ドストエーフスキイ全作品を読む会

ドストエフスキーとてんかん/病い 関連資料

 ドストエーフスキイ全作品を読む会下原康子が2003年から始めました。
  日本語で読めるもののみです。逐次、追加・修正していきます。
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asa@shimohara.net 更新のお知らせ

Contents
T.ドストエフスキーの小説
U.ドストエフスキーの書簡/メモ・ノート
V.同時代人の回想
W.伝記、年譜
X.てんかん学・神経学の研究者、てんかんの臨床医、神経内科医、医学史研究者の著作
Y.病跡学、精神病理学、心理学の著作
Z.文芸評論家/ロシア文学・ドストエフスキー研究者の著作
[. ドストエフスキーと自殺  
\. 終末期意思決定と『カラマーゾフの兄弟』
 

].インターネット


T.ドストエフスキーの小説  ドストエフスキー年譜
作 品  人物・場面   図書
『分身』(1846・25歳)
『プロハルチン氏』(1846・25歳)
『主婦』(1847・26歳) 
『虐げられし人々』(1861・40歳)  
『ペテルブルグの夢 ─ 詩と散文 ─』(1861・40歳)
『白痴』(1868・47歳) 

『悪霊』(1872・51歳) 
『おかしな人間の夢』(1877・56歳)
『カラマーゾフの兄弟』(1880・59歳)
 
ゴリャートキン
プロハルチン
ムーリン
ネルリ
[ネヴァ河のパノラマ]
ムイシュキン
キリーロフ
おかしな人間
スメルジャコフ 

U.ドストエフスキー書簡/メモ・ノート
B1  河出書房新社刊・愛蔵決定版ドストエーフスキイ全集(全20巻別巻1)米川正夫個人訳 1969〜1971  
        第16〜18巻:書簡(上)(中)(下)
新潮社刊・決定版ドストエフスキー全集(全27巻別巻1) 分担訳 1978〜1980
        第20巻:書簡(1) (工藤精一郎訳) 〔父母兄弟への手紙〕
        第21巻:書簡(2) (原卓也訳) 〔シベリア時代と女友達への手紙〕
        第22巻:書簡(3) (江川卓訳) 〔作家、編集者への手紙〕
        第23巻:書簡(4) (木村浩訳) 〔妻アンナとの往復書簡〕
ドストエフスキーの手紙 中村健之介編訳 北大図書刊行会 1986 
図書 
B2 新潮社刊・決定版ドストエフスキー全集 第27巻:創作ノートU 他
手帖より(江川卓・工藤精一郎・原卓也訳)P.315〜479
1860年代はじめから、ドストエフスキーは自身の創作プラン、感想、意見、メモなどを手帖ないしノートに書き留めていた。精神状態や健康状態などの日記的記述もある。
図書 
B3  『ドストエフスキー 未公刊ノート』
小沼 文彦 訳 筑摩書房 1997
ドストエフスキーのメモ・ノート類。創作プラン、感想、意見、病気の記録など。
「てんかん発作の記録」エムスでの療養日記」が末尾に一括してまとめてある。 
図書 

V.同時代人の回想
B1  『回想のドストエフスキー』(1925) 書評
アンナ・ドストエフスカヤ 著 松下裕 訳 みすず書房 1999  

結婚後まもなく夫人の目の前で起こった発作の記述 
図書 
B2 ドストエーフスキイ夫人 アンナの日記』 書評
アンナ・ドストエーフスカヤ 著  木下豊房 訳 河出書房新社 1979 
アンナ夫人が日記に残したてんかん関連とvs.スースロワの記録 
図書 
B3  『ドストエフスキー 同時代人の回想』ドリーニン編 水野忠夫 訳 河出書房新社 1966 
グリゴローヴッチ、ヤノフスキー、コワレフスカヤ、ドストエフスカヤ、ストラホフ、ソロビヨフらのの回想の中にてんかんの言及がある。
抜粋:同時代人が語る ドストエフスキーのてんかんと病  
図書 
B4  『ドストエフスキイ傳』エーメ・ドストエフスキイ著 高見裕之 訳 アカギ書房  1946
娘のリュボフィがロシア革命(1917)後に亡命したフランスで、ドストエフスキイ生誕100年(1921)が過ぎた1926年に発表した回想記。エーメはリュボフィ(愛)のフランス語風呼び名。内容としては祖先や家系への強いこだわりとそれにかかわる言及が多いことに一般の愛読者は当惑するかもしれない。一方で、亡くなったとき10歳だった娘の記憶に残る晩年の作家の日常生活や父親像、スタラーヤ・ルッサの思い出、次男のアレクセイの死ー父のてんかんを受け継いでいたとしているーなど貴重な情報も多い。敗戦直後の日本で、処女出版として本書を選んだ出版社があったという点も印象深い。
図書  

W.伝記・年譜
B1  ドストエフスキーレオニード・グロスマン 北垣信行 訳 筑摩書房 1966
(個人的には)ドストエフスキーと交流のあった女性たちへの言及が興味深かった。パナーエワ、マリヤ・イサーエワ(結婚)、女優シューベルト、アポリナーリヤ・スースロワ、ナデージダ・スースロワ、マルファ・ブラウン、アンナ・コワレフスカヤ、ソーニャ・コワレフスカヤ、エレーナ・パーヴロヴナ・イワーノヴァ(親戚)ソーニャ・イワーノワ(姪)、アンナ・ドストエフスカヤ(結婚)、イリーナ・シタケンシネイデル。  
図書  
B2   ドストエフスキー全集 別巻:年譜(伝記、日付と資料)
L.グロスマン 松浦健三 訳編 新潮社 1980

