康子の小窓 ことばの花束


コロナ秀歌  (2020.4~6)
朝日歌壇」から転載

山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」に連載収録中の「黒木登志夫先生による提言(コロナウイルスarXiv)」の最後に掲載されているコロナ秀歌(「朝日歌壇」より)から、転載させていただきました。



「朝日歌壇」6月21日、6月28日

絶対にマスクはしないトランプさん他のマスクはできない安倍さん  (防府市)藤田淳子

ゴミ袋でわれの作りし防護服看護師は着て写真送り来
  (東京都)仲あやの


「朝日歌壇」6月7日

「いってきます」いつもの通り居間を出し夫は七歩で<職場>に入る (横浜市)大曾根藤子

コロナ禍を語るのだろう戦争を知らぬ私は戦争のように  (高松市)一宮佳

口開けて薫風吸い込むこいのぼりわれ口閉じてマスクでおおう (飯田市)草田礼子

マスクして原発逃げた九年前皐月の空に今またマスク  (いわき市)馬目弘平

棒グラフ伸びて縮んでまた伸びて給食場に戻る日はいつ  (高松市)塩田八寿子


「朝日歌壇」5月31日

補聴器も眼鏡も怒る新参のマスクが耳に居すわらんむとす  (東京都)北條忠政

何遍も同じビデオを見せられているかの如き総理の会見  (埼玉県)島村久夫

ぼくはもう大人になっちゃうよ東京のパパはじしゅくで帰ってこない  (藤枝市)石塚文人


「朝日歌壇」5月24日

予定せしわががん手術延期され妻は無言で車椅子押す  (座間市)遠藤寛

五時間目家庭科はうちの台所ママと作ったいちご大福  (奈良市)山添葵

コロナ禍で乗客なくても走り出す新幹線の寂しげな貌  (石川県)瀧上裕幸


「朝日歌壇」5月17日

移るより移すことへの恐れから人は優しく人を遠ざけ  (岐阜県)箕輪富美子

AIは囲碁も将棋も負かすのに新型コロナに打つ手明かさぬ  (香芝市)中村敬三

面会は出来ぬコロナ禍病室の夫仰ぎ見る傘横向けて  (大阪市)玉利淑栄


「朝日歌壇」5月3日

ウイルスの形に似たるお日さまが予報にならび春はたけなわ  (越谷市)畠山水月

外出を自粛せる夜夫は子を十年ぶりの将棋にさそふ  (町田市)村田知子


「朝日歌壇」4月26日

最後までコントか本当か分からない手品のように消えたおじさん  (大阪市)澤田佳世子

自粛令余命宣告されしごと店主の呻く「もって半年」  (水戸市)中原千絵子

昼日中一人球蹴る少年の背中に少し怒りがにじむ  (中津市)瀬田美子


「朝日歌壇」4月12日

数年後「コロナ世代」と呼ばれるか休校の子ら元気に過ごせ  (東京都)伊東澄子

テレワーク出来ない人が支えてる文明社会の根っこの部分  (諫早市)藤山増昭
          
大和路の宮殿跡にかがまりて休校の子らたんぽぽを摘む  (奈良市)宮田晶子