Medical Dostoevsky&My Dostoevsky
ドストエーフスキイ全作品を読む会 読書会通信 No.170 発行:2018.10.10
ドストエフスキーと自殺
下原康子
私がドストエフスキーを繰り返し読み続ける理由は、何回読んでも初めて読んだかのようにおもしろいから。おもしろく感じる箇所も好きになる人物も読むたびに変わります。ドストエフスキーは人生の大いなる楽しみ。ドストエフスキーと世界旅行(または宇宙旅行)のどっちをとるかと言われたら躊躇なくドストフスキーを選びます。確かにドストエフスキー作品は、殺人、自殺、貧困、狂気、病気、虐待など暗く重いテーマに満ち満ちています。切迫感や息苦しさを感じるのは確か。けれどその一方で、読み終わったあとになんともいえない清々しさが残ります。真実に触れた感じがします。嘘がないと信用できます。樹木希林さんが夫の内田裕也さんを何があっても「純なところがある」といって愛したように。「おとなしい女」から『作家の日記』を読んだことがきっかけになり、現在の私の関心は「自殺」です。ドストエフスキーの作品には17人以上の自殺者が描かれているそうです(Foy)。てんかん者よりも数が多いのですが、文献(医学文献も含めて)は少ないようです。その中から以下の2つを紹介します。ドストエーフスキイ全作品を読む会HPのトップページにリンクしてあります。
James L. Foy ら ドストエフスキーと自殺 (1979)
dokushokai.shimohara.net/meddost/foy.html
小説、雑誌、および作家自身の人生経験の中にある自殺に関する言及を考察し、ドストエフスキーの自殺学への貢献の全体像を提供しています。
A.アルヴァレズ『自殺の研究』第4部 5:明日への虚無 二十世紀への推移dokushokai.shimohara.net/meddost/alvarez.html
キリーロフの自殺、『作家の日記』のなかのゲルツェンの娘の自殺およびその影響で書かれた「宣告」について、キルケゴール、カミュ、ヴィトゲンシュタイン、トルストイを引いて考察しています。
ちなみに『未成年』には5人の自殺者が描かれています。
① リディア・アフマーコワ マッチの燐を飲んで自殺(うわさ)
② フロスト ピストル自殺
③ オーリャ 縊死
④ 7歳の男の子 川に飛び込み(マカール老人の挿話)
⑤ のっぽ(ラムベルトの仲間) ピストル自殺