1935年に発行されたグロスマンの『年譜』に訳者がその後に出版された補遺や研究書などから追加を行っている。てんかん発作、病気、ルーレット賭博、金策などの日付を確認できる。ドストエフスキー研究の索引書である。ルーレット賭博関連の記録を抜き出した。
ドストエフスキーのルーレット賭博関連の記録 
図書 
B3  『ドストエフスキー』 E・H・カー著   松村達雄訳 筑摩書房  1968
著者はイギリスの国際政治学者・歴史家。ロシア語に精通しており、オリジナルまた確実な資料によるドストエフスキーの生涯に関する記述は信頼できる。てんかん、病気、賭博への言及は少ないが、女性とのかかわりについてはやや詳しい。
図書 
B4  河出書房新社刊・愛蔵決定版ドストエーフスキイ全集(全20巻別巻1)米川正夫個人訳 1969〜1971
別巻:ドストエーフスキイ研究 第1部生涯
米川訳による資料(主に書簡)によって実証的に書かれた生涯は非常に興味深く信頼できる。客観的・公平な眼の奥底にドストエフスキーへの深い愛情が感じられる。  
図書 
B5 『ドストエフスキー伝』アンリ・トロワイヤ著  村上香住子 訳 中央公論社 1982
伝記の巨匠の筆になる小説のように生き生きと描かれた伝記。  
図書 
B6  『評伝ドストエフスキー』
コンスタンチン・モチューリスキー著 松下裕、 松下恭子 訳 筑摩書房 2000

「ドストエフスキーの生涯と創作とは切りはなすことができない。彼は〈その文学のなかで生きた〉からである。文学こそは彼の生涯をかけた事業であり, 悲劇的な運命そのものだった。彼はそのすべての著作のなかで自分自身の謎を解こうとつとめ、みずから体験したことのみを語っている」このまえがきに叶う労作。記念碑的評伝として知られる。 
図書 

V.てんかん学・神経学の研究者、てんかんの臨床医、神経内科医、医学史研究者・サイエンスライターの著作
M1 O.テムキン「てんかん人の世界」(1945年)
『てんかんの歴史』第1巻:古代から十八世紀まで
Owsei Temkin 著 和田豊治 訳  中央洋書出版部 1988
著者は医学史研究者。「第13章たおれ病の終焉4:てんかん人の世界」で、広い視野から、ドストエフスキーとマホメットのエクスタシー前兆について、ゾラ『獣人』、ニーチェ『アンチ・キリスト』などを引いて論じている。 
 
 図書
M2 『臨床てんかん学 第2版』(1975年)
和田豊治 著 金原出版 1975
第4章-Tの部分てんかんの中のC.感情発作の記述(P.152-155)に、ムイシュキンの“この一瞬のためなら全生涯をささげてもいい!”を含む一文が引用されている。 
図書 
M3  楽園への旅 (『ニュートンはなぜ人間嫌いになったのか』 第4章)(あらすじ)(1993年)
Harold L. Klawans 著 加我牧子 等訳  白揚社 1993

「第4章:楽園への旅」(和田清訳)神経内科医である著者とエクスタシー発作のある患者との出会いが語られている。 
図書  
M4 『臨死体験』
立花隆 著 文藝春秋  1994
ドストエフスキーへの言及は2か所(上119、下383)。いずれも、臨死体験者が語る「至上の境地」とドストエフスキー文学の中に描かれた「永久調和の一瞬」の類似に関連する記述。臨死体験の解釈として「現実体験説」と「脳内現象説」を提示し、46例の臨死体験者の証言を聞き取り、対立する説を代表する研究者の発言を公平に丁寧に取材している。立花氏自身は、基本的には「脳内現象説」の立場で、臨死体験と側頭葉てんかんについて、同じメカニズムで起こる現象と断定はできないまでも、少なくともかなり隣接したところで起きる現象としている。しかし、一方で、実際に体外離脱しなければ見えないものを見てきたという事例のいくつかを本人から直に取材して、「脳内現象説」が正しいとは思っているものの、もしかしたら、現実体験説が正しいかもしれない・・・科学は、まだあまりにもプリミティブな発展段階にあるのだから、とも述べている。立花隆さんは2021年4月30日に亡くなった。「臨死体験」をされただろうか?
 図書  
M5 『知られざる万人の病 てんかん 』
金澤治 著 南山堂 1998 (追記:2006年に第2版刊行)
著者はてんかんの臨床医。「第1部:てんかんだった偉人達の話」でドストエフスキー、シーザー、ジャンヌ・ダルク、フローベール、ゴッホ、マホメットを取り上げている。
図書 
M6  『脳のなかの幽霊』(1998年)
原題:Phantoms in the Brain, by V.S.Ramachandran & Sandora Blakeslee
 
