患者図書室挑戦の記録
にとな文庫通信 No.30 (2014.2)


追 悼: mocomoco-sherbetさん


キッチン・ファーマシー(http://joytoeat.exblog.jp/)のmocomocoさんが1月5日に亡くなりました。パン、お菓子、創作料理、手仕事、日々のくらし。優れたセンスと多彩な才能を感じさせるブログでした。放射線治療を受けるために広島から当センターに入院されていた2008年秋ごろ、にとな文庫でお会いしました。大振りのショールがよく似合う異国的で端正な容姿、情熱的な黒い瞳、忘れがたい印象の人でした。情報を求められることはなく、バンサンの絵本をながめたり、趣味の話や世間話をしました。にとな文庫を「ちょっとしたオアシスのような、病院中で、唯一病院らしくない、ぽっかり浮いた場所」と表現されました。そのイメージにかなう場所であり続けたいと思いました。

広島に帰られて、「お粥道」というブログを開設。私の郷里の岩国茶がゆもアップされました。やがてレパートリーが広がり、「キッチン・ファーマシー」という名称になりました。治療のための中断が何度かありましたが、mocomocoさんはそのたびに復帰を果たし、新たな創作に挑戦して期待に応えてくださいました。お互いの郷里が近かったので、私が帰省中に岩国・錦帯橋で再会しました。民家に飾られたお雛さまを見て歩き、骨董屋をのぞき、岩国寿司を食べました。2011年3月6日のことです。小雪が舞う寒い日でしたが、ほっこりする大切な思い出です。数日後に東日本大震災が発生しました。すぐに「不自由なものがあったら送ります」というメールをくださいました。

今年の年賀状に「緩和ケア病棟に住んでいます。ブログができないのが不便です」とあり、心配になってメールをしたら、すぐに「早くなんとか活動を再開したいです」という返信がきました。2日にはブログ再開。「義兄のおかげで病室から発信できるようになりました」とあり、4日の「ここでの生活」の書き込みの最後には「絵手紙やアロマテラピーに参加してみようかな」とあったので、少し安心して「絵手紙アップしてね」とコメントしました。しかしその後、ご友人の書き込みで、5日に亡くなっていたことを知りました。新しい年にブログを再開し、書き込みを開始した翌日の急逝でした。昨年12月4日にアップされたクリスマス・リースがmocomocoさんの最後の創作です。mocomocoさん、ありがとう。天国で活動を再開しているかな?いつかまた会いましょうね。

 
在りし日のmocomoco-sherbetさん
   

プチ旅行in岩国  2011年3月6日

元上司の方のブログ「定年再出発」で、mocomocoさんの思い出が語られています。
比治山の雨に別れて以来なり 50日祭