文芸研究W下原ゼミ通信 No.23(日本大学藝術学部文芸学科・下原ゼミ2017年(平成29年)4月14日発行)

                              
熊谷元一研究  新資料 <熊谷元一と親交のあった井出孫六氏の本から>

  井出 孫六 著『ねじ釘の如く 画家・柳瀬正夢の軌跡』岩波書店 1996
柳瀬正夢(1900〜1945)の評伝。油彩にはじまり、漫画、装丁、ポスターと限りない才能を発揮したこの「ねじ釘画家」の短い一生は同時に軍国主義との限りない格闘であった。また、長谷川如是閑、小林勇、村山知義らとの深い親交は多面性を確実なものとしていった。15歳で院展に入選し、強烈な印象を後世に残した奇才画家の眼に映じた世の中とはいったいどのようなものだったのか。伝記作家の第一人者が没後50年を経て改めて問いかける。
柳瀬正夢は自分の作品にサインとして印鑑のように「ねじ釘の頭」を使った。赤い丸に中央を割る白い筋。井出孫六はこのマークに亀裂の走る日の丸を連想する。そしてしその背後にある暗喩をみる。『史記』にある「白虹、日を貫く」は革命をさす言葉である。柳瀬は思想統制の時代に健在に活動している証しの意をこめて無記名のイラストにこの「ねじ釘」を押印した。(HP、出版社等の解説より引用)