V.S.ラマチャンドラン、サンドラ・ブレイクスリー 著 山下篤子 訳 角川書店 1999
第9章 神と大脳辺縁系
ドストエフスキーの引用はないが、側頭葉の機能不全をともなう驚くべき “神秘的な” シンドロームが紹介されている。
 図書
M7  『書きたがる脳 言語と創造性の科学』(2004年)
原題:The Midnight Diseases:The Drive to Write,Writer's Block,and the Creative Brain. by Alice W.Flaherty,2004

アリス・W・フラハティ著 吉田利子訳 ランダムハウス講談社  2006 
第1章 ハイパーグラフィア──書きたいという病 

ハイパーグラフィアとライターズブロックについて、著者自身が患者としての自らの体験を語る一方で、神経科医としてそれらの現象が起こる脳の状態および精神状態を説明している。文学者への言及が非常に多い。『地下室の手記』が引用されている。
図書 
M8 脳のなかの倫理 : 脳倫理学序説』(2005年)
原題:
The Ethical Brain by Michael S Gazzaniga, 2005
マイケル・S.ガザニガ著  梶山あゆみ訳  紀伊國屋書店 2006
第9章 信じたがる脳 側頭葉てんかんと信仰(P.213-220)
分離脳の研究で知られる認知神経科学の第一人者。2001年「大統領生命倫理評議会メンバー」になったことから「脳(神経)倫理学)」を扱った本書が生まれた。「第9章信じたがる脳」の中の「側頭葉てんかんと信仰」の章で、ゲシュヴィント症候群に言及し、ゴッホ、聖パウロ、ムハンマドを引いている。ドストエフスキーにも触れている。 
図書  
M9 『天才の病態生理 片頭痛・てんかん・天才』(2008年)
古川哲雄 著  医学評論社 2008
<抜粋>ドストエフキィのてんかん / ペテルブルグの夢
「第2章 てんかん」の大半をドストエフスキーにあてている。『アンナの日記』から発作に言及した箇所を引用し、発作の回数を数え(12回)ている。アンナに宛てた手紙も引用している。作品からは、『白痴』『悪霊』からの引用および言及。「宗教家の天啓」の章で『ペテルブルグの夢ー詩と散文ー』から “ネヴァ川の幻想” をそのまま引用している。
図書  
M10 『死と神秘と夢のボーダーランド 死ぬとき、脳はなにを感じるか (2011年)
原題:The Spiritual Doorway in the Brain:A neurologist's Search for the God Experience. by Kevin Nelson,2011

ケヴィン・ネルソン 著 小松淳子 訳 インターシフト 2013
第6章 古代のメトロノーム 恐怖から霊的至福に至るテンポ:ドストエフスキーが受けた啓示
第8章 合一の美と恐怖 神秘の脳の奥深く

臨死体験研究において、レム睡眠と覚醒が混在した“ボーダーランド”が神秘体験をもたらす、という「レム睡眠侵入説」を提唱。死に瀕した人の恐怖感が霊的体験に移行する臨死体験とドストエフスキーがムイシュキンに語らせた、処刑直前の5分間(生涯を貫く信念を与えた至福体験)との類似を指摘している。第8章の抜粋の中の体験談「昇る太陽」と「奈落の底」は『ペテルブルグの夢 ─ 詩と散文 ─』や「イッポリートの告白」などを連想させる。
図書  
M11  『見てしまう人々 幻覚の脳科学』(2012)
原題:HALLUCINATIONS. by Oliver Sacks, 2012
オリヴァー・サックス 著 太田直子 訳 早川書房 2014
第8章「聖なる」病  第14章 ドッペルゲンガー 自分自身の幻 
『レナードの朝』の著者として知られる脳神経科医。第8章:「聖なる」病の章で、ヒューリングス・ジャクソン、ガウアーズ、ペンフィールド、ゲシュウィンドらの研究を引いて、サックスの患者も含めたてんかんに伴う幻覚や予兆の症例を数多く紹介している。Theophile Alajouanine「ドストエフスキーのてんかん」からドストエフスキーがソーニャ・コワレフスカヤに語った霊的な前兆とムイシュキンの恍惚発作を引用している。第14章:ドッペルゲンガーで、本人とその分身のあいだに相互交流があるホートスコピー(heautoscopy)を紹介している。この極端にまれなかたちの自己像幻視の症例は『分身』のゴリャートキンを連想させる。
図書  
M12 『私はすでに死んでいる ゆがんだ<自己>を生み出す脳』(2015)
原題:The Man who wasnt there, by Anil Ananthaswamy,2015
アニル・アナンサスワーミー 著 藤井留美 訳 紀伊國屋書店 2018
著者はアメリカのサイエンスライター。本書は主として神経学の知見をベースに「自己とは何か」を追求している。とりあげた疾患には、コタール症候群、身体完全同一性障害など珍しく突飛な疾患が含まれている。第7章でドッペルゲンガー、第8章で恍惚てんかんをとりあげ、第8章ではムイシュキンを引用している。
 図書
A1 Theophile Alajouanine ドストエフスキーのてんかん  (1963) 
論 文 名:Dostoiewski’s epilepsy
掲載雑誌:Brain 86:209-218,1963
 
