LISN(りすん)No.130 2006年11月 
(更新:2018年11月24日)


医学図書館員 が選ぶ 患者・家族のための医学情報ウェブサイト 
下原 康子

はじめに

一般の人々が医学情報を得る場合、本やウェブサイトにしても「解説」記事が中心になります。それらの多くは研究者や専門家がその分野の研究論文(学術情報)をわかりやすく解説したものです。研究論文を「一次情報」、解説記事を「二次情報」と呼びます。医療者が診断や治療の根拠にするのは一次情報を核とする学術情報で、それらは主として医学専門雑誌に論文のかたちで掲載されます。また医学専門書としても出版されています。

一般の人々は医学知識がないので専門書や論文を読んでもわからない、解説(二次情報)に頼るしかないと思いがちです。しかし、治療法や治療成績などの情報だけでなく、いい病院・いい医者探しにおいても、その情報量と信頼性において学術情報に勝るものはありません。世界最大の医学データベースPubMedを無料公開しているアメリカに比べ、日本の情報公開はかなり遅れています。それでも近年、インターネットで一部限定はありますが、医学学術情報を検索できるサイトや論文コピーを取り寄せるサービスが増えてきています。診療ガイドラインや専門医の検索ができる学会情報なども加え、医学図書館の現場で有効活用されているサイトのいくつかを紹介します。



1.本を探す   

日本医書出版協会 (JMPA)
医学・看護学をはじめとする医学関連領域の出版物を発行する専門出版社30社の出版物が検索できます。看護職向けの解説書やマニュアルが患者・家族に近い立場で書かれており、値段も医学書に比べて安価なので手ごろです。

Books.or.jp ( 日本書籍出版協会「データベース日本書籍総目録」)
近年、一般向けの病気の本が数多く出版されていますので、まずはそこから探すのもいいでしょう。Books.or.jp では国内で発行され、現在入手可能な書籍を収録する書籍検索サイトです。約100万点が収録されています。

医学書ドットコム (メディカルメディアラボ )




2.和雑誌特集記事を探す   

東京大学医学図書館 和雑誌特集記事索引デーベース
医学雑誌は学会誌と商業出版社が発行する商業誌に大別されます。学会誌は原著論文を多く集録し、商業誌の多くは毎号特集記事を掲載しています。特集記事は総説・展望・解説等から成っています。いずれも総括的、解説的、教育的に書かれているので原著論文のような難解さはありません。また一つの主題が1冊にまとめられているという点では、分担執筆で書かれた図書に似ています。一貫性や充実度では図書に劣るとしても出版までの時間が短い分、最新情報が得やすいという利点があります。看護学関係の雑誌で探している病気の特集がみつかれば幸運です。医学雑誌に劣らない高度な内容でも比較的平易な表現で書かれているので読みやすいし、患者や家族が知りたいと思うことは、看護の側から書かれていることが多いからです。だだし、医学雑誌に比べ雑誌数、特集数が少ないのが残念です。



3.雑誌論文を検索する

医中誌Web (医学中央雑誌刊行会) 
医学・医療の現場で利用される国内最大の医学雑誌論文データベースです。大学などの法人向けの医中誌Web対して、主に開業医などの個人ユーザーに向けたパーソナルWebサービスがあります。一般の人も利用できるとはいえ有料なのでいまだ敷居が高いのが現状です。

PubMed(パブメド)
アメリカ国立医学図書館(NLM)の国立生物工学情報センター(NCBI)が運営する世界最大の医学・生物学分野の学術文献検索サービスです。日本の主要な学会雑誌の論文も収録されており、英訳された抄録が読めます。すぐに使わなくてもその存在は知っておきたいデータベースです。

MedlinePlus
アメリカ国立衛生研究所、アメリカ国立医学図書館 が提供する一般向けの健康情報のウェブサイトです。

Google Scholar 
名称が表すように学術情報を対照にした検索サービスです。ネット上に散らばっている同一論文のメタデータをまとめて表示してくれます。検索結果右下の「全5バーション」などと書かれている部分から、論文全文が読める場合もあります。

国立国会図書館サーチ
国立国会図書館をはじめ、全国の公共図書館、公文書館、美術館や学術研究機関等が提供する資料、デジタルコンテンツを統合的に検索できます。 登録利用者制度により遠隔複写サービスを受けることができます。

新たな動き
国立国会図書館・図書館向けデジタル化資料送信サービス
国立国会図書館サーチ連携拡張に係る実施計画(平成27年3月27日)に則り開始されました。国立国会図書館の承認を受けた公共図書館・大学図書館等が国立国会図書館からデジタル画像を送ってもらい、各図書館の利用者に提供するという、一般市民にとって今後の進展が注目されるサービスです。

メディカルオンライン
医学文献の検索や全文閲覧を提供する会員制サイト。有料なので全文・抄録は読めませんが、検索はできるので、論文のタイトル、著者、雑誌名を知ることができます。

「最新医学」既刊特集
雑誌「最新医学」に掲載された論文の要旨が読めます。



4.オープンアクセスジャーナルを読む

一般市民も使えるオープンアクセス
オープンアクセスとは学術情報をインターネットから無料で制約なくアクセスできるようにすること。全文が読める医学論文が増加しています。近年、国内でも急速に進んでいます。



5.診療ガイドラインを探す

医療現場において適切な判断や決断を下せるよう支援する目的で、病気の予防・診断・治療・予後予測など診療の根拠や手順についての最新の情報を専門家の手で分かりやすくまとめた指針のこと。ランダム化比較試験などから得られるエビデンスを吟味、評価し、その結果に基づいて何をすべきか何をすべきでないかを勧告しています。ガイドラインの発表形態としては @書籍・小冊子 A学会誌掲載 Bインターネット があります。

Minds(EBM医療情報サービス事業)
厚生労働省委託事業:EBM(根拠に基づく医療)普及推進事業により公開したサイトで、公益財団法人 日本医療機能評価機構が運営しています。その中核になっているのが診療ガイドラインで、厳密に選定されたものが提供されています。部位別目次と50音目次から検索できます。

東邦大学・医中誌 診療ガイドライン情報データベース
日本のガイドライン情報を網羅的に収集しています。疾患別に検索できます。単行書や機関誌などに掲載されたものはその書誌的事項を、インターネットで公開されているものにはリンクをはってあります。

日本癌治療学会 がん診療ガイドライン
標準的がん診療内容を医療者と国民が共有し、共に納得を得ていく機会をつくることを願い、各専門学会・研究会及び日本癌治療学会が協力して、関連する分野のガイドラインを作成しインターネットで公開しています。



6.専門医・認定医をさがす

UMIN学会情報
学会検索ができるページです。「専門分野別一覧」から探せます。学会ホームページによっては、専門医・認定医を掲載しているところがあります。

がん関連 学会研究会
一般市民にがんに関係のある医学会/研究会のHPの情報を活用していただくために、元医学図書館員が作成しています。



7.医学図書館を探す

一般市民も使える 医学図書館
一般市民にも医学図書館を利用して欲しいと願う 元医学図書館員 が作成しています。


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