文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信 No.116

公開日: 

日本大学芸術学部文芸学科     2008年(平成20年)12月1日発行
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.116
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
2008後期9/22 9/29 10/6 10/20 10/27 11/10 11/17 12/1 12/8 
12/15 1/19 1/26 
  
2008年、読書と創作の旅
12・1下原ゼミ
12月1日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ教室2
 1.ゼミ誌作成報告 出欠・連絡事項・課題提出・課題配布・授業評価
 2.課題発表・「コルシカわが子射殺事件」裁判
    
 3.世界名作読み 詩編「空」、幕末江戸観察・シュリーマン『日本』
 
  4.社会評・議論 「いじめ・暴力はなぜなくならないのか」新聞から
     
 
今週の車窓・2008年象徴の事件 
 年の瀬が近くなると、なぜか大きな事件・出来事が起きるような気がする。オウムの犠牲になった坂本さん一家三人失踪事件、スマトラ沖大地震、世田谷一家四人惨殺事件などなどがそれである。今年も何か・・・と不安に思っていたら、やはり起きた。19日の新聞各紙は一面トップで「元厚生次官宅 連続テロ」(読売)、「元厚生次官宅 連続襲撃」(朝日)を大々的に報じた。テレビニュース・新聞によれば、18日午前10時20分ごろ、埼玉県で自宅玄関で夫婦が死んでいるのが発見された。夫妻の胸に刺し傷が数ヶ所あった。死亡推定時刻は前夕頃とみられている。同日夕方東京中野区で、主婦が宅配を装った男に襲われ胸などを刺され重傷を負った。殺害された夫婦の夫(66)と、後の事件で重傷を負った主婦の夫(76)が、元厚生事務次官で、共に年金改革に携ったことから、マスメディアは連続「年金テロ」と、大々的に書きたてた。テレビでは元警察関係者、元事件記者、弁護士、評論家、タレントらが、あれこれ推理していた。政治的背景か単独犯か、動機と犯人像に注目があつまった。
 ところが22日、事件は急転直下、終息した。犯人が自首したのである。なぜか所轄ではなく、警視庁本庁に。自分が犯人と名乗る46歳の中年男は、職業不詳。犯行理由は、30余年前、保健所に愛犬を処分されたので、その仇討ちと云う。なんとも奇妙な動機だった。
 今年は、各地で不可解な事件が起きた。秋葉原の「だれでもよかった」殺傷事件に代表されるが、今回の事件は、まさに今年を象徴する犯罪といえる。犯人は、小中高まで山口県の実家にいた。おとなしい勉強のできる子どもだったらしい。が、佐賀大学に行ってから変わりはじめた。とはいえ教授が就職を世話したというから…。しかし、何事も長く続かず、この10年は、実家とも連絡が途絶えていたという。アパート家賃は、きちんと払っていた。家で株をしていたらしい。パソコンに詳しい。そういえば、最近、事件を起こす人間は、出会い系、ブログ、メール、掲示板、などなどパソコンに造詣が深い。もしかしてインターネットのなかに犯罪に至らしめる「透明な存在」がいるのかも知れない。(編集室)
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.116―――――――― 2 ――――――――――――――
車窓雑記
早合点婆さんと若夫婦とその子供観察
 つるべ落としとはよく言ったものだ。が、井戸など見当たらない昨今では、死語になっているかもしれない。晩秋も終わりのこの季節、とにかく日の入りが早くなった。夕方、5時ともなれば、すっかり夜のとばりがおりてしまっている。暗い歩道をとぼとぼ歩いているのは学童保育からの帰りの子供たちか。さて、いきなりだが、団地8階に住む早合点婆さんは、パートから木枯らしに追いまくられてヨロヨロわが家に急いでいた。8階でエレベーターを下りるとわが家のドアは、すぐそこ。早合点婆さん、一目散にわが家を目指した。が、あとわずかというところでピタリと足をとめた。「はて? 」婆さんは、何か気になることがあったのか、もと来た廊下を後戻りした。814室のドアの下にランドセルを背負った女の子がじっとうずくまっていた。早合点婆さんはお節介婆さんでもある。
「あら、どうしたの」と、声かける。女の子はむすっとして口をひらかない。同じ階なので、母親と一緒のところをよくみかけるが、若い母親は、まったく挨拶をしない女。年寄は、眼中に入らないらしい。会社勤めの夫も、同然。朝、早く夜遅いので、めったに顔を合わせなかった。で、半年前、二人目の子供が生まれたこと以外、この家の事情は、まったくわからない。早合点婆さんは、想像する。たぶんこの子は、朝、学校行くときカギを忘れたんだ。それで、母親の帰りを待っているんだ、と。
 ところが、たずねてみると、そうではないらしい。女の子は、恐ろしげに首を振って小さな声でカギは、「いつも持っていない」と、いう。「お母さんは、いつ帰るの」と聞かれると「わからない」と首をふる。「いつから待っているの」「5時ころから」「もう、1時間もじゃない」早合点婆さん、大げさに驚いていった。「寒いから、わたしのところにきて、待ったら」女の子は、頑として動かない。「何年生」「三年生」「そうなの、じゃあがんばってね。そのうち帰ってくるんだね」早合点婆さんは、あきらめてわが家に帰った。15分ほどして、気になって早合点婆さん、外に出て様子を見に行く。女の子は、さっきと同じ姿勢で寒そうにじっとしていた。「まだ、帰ってこないの」。女の子は、黙ってうなずく。「どこに行ったかわからないの」「うん」「寒いから、うちにきて待ってなさい」「ここで待っています」女の子は、はっきりいった。「そうかい」早合点婆さん、あきらめてもどろうとした。そのときどこからか赤ん坊の泣き声。「あれ、赤ちゃんが泣いてるよ」814号室の中からのようだ。早合点婆さん、ドアポストに耳をあててみる。室内からギャアギャアと赤ん坊の泣き声。
「あらまあ、なかに赤ちゃんがいるのかい」「うん」女の子は泣きそうな顔でうなずく。「お母さんは、赤ちゃんをおいてどこにいったの」「わかんない」「近所に友達の家はあるの」「ない」「いつもあそんでいる子の家は」「知らない」女の子は一向に要領を得ない。その間、赤ん坊は部屋の中でずっと大声で泣き続けている。婆さんすっかりあわててしまった。赤ちゃんが大変だ。110番か、いや消防のレスキューかなど頭をめぐらせた。が、以前、早合点したことを思い出し、とりあえず女の子の学校に電話する。夕方6時、学校の返事、いま担任は面接中なので、あとからかけます。婆さん、いったん受話器をおいたが、この緊急非常時に、なんたる応対と、かけ直し、父親の携帯番号をきく。そして、すぐに父親に。父親はちょうど会社を退社したばかり。すぐ帰りますとの返事。婆さん、やっと安心したが、こんどはあれこれ母親のことを考える。なぜ、帰ってこないのか。事故か、失踪か、事件かなどなど。〒ポストから泣く赤ん坊を励ました。その最中、母親が長い黒髪をなびかせて帰ってきた。ここからが、早合点婆さんの憤慨もの。母親は、娘をみるなり「どうして、こなかったの」と、叱った。どんな事情かしらないが、娘とプールの前で待ち合わせていた、というのだ。いくら待ってもこないので、帰ってきたと話す。女の子は、すっかり忘れていたようだ。しばらくして若夫婦、赤ん坊、女の子が婆さんのところに謝りに来た。若い夫は、開口一番「すべての原因は、子のこのわがままからでたことです」と頭を下げた。早合点婆さんの憤怒、おさまりそうにない。