フランスの神経科医Alajouanineが神経学会で行った有名な講演。アウラ(エクスタシー前兆)論争の口火となった。てんかんはドストエフスキーにとって、文学のみならず、人生や世界への態度、哲学・思想にまで大きな影響を与えた特別の体験であったことを強調している。 
論文
A2 Henri Gastaut ドストエフスキーのてんかん再考 原発全汎てんかん説(1978)概 要 
原題「てんかんの症候学およびドストエフスキーの意図しなかった貢献」
Henri Gastaut 著 和田豊治 訳  大日本製薬 1981  
論 題:Fyodor Mihailovitch Dostoevsky’s Involuntary Contribution to the Symptomatology and Prognosis of Epilepsy
掲載誌:Epilepsia 19:186-201,1978 
フランスのてんかん研究の大御所アンリ・ガストーのW.G.Lennox賞受賞講演録。詳細な検討によってガストー自身も主張していた従来の側頭葉てんかん説を否定しドストエフスキーのてんかんは原発全般てんかんであったとし、エクスタシーに関しては作家の創作とした。てんかん学におけるドストエフスキーの貢献は「発作をくりかえしても知能の低下は来たさないことを自ら証明してくれたことである」としている。 
論文 
A3  F.Cirignottaraら エクスタシー発作をともなう側頭葉てんかん(いわゆる ドストエフスキーてんかん)(1980) 
下原康子 訳
論 題:Temporal Lobe Epiilepsy with Ecstatic Seizures (So-Called Dostoevsky Epilepsy)
著者名:F.Cirignotta,C.V.Todesco,and,E.Laugares
掲載誌:Epilepsia 21:705-710,1980
 
エクスタシー前兆を初めて脳波で確認し、ドストエフスキーてんかんと名づけた記念すべき論文。 
 論文
A4 P.H.A.Voskuil ドストエフスキーのてんかん (1983)
下原康子 訳
論 題:The Epilepsy of Fyodor Mihailovitch Dostoevsky(1821-1881)
掲載誌:Epilepsia 24:658-667,1983. Raven Press, New York

著者はオランダのてんかん学者。残された全発作の記述、頻度、誘因、進行、治療、家族の病歴からドストエフスキーの病歴の構成を試み、部分複雑てんかんの発作が二次的に夜間の全般発作を引き起こしたとする説を提供している。 
論文
A5 Henri Gastaut ドストエフスキーのてんかんについての新しい考察 (1984) 
下原康子 訳 
論 題:New comments ofthe epilepsy of Fyodor Dostoevsky.
掲載誌:Epilepsia 25(4):408-411, 1984.

Voskuilの説を受けて発表された。1977の自説で見落としていた症状を再検討した上で、確かに側頭葉の障害はあったが、どちらの型の発作にしろ二次的には同じ帰結をたどることになる全般発作をほとんど即時に引き起こした、とした。ドストエフスキー、フローベール、ゴッホの比較を行っている。
論文 
A6 Norman Geshwind ドストエフスキーのてんかん (1984) 
下原康子 訳
Geschwind N.
Dostoevsky's epilepsy.(PP325-33)In Psychiatric Aspects of Epilepsy,edited by Dietrich Blumer,
American Psychiatric Press, Washington, D.C., 1984
ゲシュヴィンドはアメリカの行動神経学者。側頭葉てんかんの患者に見られる発作性行動パターン(Geshwind症候群)を発表この考察に基づいてドストエフスキーの性格特性を分析した。
論文
A7 Howard Morgan ドストエフスキーのてんかん:ある症例との比較 (1990) 
下原康子 訳 (ドストエーフスキイ全作品を読む会『読書会通信』 2003.12)
論 題:Dostoevsky's Epilepsy: A Case Report and Comparison
掲載誌:Surgical Neurology 1990;33:413-6.

ある症例というのは著者が経験したエクスタシー発作の症状を伴った脳腫瘍の患者のことである。 
論文 
A8  Peter Bruggerら ホートスコピイ、てんかん、および自殺 (1994) 
論 題:Heautoscopy, epilepsy, and suicide
雑誌名:
Journal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatry 1994;57:838-839
ドッペルゲンガーで本人とその分身のあいだに相互交流があるホートスコピー(heautoscopy)の患者の症例を報告している。(オリヴァー・サックスが『見てしまう人々 幻覚の脳科学』で引用している)。この極端にまれなかたちの自己像幻視の症例は『分身』のゴリャートキンを連想させる。
論文 
A9 F.Cabrera-Valdivia 等 テレビにより引き起こされたドストエフスキーてんかん (1996) 
論 題Dostoevsky's epilepsy induced by television.
雑誌名
J Neurol Neurosurg Psychiatry. 1996 Dec;61(6):653. 
論文 
A10 John C. DeToledo ドストエフスキーのてんかん (2005) 
−アリバイ工作に使われたスメルジャコフのてんかん発作に関する考察

下原康子 訳(ドストエーフスキイ全作品を読む会 読書会通信 No.88 2005)
論 題:The epilepsy of Fyodor Dostoyevsky: insights from Smerdyakov Karamazov's use of a malingered seizure as an alibi.
掲載誌:Arch Neurol. 2001 Aug;58(8):1305-6.
「ドストエフスキー自身が、偽発作が時として利用できることに気づいており、死がまじかな最後の小説の中で、スメルジャコフを介してそれを伝えたのかもしれない。そのことは、25年前にすでに“私はあらゆる種類の発作を経験した”と述べていたことを思い起こさせる」と指摘している。 
論文 
A11  Ivan Iniesta『カラマーゾフの兄弟』を読みなさい (2009)
論 題:Views & Reviews  The Brothers Karamazov
掲載誌:BMJ 2009;338:b1999 doi: 10.1136/bmj.b1999 (Published 20 May 2009)

「より良い医者になるために何を読むべきか」に答えている。
論文 
A12 Piet.H.A.Voskuil ドストエフスキーの小説におけるてんかん (2013)
下原康子 訳 (ドストエーフスキイ全作品を読む会・ 読書会通信 No.148付録 2015.2)
論 題:
Epilepsy in Dostoevsky's novels (1821-1881) 
掲載誌:Front Neurol Neurosci. 2013;31:195-214.

