ドストエーフスキイ全作品読む会
ドストエフスキー作品メモ


ラスコーリニコフの13日間(1865年7月8日〜7月20日)
参考:江川 卓 著「謎とき『罪と罰』」(新潮選書 1986)第XIII章:13の数と「復活」神話
 部  章  できごと    年・日

第1部 

[7月はじめ、めっぽう暑いさかりのあるひぐれどき、一人の青年が、S横丁のせまくるしい間借り部屋からおもてに出て、のろくさと、どこかためらいがちに、K橋のほうへ歩きだした。]老婆のもとへ下見に行く。

1日目

1865年
 7月8日

酒場でマルメラードフと遭遇。夜11時ごろ、一家が住まうコーゼルの家まで送り、カテリーナと3人の子どもを知る。

3 

朝10時、茶を持ってきたナスターシャに起こされる。「考える仕事をしている」と言う。
母からの手紙。

2日目 

 7月9日

4 

妹とルージンの結婚話に憤り部屋を出る。K通りで酔った少女と彼女を狙う男を見かけ巡査に託す。

5 

ラズーミヒンのところには行かず歩きまわったあげく草むらに倒れ眠り込む。やせ馬殺しの夢。 通る必要のなかったセンナヤ広場を廻って帰る途中で、偶然リザヴェータと商人の会話を聞き、明日午後7時にリザヴェータが家にいないことを知る。重い眠気。  

6 

朝10時、ナスターシャが茶とパンを運んでくるが寝続ける。午後2時に運ばれてきたスープを機械的に口に運び、またソファに横たわる。オアシスにいる幻覚
午後6時を打つ時計の音を聞き犯行の準備をして老婆の家に向かう。

3日目 

 7月10日

午後7時半過ぎ、老婆とリザヴェータを殺害。 部屋に逃げ帰り長い間ソファでもうろうとする。

第2部

1 

夜半から夜明けまでもうろうとしながらも証拠や盗品を隠すのにやっきとなる。
朝10時すぎナスターシャが警察からの呼出状をもってくる。
午前11時、警察署へ出頭し、そこで警察署長と副署長が事件について話すのを聞いて失神する。

4日目 

 7月11日

部屋に帰り盗品を持って出かけ、空き地の石の下に隠す。
ラズーミヒンを訪れるが助けを乱暴に拒絶する。
商家のおかみから施された20カペイカをネワ川に投げ捨てる。
ネワ川のパノラマ
イリヤ・ペトローヴィッチが主婦を殴る夢
。意識不明に陥る。

3 

意識不明。ラズーミヒン駆けつける。伝書人、母からの送金を届けにくる。
酒場の亭主、ミコールカのことを警察に通報。同夕、ミコールカ連行さる。

5日目

7月12日

3 

意識不明。スヴィドリガイロフ上京。

6日目

7月13日 

朝10時ごろ意識がはっきりする。ラズミーヒンが世話を焼いている。
ゾシーモフ来る。第二の代書人が届けに来た母からの送金を受け取る。

7日目 

7月14日 

ラズーミヒンとゾシーモフの会話から、事件後の展開──ミコールカ連行されたなどを知る。 

ルージンが訪ねてくるが乱暴に追い返す。

夜8時ごろ母からの送金25ルーブリ持って部屋を抜け出す。あたりをふらついた後に飲食店で新聞を読んでいるときザミョートフに遭遇。出口でラズーミヒンにみつかるが振り切る。
N橋で身投げの女を目撃する。警察署に行こうとするが道をそれて“あの家”に行き、模様替えをしていた職人や庭番に犯行を仄めかすような言動。 

こんどこそ出頭しようと決意したところに、マルメラードフの事故に出くわし家に運ぶ。ソーニャに出会う。ポーレチカに「しもべロジオンも」祈ってくれと頼む。
ラズミーヒンの引っ越し先を訪ねるが入らずラズミーヒンに付き添われ部屋に戻る。そこには母と妹が来ていた。

第3部 

1 

午前中、部屋で母、妹、ラズミーヒンと話し合う。ラズミーヒンとゾシーモフ。

8日目 

7月15日 

 

ラズミーヒン、二人のための奔走を開始。

3 

母、妹の再訪。

4 

ソーニャが来訪。葬式への案内。帰り道スヴィドリガイロフにつけられる。

5 

ラズーミヒンといっしょにポルフィーリイ宅訪問、ザミョートフも同席。凡人・非凡人の議論。

6 

不安に駆られ部屋を確認に戻りまた外出。町人に遭遇し「人殺し」と言われる。再び部屋に戻り意識を失う。老婆殺しの夢を見る。目覚めたとき部屋にスヴィドリガイロフがいた。

第4部

スヴィドリガイロフとの対話。

2 

午後8時、家族とともにルージンと会う。ドゥーニャ、ルージンを拒絶する。

3 

母と妹に別れを言い、暗い廊下でラズミーヒンに犯行をほのめかす。

4 

午後11時、ソーニャを訪れる。福音書朗読。隣の空き部屋でスヴィドリガイロフが立ち聞き。

5 

午前11時、警察署でポルフィーリイと対決。

9日目

7月16日 

6 

ミコールカの自首。

第5部

1 

ルージンとレベジャトニコフ

2 

マルメラードフ家の法事。カチェリーナと家主夫人とのけんか。

3 

ソーニャがルージンの罠で冤罪に。レベジャトニコフとラスコーリニコフの証言で救われる。

4 

2度目のソーニャ訪問、犯行を告白。

5 

カチェリーナの発狂。ドゥーニャ来訪。ラズーミヒンについて話す。カチェリーナの死。ソーニャ宅にスヴィドリガイロフが現れる。

第6部 

意識が混濁した状態。ソーニャ宅でスヴィドリガイロフと出会う(?)

10日目

7月17日 

1 

スヴィドリガイロフ、「空気が必要」と言う。
母、妹、ラズーミヒンが下宿を訪ねるが不在。(?) 

11日目  7月18日 
1  明け方前、クレストフスキー島の草むらのなかで目を覚ます。
カチェリーナの葬儀の日。午後2時、ラズーミヒン立ち寄る。 
 

12日目

 

7月19日 

ポルフィーリイが来訪し、自首を勧める。 

3 

安料亭でスヴィドリガイロフと話しこむ。

安料亭でスヴィドリガイロフと話しこむ。

5 

スヴィドリガイロフ、ドゥーニャを監禁。ドゥーニャ拒絶。

スヴィドリガイロフ、遊園地、許嫁宅をまわって安旅館へ。ぐしょぬれの少女の幻覚
ラスコーリニコフ、一晩中雨にうたれて夜を明かす。

7 

朝5時ごろ、スヴィドリガイロフ拳銃自殺。
ドゥーニャとソーニャは一日中、ラスコーリニコフを待ち続けている。
夕方6時すぎラスコーリニコフは母を訪ねる。部屋に帰るとドゥーニャが来ている。

 13日目

7月20日 

ラスコーリニコフ、ソーニャを訪ねる。センナヤ広場で大地に接吻、警察署へ自首。

エピローグ

ラスコーリニコフ、犯行の日から1年半後。シベリア オムスクの監獄。

1年半後 

1867年
1月初め頃

2 

せん毛虫の夢

?の注(10,11日目):語り手がこの時期のラスコーリニコフの記憶の混濁を指摘しているため。
エピローグ第1章は1867年1月頃と推測される。『ロシア報知』12月号にエピローグが掲載されたちょうどその時点にあたっている。