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2008年、読書と創作の旅
後期「2008年、読書と創作の旅」
12月1日ゼミ・プログラム
はじめに  → 出欠、「ゼミ通信」、課題配布、連絡事項、授業評価10分くらい
                 
司会進行決め  →  (二度目になります)
司会者進行
1.ゼミ誌『ドレミファそらシド』作成に関する報告、  
 (川端・大野編集長、小黒副編集長、坂本・瀧澤・橋本・飯島編集委員から)    
2. 配布課題テキストの説明・(編集室から)
3. 課題4報告・「コルシカ息子射殺事件」メリメの作品、他から
 
4. 世界文学名作読み → 詩編・ヴェルレーヌ「空」を歌う
〇 詩・空の歌 ゼミ誌が「そら」をテーマ、雑誌題名も「そら」が入ることから、この詩
  を紹介します。
  訳者の違いで詩の印象は変わるのか。そのへんを吟唱で聞き比べてみましょう。 
 ・ポール・ヴェルレーヌ「空」堀口大学訳 対比 橋本一明訳
〇 「幕末江戸観察」シューリーマン1865年6月1日~7月4日 訳・石井和子
NHK大河ドラマ「篤姫」は、江戸城無血開城で佳境を迎えた。1868年5月15日江戸・
  高輪で討幕軍の総大将西郷隆盛と旧幕府軍総裁勝海舟が会談、江戸城の平和的引渡しが
  決まった。この平和的譲渡について諸説はあるが、イギリス公使パークスの意向が大き
  いとみられる。パークスは初代駐日総領事オールコック(著書『大君の都』がある)の後
  任1865年に駐日公使をひきついだ。新聞によると、パークスは、1865年「5月末、赴
  任先の横浜に到着、正式に公使に就任する予定。」とある。
 ・ハインリッヒ・シューリーマン(1822-1871) 
  H・シュリーマンといえばホメロスの伝説からトロイアの遺跡を発掘した。そのことは
  あまりにも有名である。が、その発掘に先立つ6年前、幕末の日本を訪れていたことは、
  ほとんど知られていない。明治維新の3年前の6月、彼は江戸に上陸した。1ヶ月と短
  い滞在だが、日本人の風俗気質を見事に観察している。シュリーマンが、真の考古学者
  だったかどうかは知らない。が、鋭い観察者であったことは、この幕末江戸観察から窺
  う知ることができる。
5.社会観察・いじめ問題「なぜいじめはなくならないのか」議論 
時間あれば
〇 戦争観察 中国南京1938年1月5日 ~ 13日、上海 ~ 17日
  石川達三『生きている兵隊』赤紙で徴集された市民が戦地に行ったらどうなるか。ライ
  ターは冷静に客観的に徐々に兵士になっていく一市民の姿を観察している。
〇 ・ジュール・ルナール(1864-1910)『にんじん』訳・窪田般彌(くぼたはんや)
 
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.116 ――――――――4 ――――――――――――――――
課題・6 テキスト=メリメ『マテオ・ファルコネ』        
 自分の子供への暴力が止まない。11月18日の朝日新聞千葉県版に下記の記事があった。
 ※ 千葉県内の実情です。
育児頑張り過ぎてませんか ?
子への暴力、5年で2.4倍
 子どもへの暴力が後を絶たない。県児童家庭課によると、「虐待があるのでは」という通報を受けて児童相談所が対応した件数は、07年度だけで1980件(千葉県内)、5年前の2.4倍にのぼる。実母から虐待されるケースが半数を占め、育児の悩みやストレスが背景にあると見られることから、県や市町村は対策を急いでいる。(安田桂子)
■児童に対する虐待のデーター
【虐待の内容】               【主な虐待者】
① 身体的虐待     660件(41%)     ①  実母    973件(60%)
② 保護の怠慢・拒否  551件(34%)    ②  実父   427件(27%)
③ 心理的虐待     353件(22%) ③  継父    101件(6%)
④ 性的虐待       52件(3%)   ④  継母     19件(1%)
【虐待児の年齢】
① 小学生       601件(37%)
② 3歳から就学前   399件(25%)
③ 3歳未満      286件(18%)
④ 中学生       255件(16%)
⑤ 高校生・その他    75件(4%)
※ 千葉県児童家庭課、07年度まとめ
 児童虐待の大半は、憎さより可愛がり過ぎたからが多い。自分の期待通りにならない。上記は千葉県の調査結果だが、日本全国をみても同じ結果がでるはずである。それは、そのまま世界にも当てはまる。親子の問題は時代を超えてもある。19世紀イタリアでも例外ではない。課題6の事件は、息子を愛するがあまり、期待し、自分のロボットとして育てようとしたあまり起きてしまった悲しい事件である。陪審員は、この父親をどう裁くか。
コルシカ地主我が子射殺事件
 【事件のあらまし】
 被告は、コルシカの名士で、鉄砲の名手でもある。仁義もあり、「窮鳥懐に入れば猟師も殺さず」の信念に生きる男。広大な土地を持ち沢山の家畜を所有している。ある日、被告と妻は家畜を見回りに朝早くで掛けた。そこに、傷ついた男が官憲に追われて逃げてきた。10歳の息子フォルチュナトは干草の中に逃亡者を匿うが、官憲がみせた銀時計につられて教えてしまう。捕まった男は、帰ってきた父親に「裏切り者の家」と叫ぶ。父親である被告マテオは、息子に命令する。「あの大きな石の傍へ行け」
被告は息子が泣いて謝るのを無視して、狙いを定め
「神様に許してもらえ ! 」と、言って引き金を引いた。
自分の正義を他者に強要し、守らなければ死という、こうした人間はいつの時代にもいる。
一昨年、秋田で起きた娘殺しも母親の勝手な理屈からだった。 
―――――――――――――――――― 5 ――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.116
  小黒貴之
【被告人を弁護するとしたら、被告人の名誉とは】
 法から逃れてきた流れ者たちの住むコルシカで人間としての自信、精神的支柱となっているのは土地の筋者の間で使われている「筋を通す」という概念であり、生きていくうえでの社会規範となっていた。銀時計欲しさに同じ生き方をしている島民を売った息子に「けじめ」をつけなければコルシカで暮らしていくことはできない。他の家族にも累がおよぶ――制裁がある。と経験で知ったうえでの射殺だったといえる。極端な言い方をすれば、息子のやり方ではこの島で生きてはいけないだろうという親心であったともとれる
【この息子殺人、有罪なら量刑は、その理由は】
 島民感情として「とりかえしのつかないこと」をしてしまったとはいえ、わずか10歳の実の息子を射殺した罪と、独特の風習の中で名士として生きてきた被告人の生い立ちを考慮すると難しいが、やはり殺人・実子殺しでもあるし息子の生きた年数、10年を求刑するのが妥当かと思われる。
※ 手塚治虫の『ブラックジャック』に使われそうなテーマだなと思った。
  瀧澤亮佑
【被告人を弁護するとしたら、被告人の名誉とは】
 