ドストエフスキーの5つの作品から13人の人物の発作の場面を引用しコメントを加えている。論文の大半が作品の引用から成り、「ドストエフスキー登場人物のてんかん百科」の様相を呈するユニークな医学論文である。 
論文
A13 Ivan Iniesta ドストエフスキーにおけるてんかん (2013)
下原康子 訳 (ドストエーフスキイ全作品を読む会・ 読書会通信 No.149付録 2015.4)
論 題:Epilepsy in Dostoevsky
掲載誌:Progress in Brain Research 205:277-293,2013
後世の神経科医の目を通して、神経学の歴史をふまえこれまでのドストエフスキーのてんかん研究をレビューしている。「ドストエフスキーはシベリア体験を経て、自身の病気を文学作品の中で知的に利用する方法を見出した」と評価している。  
論文
A14 Sebastian Dieguez 文学における様々な分身:身体的自己に関する研究における文学の貢献(2013)<部分訳>
論 題:Doubles everywhere: literary contributions to the study of the bodily self.
掲載誌:Front Neurol Neurosci.2013;31:77-115. doi: 10.1159/000345912. Epub 2013 Mar 5.
 

ドストエフスキーの『分身』を論じている。
論文 
A15 K.B.Bhattacharyya ドストエフスキーとてんかん (2015)
論 題:Fyodor Mikhailovich Dostoyevsky and his epilepsy.
掲載誌:Neurol India 63:476-9. 2015
下原康子 訳
フロイトから現在に至るまでのドストエフスキーのてんかんに関する論文をレビューしている。 
論文
A16  James G. Gamble  ドストエフスキー、カラマーゾフの兄弟、そして、てんかん(2023)
Cureus. 2023 May; 15(5): e38602.
Dostoevsky, The Brothers Karamazov, and Epilepsy - PMC (nih.gov)
スメルジャコフの心因性の非てんかん発作(PNES)の記述が注目される。
 論文
A17 恍惚発作を呈した側頭葉てんかんの一例:いわゆるドストエフスキーてんかんについて (1987) [抄録]
松井 望・内藤 明彦 著 精神医学 29(8):857-864 1987
Naito H,Matsui N. Temporal lobe epilepsy with ictal ecstatic state and interictal behavior of hypergraphia.J Nerv Mental Dis 1988 Feb;176(2):123-4
日本国内で報告されたエクスタシー発作の症例報告。希少である。 
論文 
A18 原典・古典の紹介 自己幻視 (2000)
古川哲雄 著 神経内科 53(6):566-571  2000
抜粋
[ドストエフスキィ『分身』]
「文学作品中に見られる自己幻視の代表格はドストエフスキィの『分身』であろう」と述べている。
論文
A19 片頭痛・てんかん・天才 (2006)
古川哲雄 著 神経内科 64(1):81-105 2006
『天才の病態生理 片頭痛・てんかん・天才』のもとになった論文  
論文 
A20 てんかんからみる人物の横顔 異論異説のてんかん史:ドストエフスキー  (2011)
松浦雅人 著 Epilepsy: てんかんの総合学術誌 5(2):151-156 2011 
「ドストエフスキーは作品のなかにてんかんのある人物を登場させ、発作前の前駆症状や発作直前の前兆をみごとに表現している」としている。
論文
A21 ドストエフスキーのてんかん発作と病的賭博 妻アンナ指揮のポリフォニー (2015)
細川清 著 Epilepsy: てんかんの総合学術誌 9(1):65-70 2015
ヴィリジル・タナズ『ドストエフスキー』とミハイル・バフチン「ドストエフスキーの詩学」が引用されている。  
論文 
A21  病い研究とポリフォニー ミハイル・バフチンから刺激を受けて(2018)
池田 光穂 著 保健医療社会学論集 第 28 巻 2 号 2018 
「語りの不死=永続性を担保するもののひとつに、バフチンが指摘 したドストエフスキーの小説にみられるポリフォニー概念がある。語りは死後の生をもつことで、それに耳を傾ける人の心を呪縛し、ポリフォニーという性格が病いの語りをひとつとして 同じものとさせない構造的強度をもつのである」
論文  
A22  脳科学の視点で読むドストエフスキーとポリフォニー (2021)
虫明元 著 BRAIN and NERVE 73(12):1357-1361 2021
脳科学的にドストエフスキーのてんかんを解釈している。さらに踏み込んでバフチンが提唱する「対話」や「ポリフォニー」に脳科学における現代的意義を見出すことができるとしている。
 論文

