4回目
報告者 : 石田さん

※「ゼミ通信」掲載は、メール可

連絡090-2764-6052下原  toshihiko@shimohara.net

ゼミ合宿日程仮予定 9月5日(木)~6日(金)

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【ドストエフスキー講座】『罪と罰』を読む 事件まで6分の一
 
物語は、ドストエフスキーの口癖で言えば、突然に、いきなりにはじまる。日本で一番最初に読んで訳した内田魯庵は、このようにはじめている。

「七月上旬或る蒸暑き晩方の事。S(なにがし)…ペレウーロク(横町)の五階造りの道具附の小座敷から一少年が突進して狐疑逡巡の体でK…橋の方へのっそりと出掛けた。」この少年は、どこへなにしに行くのか。読者の耳目を集めて、彼、未来の英雄は、夢夢遊病者のように歩いて行く。しっかりとした目的をもって。この日は、その予行演習なのだ。
 自分は選ばれた人間。自意識過剰な若者なら、だれもが陥る青春の陥穽。

ゼミ合宿について

☆実施の場合 南信州の「昼神温泉郷」希望の声が多かった。宿泊地が日大施設ではないので、大学に確認をとる。ダメなら軽井沢か他の日大施設。
・昼神温泉郷の場合 :  熊谷元一写真童画館見学・満蒙開拓平和祈念館見学。
           観光として星空日本一を見物。(天気次第)
・軽井沢日大施設  : マラソン読書会(ドストエフスキー作品)

【南真宗昼神温泉郷の場合】
 
熊谷元一写真童画館 熊谷元一とは何か。写真童画館見学で、その功績を知る。

展示作品 「一年生」「村の記録」「童画作品」など

           
満蒙開拓平和記念館 戦前の日本の国策を知る。

終戦3カ月前、5月1日、新緑の伊那谷から、はるか海を超えて、中国大陸東北部(満州国)に向かって旅立った村人たちがいた。60名の子供たちと教師も一緒だった。村人たちは、なぜ、ソ連軍が明日にも攻めてくる国境の開拓村を目指したのか。「満蒙開拓平和記念館」見学で、そのなぞが解ける。

☆星空日本一 お天気次第です。

熊谷元一研究 写真家・熊谷元一生誕110周年に寄せて 熊谷元一の謎

 

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