 よくわからない。でも確か欧米には「騎士道」というものがあったはず。マテオはそれに達したかったのではないだろうか。名誉を守る為にも子供の1人や2人殺してもかまわなかったのではないだろうか。名誉>子供という時代だったのかもしれない。
  
【この息子殺人、有罪なら量刑は、その理由は】
 無罪でも良いのではないだろうか。現代なら重罪かもしれないけれど、時代が違うのだから仕方がない。そういう時代、そういう世界に生まれてしまったのだから、ある意味仕方がない。
  飯島優季
【被告人を弁護するとしたら、被告人の名誉とは】
 名誉なし。
【この息子殺人、有罪なら量刑は、その理由は】
 無期懲役。理由は、「家の名を汚した」などというくだらない理由で、家族殺しという許すことのできない大罪を犯したから。
 
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo・116―――――――― 6――――――――――――――――
 
  臼杵友之
【被告人を弁護するとしたら、被告人の名誉とは】
 最も信用されない犯罪者達を、信用し守り抜くこと。
【この息子殺人、有罪なら量刑は、その理由は】
実刑10年、10歳の息子を殺したから。
判決 → 時代を考慮した場合  有罪 OR 無罪     量刑は ?
   → 時代を考えない場合   有罪 OR 無罪   量刑は ?
課題提出 ------------------
課題2.振り込め詐欺について
坂本義明
【なぜ振り込んでしまうのか】
 
 最近は、宗教を装う以外に、投資や還付の話を持ちかけてくる事もあるようなので、巧みな言葉に騙されてしまうのだと思う。
【被害者の性格について】
身内の状況をよく把握していない人と、還付等の言葉に惑わされる人。
課題3.『灰色の月』について
坂本義明
【そのとき、あなたが作者だったら、どんな行動を】
 肩で突き返すかどうかはわからないが、おそらく何もしないと思う。ちょつとしたことではどうにもできない問題だから。
【この作品は作者批判の材料にされたが、あなたの感想は】
批判したい人たちの粗探しにしか思えない。
【車内から時代を読みとることができるか】
戦争直後に山手線が動いていたことに驚いた。
【『網走まで』は『灰色の月』を予見しているか】
車中を描いた作品という点では同じだが、予見しているようには感じられない。
―――――――――――――――――――― 7 ――――文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.116
   