Y.病跡学、精神病理学、心理学の著作
M1  『宗教的経験の諸相 上・下』(1902年) 
James, William(1901-02)The Varieties of Religious Experience
ウィリアム・ジェイムズ 著 枡田 啓三郎 訳 岩波書店  1969
第一講「宗教と神経学」より  第二十講 結論「著者の仮説」より  「解説」より  目次一覧
米の哲学者、心理学者。意識の流れ理論は文学に大きな影響を与えた。プラグマティストとしても知られる。本書の中にドストエフスキーの名前は一つも出てこない(引用のある文学者はトルストイのみ。文学作品からの引用もほぼない)。しかし(私は)W.ジェイムズがいう「宗教的経験」とドストエフスキーの「神の問題」が核心部分において重なって読めたし、豊富な実例からは、地下室人からカラマーゾフにいたる登場人物たちを想起せずにはいられなかった。ケヴィン・ネルソン『死と神秘と夢のボーダーランド』で本書がよく引用されている。
 図書
M2 「ドストエフスキーと父親殺し」(1928年)『フロイト著作集3』所収 
ジークムント・ フロイト 著 高橋義孝 訳 人文書院刊 1969
フロイトはドストエフスキーの器質的てんかん説を否定し、発作は神経症に由来するヒステリーであるとした。発作はエディプス・コンプレックスにもとづく自己懲罰であるとし、エクスタシー前兆は父の死を知った時の解放感が固着したもので、直後の発作が懲罰の意味を持つとした。ドストエフスキーの性格の中でとくに強かったのが男女両性的要素であるという指摘がピンときた。フロイトとドストエフスキー、相まみえて欲しかった巨人二人だ。
図書 
M3  「ドストエフスキー」『ツヴァイク全集3:三人の巨匠』所収 (1928年)
シュテファン・ツヴァイク 著 柴田翔 他訳  1974
フロイトと同じオーストリアのユダヤ系作家。フロイトの深層心理学から影響を受けたと言われているが、ドストエフスキーの評価においては各段に熱い。「ドストエフスキーの世界は幻覚の世界でありながら、本質はリアリズムである。その本来の分限を越えて空想の域まで達するリアリズムである。」
図書
M4   『分身 ドッペルゲンガー』(1925年) [抜粋]
オットー・ランク 著 有内嘉宏 訳 人文書院 1988 
Otto Rank(1884-1939)はウィーン生まれの精神分析学者。20年間フロイト派だったが、主著『出産外傷』(1924)がエディプス説に排反するとみられ、フロイドと別れた。その後はフランスとアメリカで活動した。本書にはドストエフスキー『分身』の精神分析的あらすじ(10頁)がある。
図書
M5 「癲癇と文学 フローベールとドストエフスキー」(1949)「自己像幻視」(1947)
村上仁 著『芸術と狂気』みすず新書 1950
 『現代のエスプリ30号:異常心理』所収(再録)1968
フローベールとドストエフスキーのてんかん性性格と作品に及ぼした影響にについて考察している。荻野恒一氏が著書『ドストエフスキー』に書いている回想が興味深い。「戦争末期のころ京大精神科に入局した私は当時の助教授村上仁先生に、精神病理学を専攻したいがどんな本から読んだらいいかとたずねた。すると村上先生は『何よりも患者をていねいに診ていくことです』と言われ、それからちょっとはにかむように笑いながら『今村先生(初代京大精神科教授)は精神科に入ったら1〜2年は精神医学の文献なんかよりもドストエフスキーを読めといわれたことがあるそうだ』とつけ加えられた」 
 図書
M6   精神病理学の立場から [ムイシュキンのてんかんに関連して]  (1963)  
赤田豊治 著  
『ドストエーフスキイの世界』荒正人編著 河出書房新社 1963 「背景と環境の章」より (P.267-272)
精神病理学者が読む優れたムイシュキン論である。「ドストエーフスキイは今日の医学的研究に知られる範囲内で天才及傑出人中に見出される唯一の確実な癲癇の症例である。従って希少価値から言っても貴重なのであるが、病気についての精密な自己描写、更にそれについての思索、信念に至っては全く類例を見ない貴重な資料を残したのである。その意味で、変な言い方かもしれないが、創作家としてのみならず、癲癇患者としても天才的であった。」と述べている。
図書 
M7 『ドストエフスキー』荻野恒一 著 金剛出版 1971
精神医学の立場から、ドストエフスキーにおけるてんかんと創造の関係を論じた本格的な病跡学的研究。ドストエフスキーのアウラ(エクスタシー前兆)の解釈についてはフロイト説を評価している。
図書 
M8   『ドストエフスキイ』加賀乙彦 著  中公新書 1973  
小説家、精神科医、そして愛読者という3拍子そろった観点から、てんかんを核心に置いた分析を行っており、納得できると同時に小説家ならではのはっとするような指摘が随所に見られる。概評つきの参考文献がありがたい。参考文献 
図書 
M9  『てんかんの人間学』木村敏 編 東京大学出版会 1980
木村敏分担執筆「てんかんの存在構造」(P.59〜100)で、<クリーゼ(転機・危機)としての発作>を論じるにあたり、ムイシュキンとキリーロフのアウラ体験を大きく取り上げている。「てんかん的な存在構造を可能ならしめている契機と、一般に美や聖なるものの体験を可能ならしめている契機との間に、或る本質的な共属関係が仮定される」と述べている。  
図書  
M10  木村敏『時間と自己』 中央公論社(中公新書)1982
人間の心理的時間感覚を「祭りの前(アンテ・フェストゥム)」「祭りの後(ポスト・フェストゥム)」「祭りのさなか(イントラ・フェストゥム)」の三つに分類し、「祭りの前」が統合失調症的、「祭りの後」が躁うつ病的、「祭りのさなか」がてんかん的と考察している。ムイシュキン、キリーロフのアウラ体験、アリョーシャの大地への接吻、スタブローギンとの1時間の情事に賭けたリーザのことば、が引用されている。「あとがき」抜粋
図書 
M11 
河合逸雄[発作─その人間学 ドストエフスキーについて](1983) 
岩波講座精神の科学 3 (精神の危機)』 1983 
U.発作 その人間学 河合逸雄
8.ムイシュキンとスメルジャコフ (P.87〜90)
9.ガストー著『ドストエフスキーの意図しなかったてんかん学への貢献』 (P.90〜94)

