ある医学図書館員の軌跡
LLC(2011.12.10)


新聞取材の現場を垣間見て


2011年11月25日、当センターの医師のところに取材に来られた大新聞の記者が、たまたまみつけた患者図書室「にとな文庫」に立ち寄られました。記事の参考にと、該当医師の論文を提供しました。メディアの中でも患者・家族の目に触れることが頻繁で、信頼も大きいのが新聞報道です。折りしも「メディアドクター研究会」に参加した直後でいろいろ思うところもあり、チャンスとばかり、主張、質問、注文などさまざまぶっつけさせていただきました。その後、以下のメールのやりとりがありました。

S記者から下原へ(2011.12.6)

11月25日に千葉県がんセンターで取材した際にお世話になりました。医療メディアに対する的確なご指摘が、とても印象に残っております。勉強になりました。膵臓がんの検診についてまとめた記事を、6日付け医療面に掲載しております。抗がん剤治療なども含めていろいろ取材したのですが、「超音波内視鏡」という装置により早期発見できるケースも出ているということをメインに書きました。実際、掲載した記事の倍近い分量の原稿を書いたものの、紙面スペースの都合で半分くらいに削られております。短くなったことでエッセンスだけになってしまいましたが、膵臓がんの変わらぬ厳しい現状を前提としつつ、早期発見の可能性があることや、そのためには高リスクの人は精密検査を受けるべし、というメッセージが伝わればよいかと思っています。いろいろ考えながらまとめましたが、分かりづらい部分などもあるかと思います。お忙しいことと思いますが、駆け出しの医療記者に下原さんの視点で忌憚のないご意見をいただければとてもうれしいです。

下原からS記者へ(2011.12.6)

すい臓がんの場合、他のがんに比べて図書室を利用なさる方は患者さんご自身より家族の方の方が圧倒的に多いです。まだまだ、立ち向かうには辛すぎるがんなのでしょう。このたびの記事はスペースに限りがある中でも大切な情報がわかりやすく述べられていました。「早期発見の可能性あり、高リスクの人は精密検査を」というメッセージがメインでしっかり伝わりました。図や表もわかりやすかったです。「もっといっぱい話したけどなあ・・・」と取材された先生が言われていることを秘書さんから聞きました。きっと削られた抗がん剤治療の部分のことだと思います。その点は残念です。メディアの取材現場を見せていただいたようで、私の方こそたいへん勉強になりました。本当にありがとうございました。