        テキスト『范の犯罪』から           阪本義明
【この出来事は、事件か事故か】
范氏が妻に対して死んでほしいという感情を抱いていた事は確かだが、裁判官が事情聴取をした際の供述から察すると意図して殺したという点は後から付け足したものと考えられるため、再度聴取する必要があると思うが、現時点では事故とする。
高層マンション15階投げ落とし殺人事件
新聞・「計画的通り魔殺人事件裁判」 (200・11・25読売夕)
【事件推移】
 被告(44)は、いつのころからかマンション高層階から人を投げ落としたい。そんな欲望にとりつかれていた。2006年3月20日午後0時45分頃、被告は、購入を考えて見に来たことのあるマンションで被害者・小学3年(9歳)に会う。あたりに誰もいない。被告は、被害者を呼び止めると、いきなり両脇を抱え投げ落として殺害した。
 同月29日朝、同じマンションで被告は、清掃作業員の女性を襲い階下に投げ落とそうとした。が、女性が騒ぎ抵抗したため逃走、別のマンションで小学4年の男の子を狙ったが、こちらも騒がれて失敗した。自転車置き場の防犯カメラに逃走時の被告の姿が写っていたことから逮捕された。
横浜地裁
【犯行の動機】
 幸福な家庭へのねたみ。人を高層階から投げ落としたいという欲望を抑えきれなかった。
【弁護側】→ 無罪
 事件前、うつ病で入院。正常な判断ができない状態にあった。「当時、妄想や幻覚の影響下にあった。刑事罰は問えない」と責任能力の無効を訴え、無罪を求めている。
【検察側の求刑】 → 無期懲役
 これに対し精神鑑定は「精神病の疾患なしに犯行は説明できないが、自分より弱者を狙うなど冷静・合理的な部分があり、影響は著しいものではない」としつつ「計画的で無差別な通り魔殺人。峻厳な刑が科せられなければならない」とした。
 そして11月25日の論告求刑で「完全責任能力はあるが精神疾患の影響をある程度は考慮せざるを得ない」として無期懲役を求刑した。
【被害者家族】 → 極刑を求む (10月14日公判)
弁護側の最終弁論は12月25日だが、あなたの判決は・・・・
「無罪」ならなぜ ?              「有罪」なら量刑は ?      
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.116―――――――― 8 ――――――――――――――――
参考資料
 いよいよ来年2009年5月21日(平成20年)から裁判員制度が施行される。これにより同年7月以降から実際に一般市民が裁判に参加することになる。「裁判院制度とは何か」を知りたい人はHPにあったWiKiPediaを以下に転載したので読んでください。
 裁判員制度は、市民(衆議院議員選挙の有権者)から無作為に選ばれた裁判員が裁判官とともに裁判を行う制度で、国民の司法参加により市民が持つ日常感覚や常識といったものを裁判に反映するとともに、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上を図ることが目的とされている。裁判員制度が適用される事件は地方裁判所で行われる刑事裁判のうち、殺人罪、傷害致死罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪など、一定の重大な犯罪についての裁判である。例外として、「裁判員や親族に危害が加えられるおそれがあり、裁判員の関与が困難な事件」は裁判官のみで審理・裁判する(法3条)。被告人に拒否権はない。裁判は、原則として裁判員6名、裁判官3名の合議体で行われ、被告人が事実関係を争わない事件については、裁判員4名、裁判官1名で審理することが可能な制度となっている(法2条2項、3項)。裁判員は審理に参加して、裁判官とともに、証拠調べを行い、有罪か無罪かの判断と、有罪の場合の量刑の判断を行うが、法律の解釈についての判断や訴訟手続についての判断など、法律に関する専門知識が必要な事項については裁判官が担当する(法6条)。裁判員は、証人や被告人に質問することができる。有罪判決をするために必要な要件が満たされていると判断するには、合議体の過半数の賛成が必要で、裁判員と裁判官のそれぞれ1名は賛成しなければならない(一部立証責任が被告人に転換されている要件が満たされていると判断するためには、無罪判決をするために合議体の過半数の賛成が必要で、裁判員と裁判官のそれぞれ1名は賛成しなければならない)。以上の条件が満たされない場合は、評決が成立しない(有罪か無罪かの評決が成立しない場合には、被告人の利益に無罪判決をせざるを得ないと法務省は主張しているが、法令解釈権を持つ裁判所の裁判例、判例はまだ出ていない)。なお、連続殺人事件のように多数の事件があって、審理に長期間を要すると考えられる事件においては、複数の合議体を設けて、特定の事件について犯罪が成立するかどうか審理する合議体(複数の場合もあり)と、これらの合議体における結果および自らが担当した事件に対する犯罪の成否の結果に基づいて有罪と認められる場合には量刑を決定する合議体を設けて審理する方式も導入される予定である(部分判決制度)。裁判員制度導入によって、国民の量刑感覚が反映されるなどの効果が期待されるといわれている一方、国民に参加が強制される、国民の量刑感覚に従えば量刑がいわゆる量刑相場を超えて拡散する、公判前整理手続によって争点や証拠が予め絞られるため、現行の裁判官のみによる裁判と同様に徹底審理による真相解明や犯行の動機や経緯にまで立ち至った解明が難しくなるといった問題点が指摘されている。裁判員の負担を軽減するため、事実認定と量刑判断を分離すべきという意見もある。
 最高裁によると、全国の裁判員裁判対象事件は2004年の3791件から減少傾向にある。都道府県別で昨年、対象事件が最も多かったのは①大阪306件、②東京255件、③千葉214件の順。最も少なかったのは福井県の7件。罪名別では、①強盗致死傷695件、②殺人556件、現在建造物など放火286件、強姦致死傷218現在と続いた。(新聞8・5)
選ばれる確率は4911人に1人(全国平均)
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世界名作読み・詩編 ゼミ誌の題が「空 SORA」というのでとりあげました。
 ヴェルレーヌの作品『智慧』から「巻の三 屋根の向こうに」を紹介します。空を歌った詩です。前回同様二人の訳者のものです。訳者によって名作の印象・情景は、違うのか、違わないのか。そのへんを気にとめて吟唱してみてください。
※ポール・ヴェルレーヌ(1844-1896 1月8日夜デカルト街の陋屋にて死去。51歳)
訳者・堀口大学『智慧』から
新潮文庫『ヴェルレーヌ詩集』1958
     
智慧 巻の三 屋根の向こうに
6
屋根の向こうに       
   空は青いよ、 空は静かよ ! 
屋根の向こうに
   木の葉が揺れるよ。
  見上げる空に鐘が鳴り出す
     静かに澄んで。
  見上げる木の間に小鳥が歌う
      胸のなげきを。
     神よ、神よ、あれが「人生」でございましょう
        静かに単純にあそこにあるあれが。
     あの平和なもの音は
        市(まち)の方から来ますもの。
      ―― どうしたというのか、そんな所で、
           絶え間なく泣きつづけるお前は、
      一体どうなったのか
       
         お前の青春は ?        
 
             
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.116―――――――10 ―――――――――――――――――
訳者・橋本一明『言葉なき恋歌』から
角川書店『ヴェルレーヌ詩集』1967
空は 屋根の向こうに…
空は  屋根の向こうに  あんなにも
   青く  しずかです
一本の木が  屋根の向こうに  てのひらを
   ゆすっています
     いま見える  あの空に  鐘の音が
        しずかに  わたり
     いま見える  あの木の上に  一羽の鳥が
        嘆きの歌を  うたっています
           神さま  神さま  人生はあそこにあります
               素朴に  また  おだやかに
           あの平和な  ざわめきは  町から
               きこえてくるのです
             ――おお  底には絶え間なく泣いているおまえ
                どうしてしまった
             お言い  そこにいるおまえ  おまえの青春を
                どうしてしまった ?
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社会観察「いじめ問題」議論
新聞 朝日新聞11月21日 児童生徒の暴力最多
ネットいじめ21%増 文部省07年度調査
 全国の学校が07年度に確認した児童生徒の暴力行為は5万2756件と前年度比で18%増え、小中高のすべてで過去最多だったことが、文部科学省が20日付で発表した「問題行動調査」でわかった。
 なぜ増加したかについて、文科省は、次の見解を要因にあげている。
○ 自分の感情がコントロールできない。
○ ルールを守る意識やコミュニケーション能力が低下している。
 いじめは、子どものあいだばかりではありません。高校生、大学生(何年か前に、日大の地方校舎でもあって事件に発展しニュースになった)社会、軍隊、地域にもあります。
 割れたガラス窓一枚を放置しておくと、その建物が、その地区が、そしてその町が荒れ果てる。といいますが、いじめも同じです。事件としては小さいが放置しておくと大事件に発展します。現在、世界各地で起きている紛争は、そのほとんどがイジメからです。アフリカの混乱。先日、インドのムンバイで起きた同時テロ。もとを辿ればみんな小さないじめ(格差もイジメの一つです)から発展したものです。植物にイジメがあるかどうか、わかりませんが、集団生活する動物には、イジメはつきものです。が、それらはたいてい生存本能からです。面白半分、憂さ晴らしは人間だけです。人間のイジメは、執拗で悪質です。なぜ、人間はイジメするのか話し合ってみましょう。
イジメアンケート
問1. あなたはイジメをしたことがある。
    ある → イ.いつごろ  ロ.なぜ  ハ.どんなイジメを
問2. あなたはイジメを見たことがあるか ?
    ある → イ.面白かった  ロ.自分でなくてほっとした  
問3. あなたはイジメられたことがありますか ?
    ある → イ.いつごろ  ロ.どんなイジメを  ハ.解決の有無は
問4. イジメを受けたときはどうするか ?
イ.泣き寝入り  ロ.仕返し  ハ.話し合い
問5. 1人だけイジメを受けている人がいたら、どうするか。
    イ.味方になる  ロ.なにもしない  ハ.皆と一緒にイジメに加わる
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.116―――――――12 ―――――――――――――――――
――――――――――――――――――― 13 ――――文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.116
土壌館ニュース(11・17ゼミ報告)
後期航路8日目、
参加者は13名
 