ドストエフスキーのてんかんの病型とエクスタシー前兆について先行研究を引いて論じており、納得できる。てんかん患者さんたちへのやさしいまなざしが感じられる。
 図書
M12  村田忠良 [ドストエフスキーの病跡学](1984)
『てんかん学』 秋元波留夫、山内俊雄 編 岩埼学術出版社 1984
W部 てんかんの精神病理学 18章 
てんかんの病跡学 (村田忠良)U.てんかん患者の病跡学 2.研究補遺 2)ドストエフスキーについて(P.574〜579)
 
臨床医の視点が色濃く出ている。ドストエフスキーの賭博からの「回心」を断酒者の断酒決意の瞬間に比している。アルコール依存症の治療に力を尽くした精神科医ならではの慧眼だと思う。
図書 
M13 

高橋正雄[ドストエフスキー 精神療法的洞察 アリョーシャのイワンへの対応](2000)
臨床精神医学講座[本巻24巻+special issue12巻+別巻2巻] S8巻 病跡学(2000年刊)
総論 病跡学の意義 C. ドストエフスキー 精神療法的洞察 (P.63-65)
アリョーシャの治療的資質が遺憾なく発揮されたのは『カラマーゾフの兄弟』の「イワンの悪魔」の場面であるとして、そのときのアリョーシャの対応を評価している。

図書  
A1  精神医学的にみた『カラマーゾフの兄弟』 精神療法家としてのアリョーシャ (1994)
高橋正雄 著 日本病跡学雑誌 47号:13-22 1994
Tアリョーシャという人間(1.アリョーシャの人となり 2.アリョーシャの対人的態度)U退役軍人スネギリョフへの対応(1.心理分析家アリョーシャ)V幻覚者イワンへの対応(1.イワンの幻覚 2.アリョーシャの精神療法)
下原康子が「ケアの達人 わたしのアリョーシャ論」を書くにあたって示唆を受けた論文。 
論文 
A2  てんかん患者としてのドストエフスキー 病いの受容と対応 (2008) 
高橋正雄 著 精神分析と人間存在分析 16号:33-47 2008
 
論文 
A3  肺気腫患者としてのドストエフスキー 晩年の書簡にみる当事者の思い (2008) 抄録
高橋正雄 著 日本病跡学雑誌 75号:65-75 2008

ドストエフスキーのてんかんについては様々な議論がなされているが、直接の死因となった呼吸器疾患について論じた文献は希少。晩年の書簡から、ドストエフスキーの呼吸器疾患患者としての思いや当時の医師の対応などを検討している。
論文 
A4 ドストエフスキーのてんかん発作 妻の側からみた病い (2008) 抜粋:考察
高橋正雄 、木山祐子 著 聖マリアンナ医学研究誌 8:120-125 2008
ドストエフスキーのてんかん発作が彼の生活にどのような影響を与えたか、特に彼の発作を妻であるアンナ夫人がどのように受けとめていたかという側面から検討をおこなっている。
 
論文
A5 ドストエフスキーの『悪霊』―病みながら生きる治療者 (2008)
高橋正雄 著 
月刊「ノーマライゼーション 障害者の福祉」2008年2月号(第28巻 通巻319号):文学にみる障害者像
論文
A6 『クリスマス・キャロル』と『カラマーゾフの兄弟』ケアする存在としての障害者 (2008)
高橋正雄 著 
月刊「ノーマライゼーション 障害者の福祉」2008年2月号(第28巻 通巻319号):文学にみる障害者像
論文 

