ある医学図書館員の軌跡
文献検索セミナー 千葉県立保健医療大学 2014.7.18



「文献検索」はなぜ行うか、いつ行うか
 (主として教員に向けて)


T.なぜ行うか

1.学術情報(一次情報)を入手するための有力かつ強力な方法だから
2.リテラシーを培うために不可欠な教材だから
   (リテラシーとは:膨大な情報の中から必要な情報を抜き出し活用する能力)
3.生涯教育の場である図書館に親しむために
  (図書館は、知りたいことを探す窓であり、知りうる可能性へと架ける橋である)

U.いつ行うか

1.研究・調査のために
2.臨床現場における疑問・問題の解決と様々な工夫の発見のために。
  ・日常の仕事や患者さんやユーザー、市民への対応に役立てる。
  ・検索結果を職場内で発表、話題提供などしてコミュニケーションや議論のきっかけにする。
  ・同職種の人たちや同じテーマに関心を持つ人たちと繋がるきっかけにする。
3.患者さん、ユーザー、市民の病気や抱えている問題などについて学ぶ。
  ・和雑誌特集・総説文献
4.特定のテーマを継続して追跡する。
  ・一つのテーマを通して医療や社会をより深く学ぶ。
  (例:子宮頸がんワクチン 出生前診断 認知症 精神科医療 など )
  ・検索システムを評価する力を向上させる。(特にシソーラス用語になじむことで)
5.話題の医療ニュースを検証する。
  ・新聞、テレビなどの医療記事に関心を持つことで社会との繋がりや役割を意識する。
  (先端医療、医療事故、副作用、研究不正、改ざん、誤報、話題の代替療法 など) 
6.自分、家族、知人の病気を調べる。
7.文献(雑誌論文)の限界を踏まえて、次の段階へ。
  (文献検索になじまないテーマを見極める)

V.文献検索のコツ

1.問う力をつける。 本当にうまく質問できたら答えはいらない(小林秀雄) 
2.ラフな検索語から多様な検索語を見出しテーマを広がりのあるものにする。
  (想定外のテーマへの飛躍を歓迎する)
3.絞り込みの有効活用(特集、論文種類、分類、チェックタグ、副標目、研究デザイン)
4.検索結果を絞り過ぎない。
5.論文の評価 (よい論文をみつけて孫引きするのも有効)
6.著者との出会いでリアルな世界へとアクセスを広げる。
7.文献検索を楽しむ。


参考ページ ある医学図書館員の軌跡 より 

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