 早いものでゼミも中日を過ぎました。ゼミ誌作成も順調にいっているようです。ということで中休みとして久しぶりに紙芝居の続きを口演してもらいました。
参加者紹介(敬称・順番略)
 
阪本義明、 大野菜摘、 川端里佳、 本名友子、 長沼知子、 大谷理恵、
瀧澤亮佑、 秋山有香、 橋本祥大、 小黒貴之、 野島 龍  臼杵友之  
飯島優季  
司会進行は、飯島優季さん
1.ゼミ誌作成経過報告 編集委員
   校正について
2. 課題報告
 ・「ナイフ投げ奇術師美人妻変死事件」事件、事故。事件の見方が多い。
  量刑は3年~5年
3. 詩編批評
  ・堀口訳の方が言葉使いがシンプル。
  ・詩としては橋本訳の方がいい。
  ・堀口訳の方が自意識が強い。
  ・一人称を変えての吟唱は ?
4.紙芝居『少年王者』「赤ゴリラ編」
新聞 2008・11・27 朝日
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.116―――――――14 ―――――――――――――――――
新聞・話題 常用漢字「葛」「箋」で決着 (2008年11月26日読売新聞)
       印刷標準字体 大量採用
「常用漢字表」(1945字)の見直しを行っている文化審議会の漢字小委員会は25日、新たに常用漢字に加える「葛」や「箋」など191字について一部を除き、書籍や情報機器などで幅広く使われている「印刷標準字体」をそのまま採用する方針を決めた。
 しかし、「常用漢字表の字体と新しく加わる字体で整合性を取るべきだ」との反対意見も出され、複数の書き方がある「しょくへん」(食、 )と「しんにゅう」を含む漢字は、次回に結論が持ち越された。
来年1月に191字の音訓の読み方などについて試案を公表
再検討を加え
2010年2月ごろに文部科学省に答申する。
常用漢字表に加える主な字体と保留された字体
【印刷標準字体を使用】
葛   彙   煎   箋   憚
嘲   捗   ?   剥   頬  
【簡易慣用字体を使用】
 
曽  麺  痩
【保留】
遡   遜   謎   餌   餅
――――――――――――――――――― 15 ――――文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.116
土壌館創作道場・プレイバック青春観察
汐留青春グラフィティ⑥
 都会のど真ん中にある貨物駅の臨時作業員には、いろんな人がいた。倒産した会社の社長。ギャンブルでしくじった中年男、バンドマン、劇団員、ボクサーを目指す三回戦ボーイ、謎の受験生、不気味なフランケン、プロ野球選手。この手記の作者は、ベトナム戦争反対集会で機動隊と衝突。警察に追われることになった。潜伏したのは、汐留にある貨物駅だった。毎日、日本全国から鉄道荷物が到着し、また全国に発送されていた。そこには、いろんな青春があった。奇妙な連中がいた。