Z.文芸評論家/ロシア文学・ドストエフスキー研究者の著作
M1 『ドストエフスキー』 原卓也 著 講談社新書 1981 
「癲癇−生と死のはざま」の章に23ページを割いている。  
図書 
M2 ドストエフスキー初期作品の世界』
清水正 著 沖積舎 1988
『分身』『プロハルチン氏』『おかみさん』の主人公たちのてんかん的な精神病理を指摘している。
図書  
M3 『白痴』の世界 (『清水正・ドストエフスキー著作集8』)
清水正 著 D文学研究会 2015
第T部「ムイシュキンの魔」(P.103〜133)
ムイシュキンの「志高の一瞬」は精神的暗黒(仮死)にいたる精神的予兆であり、ドストエフスキーのてんかん発作は彼の深層に隠された父親殺しの願望と無縁ではない、と述べている。 
図書  
M4   [イワンのせん妄症と悪魔の幻覚](江川卓 著 謎解き『カラマーゾフの兄弟』 XW 実在する悪魔 ) (1991)
江川卓 著  謎解き『カラマーゾフの兄弟』新潮選書 1991
神を信じないイワンにとっての「悪魔」を論じている。語り手の断り書きを引いてイワンの「悪魔」はアルコール依存症が原因のせん妄から生じた幻覚としている。
図書  
M5  『永遠のドストエフスキー:病という才能』
中村健之介 著 中央公論新社   中公新書 2004
「ドストエフスキーの創作の中心には、てんかんの発作よりもはるかに長期にわたって創造的な働きをしている病気(核心に被害妄想と超現実世界との接触感を含む病気)があることを認めないわけにはいかない」として、統合失調症を示唆している。
図書 
A1   ドストエフスキーと催眠術 (オープンアクセス/PDF)(2000)
安藤厚、 越野剛 著 北海道大学文学研究科紀要 102: 1-13 2000
 
論文  
A2   悪魔憑きとムハンマド (2004)
越野剛 著 ロシア語ロシア文学研究 36(日本ロシア文学会 2004) 
論文 
A3  ドストエフスキーとてんかん
下原康子 著 ドストエーフスキイの会機関誌『ドストエーフスキイ広場』No.2 (1992)
 論文
A4  ドストエフスキーとてんかん 
下原康子 著 ドストエーフスキイ全作品を読む会報告 (1994)
論文
A5 『賭博者』に想う 病的賭博と嗜癖
下原康子 著 ドストエーフスキイ全作品を読む会報告 (1996)
論文 
A6 『分身』は二重身体験(自己像幻視)の症例報告では?
 
下原康子 著 ドストエーフスキイ全作品を読む会報告 (2011)
論文 
A7 イワン・カラーマゾフのせん妄症とアルコール依存症 (2018)
下原康子 著 
論文 
A8  ドストエフスキーのてんかんについて(2020)
下原康子 著 ドストエーフスキイ全作品を読む会報告 (2020.8.29) 
 論文
A9  ドストエフスキーと医学 (1)〜(3)  (2022)
下原康子 著  初出:地域医療ジャーナル
論文 
A10  ドストエフスキーと「オープンダイアローグ」 (2022)
下原康子 著 ドストエーフスキイ全作品を読む会「読書会通信」
  論文

[. ドストエフスキーと自殺
M1  村上仁「自殺について」(1948)
村上仁 著『芸術と狂気』みすず新書 1950
 『現代のエスプリ30号:異常心理』所収(再録)1968
図書 
M2 A.アルヴァレズ『自殺の研究』第4部5:明日への虚無 二十世紀への推移  
早乙女忠訳 新潮社 1974
Alvarez, A.: The savage god. A study of suicide (Random House, New York 1972).
キリーロフの自殺と『作家の日記』のなかのゲルツェンの娘の自殺とその影響で書かれた「宣告」について、キルケゴール、カミュ、ヴィトゲンシュタイン、トルストイらを引いて考察している。 
図書
M3 T.G.マサリク 殺人と自殺
『ロシアとヨーロッパ ロシアにおける精神潮流の研究』 V T.G.マサリク著 石川達夫・長與進訳 成文社 2005 
第3部第2編:神を巡る闘い―ロシア問題の歴史哲学者としてのドストエフスキー 第9章:殺人と自殺 
トマーシュ・ガリッグ・マサリク(1850-1937)はチェコの社会学者・哲学者・政治家で、チェコスロヴァキア共和国の初代大統領(在任:1918-1935)   
図書 
A1 James L. Foy ら ドストエフスキーと自殺 (1979) 
下原康子訳
論 題:Dostoevsky and Suicide
著 者:James L. Foy and Stephen J. Rojcewicz, Jr.
収載誌:Confinia psychict. 22: 65-80 (1979)

ドストエフスキーの小説には自殺者が多い。てんかん者より多いのだが文献は少ない。この論文は彼の小説、雑誌、および作家自身の人生経験の中にある自殺に関する言及を考察し、ドストエフスキーの自殺学への貢献の全体像を提供している。 
論文  

\. 終末期意思決定をカラマーゾフの兄弟』に絡めて論じた医学論文
A1 Martha Montello カラマーゾフ コンプレックス:ドストエフスキーとDNR(蘇生措置拒否)指示 (2002)   論文 
A2 J.J.Paris 他 NICUにおける終末期意思決定へのアプローチ:ドストエフスキーの「大審問官」からの洞察 (2006) 論文 

].インターネット
W1 ドストエフスキー(てんかんについて「てんかん列伝」より)(愛知県青い鳥医療福祉センター 青い鳥ウェブ講座 てんかんについて
てんかん専門医による詳細な解説。シーザー、ゴッホもあり。 作話てんかんも示唆に富む。
Web
W2  市民公開講座 てんかんの病態と薬物治療(東邦大学医療センター佐倉病院小児科 舘野昭彦)2015 Web 
W3  Medical Dostoevsky (下原康子)  Web
W6  学術情報への扉 ドストエフスキー研究を垣間見る 研究者の業績を集めたデータベースや研究に利用されるサイトを紹介。 Web