 ホームに山積みされた雑誌の束を積み込むのは単調な作業の上に厄介だった。貨車の奥から、きちんと天井までブロック積みしなければ積みきれないからだ。小物だけにいつ終わるとも知れぬほど延々とつづいた。一般の鉄道荷物なら、すぐにいっぱいになる貨車も、雑誌となると底なし沼のようにきりがなかった。
 那覇、那覇、那覇、那覇、那覇、那覇、那覇、那覇、那覇、那覇、那覇、那覇、那覇、那覇、――― 皆は、もう二時間近く、沖縄行のコンテナに雑誌を黙々と積み込んでいた。コンテナ内は狭いので二人一組で作業するのが常だった。チャーリーのおっちゃんは、倒産社長と組んだので家出少年は、自称カメラマンさんと組んだ。が、例によって自称カメラマンさんは、トイレに行ったきり戻ってこなかった。家出少年は、文句も言わずにせっせと働いていた。隣のコンテナで三回戦ボーイと組んで作業していた劇団さんが、覗きこんだ。
「あれ、大将、またいないの ? 」
「トイレです」
「どうせ、中で週刊誌や新聞を読んでるんだろ」三回戦ボーイのアサッテも顔をのぞかせて呆れたように言った。「寒いのによくやるねえ。作業していた方がましだよ」
「あの大将、脂肪ありそうだから」
「そういやあ、痩せるために来てるとか言ってたな、意味ないじゃん」
「バカ、本気にしてんのか」
「バカ、本気にするわけないじゃん」
二人は、言いあいながら隣の貨車に帰って行った。
 家出少年は、投げ込み役と積み上げ役の一人に役をこなしながら雑誌の束を天井まで積み上げていた。背後で咳払いがして、家出少年は、ちらっと振り返った。パチキチの大将が立っていた。
「よお、ひとり?」
パチキチは、低い声でぼそっときいた。
「いえ」家出少年は、ぼそっと言った。
「だれ・・・」
「あの、カメラさんという」
「あ、あ、あのニセカメラマン」パチキチは、バカにしたように言って、見回して言った。「いないじゃないか」
「トイレです」
「なんだ、またサボってんのか」
パチキチは、大声で言うと、雑誌が山積みされた台車を貨車に引っ張りこんだ。
 家出少年は、困り顔で立っていた。パチキチは、耳元に顔を寄せて小声で言った。
「あのさ、かね、おかね貸してくんないかなあ」
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.116―――――――16 ―――――――――――――――――
「金、ですか」
「そう、すぐ返すから」
「おれ、貸すほど持ってません」
「いくらだっていいんだ。頼むよ」パチキチは、片手で拝むようにしながらも半ば強引に言った。「恩にきるからさあ」
 家出少年は、チャーリーのおっちゃんが、彼に二百円貸していて、まだ返してもらっていないのを知っていた。が、そんなふうに頼みこまれると年下ということもあって弱いようだ。「二百円ぐらいなら…」
と、小さな声でうなずいた。
 と、そのとき
「よお!仕事してる」
いきなり、アサッテあが大声でのぞきこんだ。パチキチが入っていくのを見て気になってきたようだ。
 とたんパチキチは、はじかれたようにプイと外に出て行った。
「なんだ、ちゃんと挨拶して行けってんだ」アサッテチャンプは、わざと大声で言ったあと、家出少年に聞いた。「やつ、金かしてくれっていったろ」
「はい」
「かした ? 」
「まだです」
「よかった、奴、みんなに頼んで回ってるんだ。かしたらかえしてくれねえと」
「はあ」
「貸すことないからな。しっこかったら、おれらに言ってきな」
アサッテは、念を押すと出て行った。
 家出少年は、ひとりになると再び作業をはじめた。
「ワリいねえ、パチキチのセンセイきたんだって」フリーカメラマンは、戻ってきた。「バカだねえ、おれんとこへ来りゃあ、すぐ貸してやるのに」
 彼は、愉快そうにはちきれんばかり体を震わせ高笑いして作業にとりかかった。家出少年は、ほっとしながらも、皆から嫌われているパチキチを、可哀そうに思っていた。
 夕方近くなると、発車する貨車の本数が多くなった。それだけに積み荷作業は忙しい。寒風が吹き抜けていたが、誰も汗だくだった。積んでも、積んでも減らない荷物の山。
「あっ、きたきた」
誰かが言った。
 太っちょの国鉄職員が荷物の山の間を悠然と歩いてくるところだった。座布団を小脇に手に黒のカバンを下げている。この貨車に乗務するようだ。皆が道頓堀のなまずとあだ名しているうるさ型の職員だった。それで、皆ちょっと心配になった。今日は、忙しかったのでかなり乱雑に積み込んである。なまず氏は、きちんときれいに積んでないとガマンできない性格だ。案の定、彼は、劇団さんたちの貨車を覗き込んむとさわぎはじめた。
「アーア、なんじゃあこりゃあ。こねんむちゃくちゃに積みおつて」
叫んで、いきなり猛牛のように貨車の中に飛び込んでいった。
 貨車にいた劇団さん、バンドマンさん、アサッテチャンプは、ホームに飛び出してきた。
「こんなのだめだあー」
なまずは、折角、積んだ荷物ををぽんぽんホームに投げ出しはじめた。
 貨物駅では、国鉄さんの力は絶対だ。荷物会社の職員は、見守るしかなかった。
若い職員がとんできたが
「なんだよ、ふざけやがって」
と、小声で言って向こうにいってしまった。
「おい、バイト」なまずは、奥からどんどんデッキに投げ返しながら怒鳴った。「ぼ
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けっとみてないで、あんたらも荷物、おろせ」
「いいんですか」
「いいもなにも、これじゃあ、整理できん。早くしろ」
 バイトの皆は、しぶしぶ貨車に入って、自分たちが、せっかく積んだ荷物を、ホームにおろしはじめた。
「オイ、コラー!」
突如、大声がした。
 みると、向こうの郵便荷物の間から、軍曹が、目をつり上げて駆けてくる。
「おっ、きたよ。面白くなった」
言って劇団さんは、ホームに飛び出した。皆もでて、高みの見物となった。
「こんどは役者が一枚上だぜ」チャンプは愉快そうに言った。「どうする、なまず野郎」
「どうして作業しん!!荷物、こんねんあるじゃないか」
軍曹は、目をむいて、はじめにバイト連中を怒鳴った。
 皆は、いっせいに視線をデッキに向けた。
 太っちょなまずが鼻歌まじりで荷物を引きずり出してきた。
「ムム・・・」軍曹は、ちらっとのぞきこんだ。とたん大声で怒鳴った。「なんだ、連中の言うことなんか聞くんじゃない!」
「な、なんやて」
太っちょなまずが、顔をふくらませてでてきた。
「連中ってだれのことや」
「おたくらだよ」軍曹は、負けじと言い返した。「まだいくらでも入るじゃないか」
「じょーうだん。これ以上はいらんわい。積まれたら困るんや」
「こっちだって困るんだ」
「ああ、聞かへん、聞かへん」太っちょなまずは、ハエでも追っ払うように手を振っていった。「ごちゃごちゃぬかさんで後のにしいや。とにかく積んだらあかんって」
「な、なんだあ!おたくらがそのつもりなら」軍曹は激昂して振り返ると、ぼんやりながめていたバイトたちに怒鳴って指示した。「おい、かまわんからどんどん積み込んじまえ」
 バイトは、待ってましたとばかりに、一斉に荷物にとびつくと、ふたたび荷物を貨車に投げこみはじめた。荷物積み投げ合戦となった。
「なにさらすんじゃ!」
太っちょなまずは地震でも起こしそうな勢いで怒鳴った。が、ふたたび雨あられのごとく投げ込まれる荷物にたまらず、ホームに逃げ出してくるとバイトたちを罵りだした。
「あんちゃんたち、なんぼもろうとるか知らんが、安い金で無理することないのや。やめい、やめい、アホくさ」
「相手にすんな、相手に」軍曹は、余裕のある口調で言って、煽り立てた。「さあ、もつと積み込め。やれ積め」
 たちまちのうちにデッキは、天井まで届くほどの荷物の山ができあがった。軍配は完全に軍曹にあがった。かのように思われた。が、株のカメラマンさんが笑いを押し殺した顔で
「やばいよ、やばいよ」
と、知らせにきた。
 彼の指差す方を見ると、太っちょなまずの相棒で、その容姿からフランケンと呼ばれている大男が、のんびりタバコをふかしてやって来るところだった。いつもなら発車間際、大慌てでかけてくるのに、今日に限って早い。フランケンはなまずほど小うるさくないが、気にいらないことがあると、体力にものをいわせてせっかく積んだ荷物を片っ端おろしてしまうことがある。
                          つづく
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.116―――――――18 ―――――――――――――――――
――――――――――――――――――― 19 ――――文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.116
ゼミ雑誌発行12月15日を目指して
ゼミ誌制作は順調に
 ゼミの実質的成果は、決められた期日までのゼミ雑誌発行にあります。毎年、納品日の遅れが指摘されています。が、下原ゼミでは、全員の協力で、編集作業が順調に進んでします。
 編集委員のみなさんご苦労さまです。
・編集委員長=川端里佳 大野菜摘
・編集副委員長=小黒貴之
・編集委員=阪本義明 橋本祥大 飯島優季 瀧澤亮佑 
・補助委員=本名友子 長沼知子 大谷理恵 野島 龍 田山千夏子 臼杵友之 
      秋山有香 神田泰佑 刀祢平知也
ゼミ誌作成の進行過程と予定は以下の通りです
○決定事項 6月9日報告 → 印刷会社、フジワラ印刷(株)決定             
      6月16日 テーマ決め → 「空」内定
      ゼミ誌表紙デザイン、奥付など → 小黒、田山が担当
      原稿締め切り → 夏休み明け
      タイトル決め → 7月14日に決定「ドレミファそらシド」              
1. 6月中旬 → ①「ゼミ誌発行申請書」の提出。出版編集室に
2. 6月~  → ゼミ雑誌の装丁を話し合う。表紙デザインなど
3. 7月下旬 → 原稿依頼し、締め切り日、夏休み明け9月22日(月)。
5. 10月上旬 → 編集委員は、内定の印刷会社から②「見積書」をもらう。
6. ~11月 → 「見積書」の提出。印刷会社と相談しながらゼミ雑誌作成。
4. 10月18日 → ページ数を増やしたい人は連絡。
  10月19日 → 最初から最後まで
  10月20日 → 
  11月10日 → ゼミ誌原稿の最終締め切り。
7. 12月 → 15日までにゼミ誌提出、③「請求書」提出
注意事項!!
◎ ①【ゼミ誌発行申請書】、②【見積書】、③【請求書】以上3種類の書類が提出されない
  場合はゼミ誌の発行はできません。補助金の支払いも認められません。
正月休みにゼミ誌を読んできてもらい、新年明け最初のゼミで合評会を行います。
☆ 2009年1月19日(月) ゼミ誌合評会
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.116――――――20 ――――――――――――――――― 
掲示板
提出原稿について
◎ 課題原稿 → テキスト配布。主に裁判もの。告訴状、弁護、判決理由
○ 車内観察 → 電車の車内で観察したこと(車内から社会を、時代を見通す)
○ 1日の記録 → 自分の1日を観察する(自分のことをどれだけ書けるか)
○ 生き物観察 → 人間、動物、草木、生あるものすべての観察
 締め切りはありません。書けた人は、どんどん提出し、皆の評価をみてみましょう。何事も切磋琢磨です。
後期・配布テキスト一覧
 9月22日 → 「奇術師美人妻変死事件」志賀直哉『ハンの犯罪』
 9月29日 → ヘミングウェイ『殺し屋』、ニコライの『古事記』
10月 6日 → ルナール『にんじん』、志賀直哉『幼女を盗む話』
10月20日 → ルナール『にんじん』、「尾道幼女誘拐事件公判」
10月27日 → カミュ『異邦人』「太陽のせい殺人事件」
11月10日  → 「コルシカ愛息射殺事件」メリメ作品
ドストエフスキー情報
  
12月20日(土) : ドストエーフスキイ全作品読む会「読書会」、 
           会場は東京芸術劇場小会1議室 午後2時から
           講演者・高橋誠一郎氏(東海大教授)
 2月21日(土) :  ドストエーフスキイ全作品を読む会「読書会」
           会場は東京芸術劇場小会7 報告者・長野正
           作品『カラマーゾフの兄弟』
詳細は、編集室
評価基準 ゼミ誌発表(合)+課題・提出原稿+出席+α=評価(60~120)                               
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編集室便り
☆「2008年、読書と創作の旅」内容は、本通信に掲載します。
☆ 原稿、歓迎します。学校で直接手渡すか、下記の郵便住所かメール先に送ってください。
 「下原ゼミ通信」編集室宛
  住所〒274-0825 船橋市前原西6-1-12-816 下原方
  メール: TEL・FAX:047-475-1582  toshihiko@shimohara.net
☆本通信はHP「土壌館創作道場」に掲載されています。
ゼミ誌について
       
土壌館・下原ゼミ課題           2008・11・17配布
金貸し老婆とその妹強盗殺人事件
ドストエフスキー『罪と罰』から
           名前・
1.あらまし
 被告は23歳の有名大学法学部の元学生。地方都市に住む年金生活者の母と家庭教師
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をして働く妹の送金で学業をつづけていた。官吏だった父親は早くに亡くなっている。被告
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は立派な論文が書ける優秀な学生だったが、あるとき貧苦に耐えて大学を出ても仕方がない
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
と大学を休むようになる。そして、非凡人思想にとりつかれる。ナポレオンのような非凡人
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つまり英雄になるためには、英雄の資格があると証明するためには、まずは社会にとって益
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とならない人間を殺すこと。強欲な金貸しの老婆から金を奪って、その金で事業を起こし
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困っている人たちを援助する。害になる人間を始末し、その金でよい社会をつくる。    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まさに一石二鳥の思想。被告はその理論を実践するために、顔見知りの金貸し老婆を襲う。
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が、訪れていた妹の老婆も斧で殺す羽目になった。400ルーブルを盗む。が、理論として
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より人間としての後悔に苛まれ、予審判事や恋人のすすめで自首した。
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2.被告の考えをどう思うか。(1人殺せば殺人、100人以上なら英雄)
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3.自首した被告の量刑は
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4.その理由は
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6.弁護するとしたら
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7.いま格差社会といわれるが、被告の非凡人と凡人をどう思うか。
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※ 長い場合は他の用紙でも結構です
奇術師美人妻変死事件
  
裁判実況中継
現 場 = 芝居・見世物小屋 
観 客 = 当日は300人余り
目撃者 = 興行・座長一名、ナイフ投げ演芸助手一名、巡査一名
       観客300余名
状 況 = 戸板大の板の前に女を立たせ、二間(約三・七㍍)離れたところから奇術
       師が出刃包丁ほどのナイフを投げる。
       ナイフは、女の体から二寸(六センチ)と離れない距離に突き刺さる。奇
       術師は、掛け声とともに、体にナイフの輪郭をとるように次々となげる。
推 移 = 何本目かのとき、首に投げたナイフが女の頚動脈に突き刺さった。血が
       どっとあふれ女は、前に倒れて、そのままこと切れた。
公 判 開始
―― 公判の後半を開始します。前半は、座長と助手の訊問がありました。後半は、被告人
   の訊問を行います。被告人、前へ。
裁判官 「今、座長と助手とを調べたからそれから先をきくぞ」
被 告 「――」うなずく。
裁判官 「お前は妻をこれまで少しも愛した事はないのか ? 」
被 告 「結婚した日から赤子を産む時までは心から私は妻を愛しておりました」
裁判官 「どうして、それが不和になったのだ」
被 告 「妻の生んだ赤子が私の子でない事を知ったからです」
裁判官 「お前はその相手の男を知っているのか ? 」
被 告 「想像しています。それは妻の従兄です」
裁判官 「お前の知っている男か ? 」
被 告 「親しかった友だちです。その男が2人の結婚を言い出したのです。その男から
     私は勧められたのです」
裁判官 「お前の所へ来る前の関係だろうな ? 」
被 告 「もちろんそうです。赤子は渡しの所へ来て8月日に生まれたのです」
裁判官 「早産だと助手の男は言っていたが・・・ ? 」
「おー早よ、きてくれんかあ」
太っちょなまずは、にわかに元気になって、手を振った。
 フランケンはひょいとこちらを見ると、すぐに事情を察した。タバコを線路にはじきとばすと、小脇の座布団とカバンをラクビーボールのように抱え込んで、一直線にダッシュしてきた。まるでサイが突進してくるような迫力。皆、いっせいに道をあけた。
「アカンというよるに、積みよって。それも一度わしが下ろしたものをまた積みよって」太っちょなまずは半泣き声で言った。「見てみい。ほんま、こんねん積み込みよって」
「どんなや」フランケンは横柄な態度でデッキの前に立った。とたん、奇声を発した。「あ、あ、あ、あー何や、これ何や」
「アカンて言いよるに積みよって」
「上等じゃないか」
フランケンは、乱暴に吐き捨てて座布団とカバンを近くに置いた。
そして、デッキに片足を乗せると、猛烈ないきおいで荷物を下ろしはじめた。大きな荷物も、ポンポンとホームに投げ出された。皆は、あわてて遠くに逃げた。フランケンの迫力に遠巻きにながめるしかなかった。南条班長も、呆然として立っていた。フランケンは、あっというまに入り口付近の荷物を下ろしてしまうと、少しペースを落として
「こんなの後や、後や」と、鼻歌まじりで下ろしだした。
 太っちょなまずも喜色満面で、下ろし作業に加わった。デッキの荷物がなくなると二人は、
――――――――――――――――――― 19 ――――文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.115
貨車の中の荷物まで下ろしにかかった。
「こりゃあだめだわ」
早川は、大袈裟に肩をすくめてため息つく。
 騒ぎをきいて見物に集まってきていたほかの臨職たちも、きびすをかえした。と、そのとき、いきなり
「き、貴様ら、よさんか!!」
怒号が、とどろいた。
 南条班長だった。皆もびっくりしたが、貨車のなかの二人も驚いたようだ。二人そろってぞろりデッキに出てきた。
「なんだあ、ジイさん」フランケンはにらみつけて言った。「貴様とは何だよ。まだ戦争にでもいってる気でいるのか」
「もうろくして、ごっちやになっとるんか」太っちょなまずは、ヒヒヒと笑ってからかった。「いま、やつちょるのはベトナム戦争やで」
「何だとお!」
南条班長は激昂して、つかつかと歩み寄った。
「ほれ、爆弾や」
叫んで太っちょなまずは、木箱を放り投げた。
 タイミングよく、班長が踏みこんだところだった。
「あっ!あぶない!」
皆の悲鳴と同時に、木箱はゴロンと一回転すると班長の右足にあたった。ごっんという鈍い音がした。次の瞬間、鳥のような悲鳴をあげて南条班長はうずくまった。一瞬ホームは静まり返った。が、突然けたたましく鳴り始めたベルに、ふたたび騒然とした。南条班長は、よろよろ立ち上がった。そうして恨めしそうに睨みつけると、ひざ小僧をさすりながら
「あんたら日の丸だからええけどな。うちじゃたいして保障はでねえんだ」
と愚痴るように言った。
 二人とも、さすがきまり悪そうに立っていたが、発車のベルに、これ幸いとばかりに、ドアを力任せに閉めた。ゆっくり走り出した貨物車の窓から二人が、大口をあけて笑っているのが見えた。
「おい、これ片づけといてくれ」
南条班長は、弱々しく言うと、びつこをひきながら行ってしまった。
「やっぱ国鉄さんには、勝てねえね」
「貴様!って怒鳴ったときは、びっくらこいたね」
「さすが、もと軍曹だよな」
「軍曹?もっとうえだろ職業軍人だったっていうんだから」
団とヒッピー磯村は、かってに話し合った。
「ニャロメ、むかしだったらあの二人、ピンタか銃殺もんだぜ」高槻は、叫んで、遠く去っていく列車に向かって銃を撃つまねをして叫んだ。「バーン、バーン」
「軍曹殿!」
団が、大声で最敬礼した。が、だれも笑わなかった。
 夕方、六時。ようやく長い一日が終わった。日勤の臨職は、にぎやかに風呂場に向かった。夜勤組は、疲れきった顔で食堂に向かった。私は、アキラさんと三階につづく非常階段をあがっていった。台車の整理をしていて遅くなったのだ。すっかり夜のとばりがおりた操車場から寒風が音をたてて吹きあげてきた。
「ひえーたまらん」
アキラさんは悲鳴をあげて肩をすぼめながらも立ち止まった。
「一曲やるんですか」
私は聞いた。
 アキラさんは、流しの歌手をしていたとの話だ。それでか、よく最終貨物が出ていった構内で、一人残って歌声を張り上げていた。皆は、音痴だと笑っていたが、誰もいない深夜の貨物駅に流れる彼の歌声は、胸にしみこむものがあった。彼は小林旭の歌が十八番だった。
 最終貨物が出ていって静かになると、決まって
「夜がまたくる―」
 
と、甲高い歌声をはりあげた。夕方、たまにここで歌っていたので、今からやりだすのかと思った。
「いやあ、やめとくよ」アキラさんは、苦笑して見下ろして言った。「観客が眠っちゃってるからな」
眼下のトラックターミナルは、闇に閉ざされ静まり返っていた。黒々と並ぶ大型輸送トラックやコンテナ車は、眠りこける巨獣の群れのようにみえた。
私は、笑って頷いた。見上げると、はるか向こうのビルの上に大きなまんまるい月がぽっかり浮かんでいた。赤い月だった。

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